レノボ・ジャパン合同会社は、ThinkPadシリーズなどの開発を担う大和研究所(神奈川県横浜市)における製品開発やESGへの取り組みに関する記者会見を実施した。
会見では同社執行役員の塚本 泰通氏が登壇。大和研究所における製品開発などにおける取り組みを紹介した。
Lenovoでは、日本の大和研究所に加え、米国ノースカロライナ、中国北京の各拠点間の連携によるイノベーショントライアングルを中心としたグローバルな研究開発体制を構築。それぞれが得意分野を活かし、分業/協業を図っている。
中でも大和研究所は、1992年のシリーズ当初からThinkPadの開発を手がけてきた。オフィスから仕事を解放し、常にどこでも高い生産性を発揮できるツールとして開発し、進化を続けてきたという。
日本では仕事が物理的に会社に拘束されてしまう面も多かったが、コロナ禍以降、新しい働き方が広まり定着していく中で、ThinkPadはさらにユーザーの力になれると考えているという。その上で大和研究所は、テクノロジーの力で人々の働き方や生活をよりよくすることを目指し、幅広い技術に取り組んでいくとした。
ThinkPad製品では、時代やユーザーにあわせた生産性向上を支え、信頼できる品質や先進性を保ちながら、ユーザーの使える技術を重要視した製品開発を進めているという。独自技術による差別化だけでなく、ユーザーからの声を元にパートナー企業へのフィードバックも図るなど、常にユーザーのことを考えたCustomer Centricな製品開発を目指しているとした。
数年前からはハイブリッドワークを見据え、従来よりThinkPadが持つ性能の高さによる生産性だけでなく、コラボレーションデバイスとしての進化にも注力。コロナ禍ではその力を発揮できたとしている。
加えて、幅広い製品で5Gを含むワイヤレスWANを搭載可能としたり、ヘッドセットよりも高い品質を目指したスピーカーやマイクの強化、プライバシーシャッターの標準化や、一部機種での1080p対応Webカメラの搭載も実施。一方で、プライベートの充実がビジネスにおける生産性の向上にも繋がることから、Dolby Atmosスピーカーの採用なども進めてきた。
実際の製品開発では、開発チームが主導で進めるInnovation Pipelineを採用。ユーザーの声や技術トレンド、企業戦略などを元に、数年単位の中長期的なアイデアを創出する機会を設け、よいアイデアについてはプロトタイプ化。実物を使いながら、改良点の洗い出しや製品化に踏み切るかどうかといった検証を進めることで、高い品質でイノベーションを提供できるという。
新しいデザインのPCといった製品本体だけでなく、小型化したバッテリや基板といったコンポーネント単位でも行なっており、開発からのボトムアップでも多くの製品を生み出しているという。
データの保護やセキュリティの面では、筐体の堅牢性だけでなく、ThinkShieldと呼ばれる様々なセキュリティ技術を開発し導入。ハードウェアやファームウェアレベルでのセキュリティ機能の実装や、製造プロセスおける管理、不正開封防止包装やドライブ消去など、ライフサイクル全体でのマネジメントも実施している。
また環境保護の観点では、低温ハンダ(Low Temperature Solder)技術を開発。マザーボードでは2016年より採用しており、順次適用パーツを拡大し、2021年度では2,000万台以上のノートPC基板で用いられた。
加えて、竹繊維を使用したエコフレンドリーなパッケージの採用や、バルクパッケージングなどの開発も行なってきた。ソニーとの協業によるPCCプラスチックの採用なども進め、使用エネルギーや二酸化炭素排出量の削減にも取り組んでいる。
そのほか大和研究所では、ThinkPad 30周年となる来年2022年に向けた製品の準備も進めているという。詳細については「お楽しみに」とのことだった。
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