大阪にある地名・駅名の「表記ゆれスポット」を見にいく

デイリーポータルZ

地名や駅名などで、漢字表記や読み方が複数ある場所を「表記ゆれスポット」と名づけ、その地域を巡るとともに路上観察もしていきます。

こういった記事を書いているとき、僕が常に気にしていることの1つが「表記ゆれ」です。

表記ゆれとは、数字なら「3」「3」「三」、「もうしこみ」だと「申し込み」「申込み」「申込」など、一つの記事や文章で表記や送り仮名が変わってしまうことを言います。

すでにこの数行の文章でさえ、「1つ」と「一つ」が混在してしまっていたりして、注意が絶えないのですが、街には思いのほか表記ゆれが溢れています。

しかもそれが地名や駅名の間で、あえてゆれさせている場合があって、なんだか妙に気になりました。

例えば――

大阪メトロの西中島南方駅。
この南方の読みは「みなみた」ですが、すぐ近くにある阪急の南方駅は――

「みなみた」!

こういうのを表記ゆれと呼ぶのかはあれですが、とにかくこのような場所を回ってみようと思います。

ただ移動するのもなんなので、途中で路上観察とかもしていきます。

1、あべの

最初は「あべの」を巡ります。
ではさっそく「阿倍野駅」からスタート。

阿倍野といえば個人的にはこのロング押ボタンですね。
いつ見ても長い。

服屋さんではオールスター感謝祭が。

信号を渡ったところに、昆布の佃煮の自販機。

電話ボックスに「鈴(ベル)」って書いてありました。

たぶん4→2→1の順に書き換えられてる。
カウントダウン形式。

ここを道沿いに真っ直ぐ行くと――

お、

おお、

着きました「阿野橋駅」!

スタートの「阿野駅」とは一字違っています。

これら2つの表記が入り交じっているため、「あべのハルカス」や「あべのベルタ」など、商業施設ではひらがな表記のところも多いです。

ちなみにこの阿野橋駅近くにあるローソンは、

なぜか阿野橋南店で、ここから一番近いファミマはというと、

こっちは阿野橋駅南店。
さらには少し離れたところのセブンは、

大阪あべの橋店と、各コンビニ間でもかなりゆれているようでした。

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2、きしべ

2カ所目は「きしべ」。
ここは駅名と地名の表記が異なっているので、岸辺駅から地名が書いてる場所を探しにいきます。

あ……

これは、もしかして……

ああっあった!
いきなり見つかりました!

駅は「岸」で、地名では「岸」。

まさか駅から出て数歩で終わってしまうとは……

でも、せっかく来たことですし、ちょっとだけ、せめてちょっとだけ路上観察を――

――というわけで、路上観察開始。
禁止マークからゴミが飛び出していました。

転の字に謎の点が。

ピザ祭!!

自転車撤去のシンプルな絵。

ピラミッドが賃貸だったとは。

――それでは寄り道はこれくらいにして、次へ。

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3、くずは

3カ所目は「くずは」。
こちらも地名と駅名が異なっているので、樟葉駅から出発します。

駅の水場跡地。

ほぼ踏まれるピクトグラム。

空車の字だけ残りそうな雰囲気。

看板の折り返しに、家電。

黄色いガードレールがありました。

あ!

これは!

ちょうどいいところにありました!

駅名は「葉」で、地名は「葉」。

ちなみに楠葉の方の由来については、駅前の石碑を参考にしました。

こういう石碑ってあまり真剣に読んだことなかったですけど、有益な情報を得られて助かりました。

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4、香里(園)

最後は「香里園」です。

ここは読みに表記ゆれがあるので、読みが書いてある場所を探していきます。

出口を直進。

クルンってなってる矢印がありました。

めっちゃ曲がってるバス専用。

おっ、駅名にルビが振ってある張り紙がありました。

駅は「こうりえん」と読むことを確認。
もう少し周辺をうろつきたいと思います。

坂の途中にあった、若干斜めの街灯。

PPIN。

養生テープで全否定。

災害時にトイレになるマンホールを発見。
初めて見ましたが、近所にも欲しいですね。

さて、なんやかんやで駅の近くまで戻ってきました。

このまま直進していくと――

ありました!

そう、街区表示板!

ここも駅と同じく「こうりえん」です。

次に、道路まで戻って坂を上がっていくと――

ここにも街区表示板が。
しかしさっきのが赤かったのに対し、こっちは青い。

そしてここの読みは「こり」!

香里の字は同じですが、歩いていける距離に「こり」と「こり」がありました。

ではこの2つ、何が違うかといえば――

「こり」は枚方市、「こり」は寝屋川市と、市が異なります!
あとは街区表示板の色だけでなく、市の名前が縦書きと横書きで違うんですね。

ちなみに、さっきの場所から道路を横断して少し戻ってみると――

この真ん中にある駐車場から左が「こり」、右が「こり」と分かれているようでした。
絶妙な位置に標識の柱がありましたが、それは無関係っぽかったです。

最後はおまけに、こんな発見もありました。
住所は「こり」ですが――

りえんクリニック!

ここにも小さな表記ゆれが。
今回得た知識がさっそく役立って、ちょっとうれしい気分で香里園を後にしました。

ちなみにもっと小さな表記ゆれだと、駅名と地名で「ん」のローマ字表記が「n」と「m」で異なっているパターンがありました。

地名は「SENBAYASHI」で、

駅名は「Sembayashi」、といった感じです。

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