森永「ダース」は板チョコの弟として私を人間らしく成長させてくれた

デイリーポータルZ

「推す飯」とは、明るくてらいない気持ちでただ好きな飯を推す活動です。

第18回の今回はチョコレート編。

推し手はライターべつやくれい、まいしろ、編集部 石川大樹、古賀及子です。

こちらの記事ではまいしろさんが森永の「ダース」を推します。

登場人物

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べつやくれい
ドクロとヤクルトスワローズとメタルを愛する。甘いものが好きで「甘さ控えめ」という価値観を常々疑っている。
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まいしろ
テクニカルでクレバーな筆致で次々に記事を執筆。クールなタイプかと思いきや苦手な運動に果敢に立ち向かう記事を書くなど目が離せない。
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石川大樹
甘味と電子工作と民族音楽を愛する編集部員。クラシックギターに夢中。グッピーも大好き。
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古賀及子
編集部員で当企画の仕切り役。せっかちで早食いだが少食。

めちゃくちゃ普通のやつを選んだのには訳がある

古賀:
満を持しての推す飯チョコ回です! チョコ大好きの皆様にお集まりいただきました!

べつやく:
うおー

まいしろ:
いえーい

石川:
待ってました

古賀:
トップバッター、まいしろさんの推しは、超定番の森永「ダース」ミルク味です!

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キャプション

まいしろ:
ダース、めちゃくちゃ普通なやつ選んでしまったんですけど…。

古賀:
そうそう、ど定番を推してくるからちょっとびっくりしたんですよ。でもストーリーがあるんですよね。

まいしろ:
そうなんですよね。中学の頃の話なんですけど……

石川:
さかのぼるなー。

まいしろ:
毎日板チョコをボリボリ食べてた時期がありまして。冷蔵庫にずっと板チョコを常備し続ける女子中学生やってたんですね。

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まいしろさんは当コーナーのアイス回でも激しく板チョコアイスを推していた

古賀:
板チョコボリボリ期が。

まいしろ:
板チョコって森永と明治とロッテが3強なんですけど、私はずっと明治派で明治ばっか買って食べてました。

古賀:
えっ、3社をちゃんと比べて、贔屓の意識があったんだ、中学生なのに。

べつやく:
確かに中学生でそれは早い。

まいしろ:
そうなんですよ! これは記事にも入れておいて欲しい情報なんですけど、当時は明治のチョコだけ5グラムぐらい多かったんですよ。

べつやく:
チョコに対して早熟だなと思ったら、量。

古賀:
5グラム……! 超僅差!

まいしろ:
今は各社一緒の量になってて悲しいです。

古賀:
当時は明治が一番量が多かったと。

まいしろ:
中学生からしたら同じ値段で5g多いとか狂喜乱舞ですよ。スーパーで裏面めっちゃ見比べてました。ただ、大学生ぐらいになって気付いたんです。

古賀:
お、時が過ぎた。

まいしろ:
板チョコボリボリ食べるの、けっこう恥ずかしいなって。

石川:
あはは。遅い思春期が。

べつやく:
6年経って気がついたんだ。

まいしろ:
そうなんです。駅のホームとかでお腹すいた時に板チョコにかじりついてボリボリ食べるの恥ずかしいなって。てかめっちゃ見られるなって。

べつやく:
駅のホームで食べてたのか!

まいしろ:
そうなんですよ。学校以外のいろんなところでボリボリしてました。

べつやく:
私もコロナが終わったら駅のホームでぼりぼりしてみよう。

まいしろ:
めっちゃいいですよ! 駅のホーム!

石川:
板チョコ、ボリボリかじって食べなくていいように割れ目ついてるのに。恥ずかしくなく食べられるように。

まいしろ:
あの割れ目を無視して食べると本当においしいんですよ。

石川:
あはは。

まいしろ:
真ん中でナナメにかじった時とか。

石川:
征服感?

