メモ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受けて、アメリカでは銃弾やサバイバル用品の売上げが爆増していることが報じられていました。そんなアメリカで、COVID-19の流行以降、銃による暴力事件の発生件数が急激に増加していたことが明らかになりました。
Gun violence incidence during the COVID-19 pandemic is higher than before the pandemic in the United States | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-021-98813-z
US Gun Violence Rose 30% During The Pandemic, And Families Were in The Line of Fire
https://www.sciencealert.com/us-gun-violence-rose-30-during-the-pandemic-putting-more-stress-on-the-healthcare-system
全米ライフル協会は2020年3月に「弾薬とサバイバル用品」の需要増加を報告。その際に銃規制の専門家は「パンデミックが収束し、私たちが物理的な距離を置く現実から抜け出しても、銃は残るでしょう。学校や家庭、職場、コンサート会場での銃乱射事件が増えてしまうのではないでしょうか」と述べ、銃による暴力事件の増加に危機感を示していました。
新型コロナウイルス流行拡大で「銃弾とサバイバル用品」が売れまくりだと全米ライフル協会が報告 – GIGAZINE
そんなパンデミックと銃による暴力事件の関係を調査するべく、ペンシルベニア州立大学の研究チームは非営利団体のGun Violence Archiveが収集した銃による暴力事件の情報を分析しました。その結果、2020年3月~2021年3月に発生した銃による暴力事件の件数は、アラスカを除く全ての州で前年より増加していたことが判明しました。加えて、ニューヨーク州・ミネソタ州・ミシガン州では事件の発生件数が2倍以上に増加していたことも明らかになっています。
2020年には、アメリカで社会的距離の確保による家族や友人との接触機会の減少がうつ病患者の増加を引き起こしたことが報告されています。研究チームは、この「COVID-19に起因する心理的ストレスの増加」が銃による暴力事件の増加を引き起こしていると主張しています。加えて、アメリカの銃購入者登録システムNational Instant Criminal Background Check System(NICS)の「拳銃の売上高が前年比41%増加している」という情報を基に、研究チームは「銃へのアクセス機会の増加も、銃による暴力事件の増加を引き起こしています」と記しています。
研究チームは「COVID-19の流行を抑えるには、外出禁止令と社会的距離に関する対策が不可欠です。しかし、銃による暴力につながる可能性のある社会的および経済的ストレス要因にも注意する必要があります」と述べています。加えて、研究チームを率いた医師のパディ・セントンゴ氏は「医療サービスのひっ迫は、COVID-19と銃による暴力事件の増加という、アメリカにおける2つの流行の衝突の結果が表れたものです。これにより、両方の患者が必要な医療サービスを受けることができないという状況が発生しています」と主張しています。
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