まいしろ:
やったった! みたいな。

古賀:
他人の敷いたレールの上を走らない自由な感覚かな。

べつやく:
わかる気がする。あの薄いところと厚いところの差が歯で分かる感じとか。

まいしろ:
そうそう。

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割れ目で割らないという美学があるのか

古賀:
べつやくさんが完全についていっていてすごい。

まいしろ:
ただの板なのにエンタメ性があるんです。至高のフォルムしてるんですよ板チョコは。

石川:
無視してるから、割れ目なんていらないのかと思ったら、無視をするところまで楽しんでるんだ。

古賀:
すごいな、世の中まだまだ知らないことがある。

板チョコの恥に気づき理解した、ダースの気持ち

まいしろ:
それくらい板チョコ原理主義者だったので、ダースのこと最初けっこう馬鹿にしてたんですよ。

べつやく:
ああ、かじれないから。

古賀:
今の流れからすると、ダースは完全に邪道ですもんね。

まいしろ:
こいつ板チョコみたいな顔してチョコ切ってやがるみたいな。

古賀:
パワーワードががんがん出てくるな。

石川:
ちんまりしやがって、っていう。

まいしろ:
板チョコ原理主義者からしたらありえないと思って。

石川:
この粒が!って。

べつやく:
粒は厚みも均一だしね。

まいしろ:
友達から渡されたときとかちょっと嫌でしたもん。

石川:
あはは。チョコ好きだろうと思ってくれてるのに、理不尽。

まいしろ:
かじらせろよ! せめて割れ目で割らせろよ! みたいな。

古賀:
どんだけチョコに対してワイルドな気持ちでいるんだ。

まいしろ:
だいたい、ダースは板チョコの隣で売ってるし、図々しいなと思って。

べつやく:
板の仲間みたいな顔してね。

まいしろ:
ただ大学生になって、板チョコに隠された恥みたいなものに気付いたときに急にダースを作った人とか、ダースを買う人の気持ちがわかるようになって

べつやく:
急展開。

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急にダースを理解した

石川:
あはは、人の心を理解した。

古賀:
理性が目覚めたんだ。

まいしろ:
たぶんダースって「板チョコ好きだけどかじるの恥ずかしい」って思った人が作ったんだと思うんですよ。

べつやく:
狩猟から農耕社会への理解。

石川:
野生児が感情を獲得した。

まいしろ:
だからチョコの下の紙もちゃんとチョコ色してるんです。

古賀:
ほんとだ!茶色い!!

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そういうことなの!?

まいしろ:
最近の粒のチョコって、チョコの中に何かとろっとしたやつ入れてくること多いですけど、ダースって中に何もいれずにチョコの味だけ変えて新しいの出してくること多いんですよ。
たぶん自分のこと板チョコって信じてるんです、ダース。

石川:
なるほどねー。

まいしろ:
ダースは板チョコの弟分だったんですよ。パッケージも寄せてるし。

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確かに平たくて板チョコの形をしている

べつやく:
板チョコにあこがれているんだ。

古賀:
最終ちょっと泣けることになってきた。

まいしろ:
明治や森永の兄貴にできないことを俺がやるぞみたいな。

古賀:
意思がある。

石川:
まいしろさんすげーな。

まいしろ:
そういうダースの気持ちに気付いてからダースのことめっちゃ推すようになりました。

映画化しよう

古賀:
推す飯、普段はいかにうまいかの話をするコーナーなんですが、解釈で面白がる日がくるとは。

べつやく:
まさか形状の話だとは思わなかった。

まいしろ:
生まれて初めて人にしましたこの話。

古賀:
こんなにダースのこと考えてる人いないと思うよ。

石川:
完全にまいしろさんを救いたかったチョコじゃないですか。まいしろさんに人の感情を教えるっていう。
で、そういうダースの気持ちにちゃんとまいしろさんが気づいて、満を持して推しチョコとして推してる。いま物語のクライマックスですよ。

べつやく:
感動巨編。映画化だ。

石川:
ダースがこの記事を読んだところでスタッフロール。

まいしろ:
ダースに気持ちが届いて欲しい。

古賀:
推す飯ってみんなでせーので食べるくだりがあるんですが、いらない流れ。

石川:
もう食べなくて十分。

べつやく:
形を愛でよう。

古賀:
とりあえず、板チョコだと思ってみんな見ましょうか……見たらめっちゃ板チョコっぽくてゲラゲラ笑ってしまった。 

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あらためて、形です

石川:
今開けたらこんなふうになってました。

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どんがらがっしゃーん

まいしろ:
あっ……。

べつやく:
板を拒否。

古賀:
こういう反抗心にみちたダースもいるんだ。

まいしろ:
でもバラバラになるっていう愛嬌は板チョコにはないので……。こんなこともできるぞっていう。ダースなりのリップサービスです。

石川:
素早いフォローにまいしろさんとダースの絆を感じますね。

べつやく:
まいしろさんダースにやさしい。

古賀:
育ての親だものね。

まいしろ:
感情を教えてもらいましたからね。

板チョコを食べてると思って食べてあげてください 

石川:
食べますよ。

まいしろ:
ぜひ食べてあげてください。板チョコだと思って。自分はいま板チョコ食べてるんだと思って

古賀:
食べましょう。

べつやく:
食べました。

まいしろ:
おいしいでしょう。

古賀:
おいしい。

石川:
おいしい。

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流れに関係なくて恐縮ですが、パッケージが飛行台みたいになってかっこいい

べつやく:
まいしろさんはダースもかじりますか

まいしろ:
たまにかじってます。でもダース、小さいから1個につき1回しかかじれないじゃないですか。
1箱につき12回しかかじれないんですよ。そこはちょっと改善の余地ありますよね。

古賀:
やっぱり、もっとかじれて欲しいんだ。

まいしろ:
でもちょっとしかかじれないとこも今となってはかわいいです。

べつやく:
かじる間もなくすぐ口の中でとけますね。

古賀:
とけるとける、これ、改めて味わうとめちゃくちゃ美味しい。

石川:
なんかすごい普通のコメントですけど…おやつに最適ですね。

当然、選ぶのはミルク味

古賀:
ダース、味の自信がすごいですね。裏面のコピーがかなり煽ってる。

まいしろ:
かじれない分、味でがんばるぞみたいな。

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ぐいぐい味の良さを推してくる

石川:
ほんのりキャラメリックって書いてある。確かにちょっとキャラメルっぽさありますね。

古賀:
キャラメリックで、あと「ナッティ」ってあるんですよね。ナッツっぽいってことか。聞いたこと無い良さの形容だなと思って。

石川:
ナッツ感ですね。

古賀:
味をこんなに頑張ってるイメージなかったなあ。

べつやく:
うっかり3粒も食べてしまいました。

まいしろ:
私4粒食べてます。

べつやく:
とまらなくなりますね

古賀:
実は私撮影のためにホワイトも買っておいたんですが、ホワイトのほうもトレイが茶色くて。まいしろさんの理論でいうとここは白くあってほしいですね。

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無念にもホワイトチョコは板チョコに見えない

 まいしろ:
そうなんだ! 普段ホワイト買わないから初めて知りました。そこちょっと減点ですね。

古賀:
ミルク味が基本ですか??

まいしろ:
そりゃそうです。

石川:
まいしろさんの「それしか買わない」感じすごい頼もしいんですよね。

古賀:
そうそう、板チョコアイスのときもそうだった。

べつやく:
ひとつのものにかける情熱。

まいしろ:
メーカーからしたらめちゃくちゃいい消費者だなと思うことはあります。買い支えてる感じ。

石川:
服選びを省くため毎日同じ服着てる。スティーブジョブズみたい。

べつやく:
iPhoneみたいなチョコ開発してほしいです。

古賀:
板チョコですねそれ。

べつやく:
戻った。

登場人物

163.jpg
べつやくれい
ドクロとヤクルトスワローズとメタルを愛する。甘いものが好きで「甘さ控えめ」という価値観を常々疑っている。
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まいしろ
テクニカルでクレバーな筆致で次々に記事を執筆。クールなタイプかと思いきや苦手な運動に果敢に立ち向かう記事を書くなど目が離せない。
184.jpg
石川大樹
甘味と電子工作と民族音楽を愛する編集部員。クラシックギターに夢中。グッピーも大好き。
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古賀及子
編集部員で当企画の仕切り役。せっかちで早食いだが少食。

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