ハードウェア支援型のセキュリティ機能を備え、最新のリモート管理機能を利用できる「インテル vPro プラットフォーム」。その魅力を社長にプレゼンしたところ、会社の業務にテスト導入してみることになった。
……コロナ禍により、急きょテレワークを余儀なくされた中小企業の実情をお伝えしている本企画。今回は前回に引き続きその特別編として、中小企業でもインテル vPro プラットフォームを導入するメリットがあるのかを、体当たりで検証してみた模様をお届けしたい。
私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はvProを経理の業務に利用することで、テレワークを促進できないか検討してみた。
10月11日(月):vProマシンが会社にやってきた!
INTERNET Watch編集部に「うちの会社でもvProを使ってみたい!」とお願いしたところ、「Lenovo ThinkPad X1 Carbon」が送られてきた。さっそく、BIOSを起動してみると、「Intel AMT Control」は「Enabled」に設定済み。あとは使用ツールの選定だが、これは会社の規模を考えて「Intel Manageability Commander」一択だろう。
このあたりは、INTERNET Watchに掲載されているIntel vPro レビューを参考にしつつ、「Intel Management Engine BIOS Extension」の設定をしていくことにする。
……と、思ったのだが、ふと気が付いた。「このマシン、有線LANのコネクタが付いていない」。となると、「Intel Management Engine BIOS Extension」ですべての設定はできないので、まずはWindowsで「Intel Setup and Configuration Software」を起動。ここでネットワークの設定などを済ませれば、今度こそ準備は完了。実際にLAN経由でリモート管理機能を使ってみたところ、無事にシャットダウン状態からの電源投入から、各種操作までがリモートで行えた。
さて、このマシンは経理の机に置かせてもらって、今日はこのまま帰宅することに。明日は自宅からマシンを遠隔操作できるか試してみよう。
10月12日(火):自宅からVPN経由でvProマシンが操作できるか?
今日は自宅でテレワーク。朝の仕事が片付いたので、さっそくvProを試してみることにした。
自宅からvProでの遠隔操作を行うには、まず会社のVPNネットワークに接続する必要がある。「Intel Manageability Commander」は自宅にあるテレワーク用マシンに導入済みなので、これを起動。IPアドレスなどを指定したうえで、vProのIDとパスワードでログインすると、vProマシンのステータスが表示された。
「Power」欄が「Soft off」になっていたので、まずは「Power Up」のコマンドを送信。vProマシンの電源を遠隔操作でオンにする。その後に「Remote Desktop」の画面に移動して、「Connect」をクリックすると、画面にWindowsのログイン画面が表示された。どうやら自宅からでも、会社のvProマシンを問題なく遠隔操作できるらしい。
「Chrome リモートデスクトップ」を使って個人的に運用しているリモート環境では、会社のPCの電源を遠隔操作でオンにするのに苦労していた。とはいえ、経理のマシンが起動しっぱなしでは、コンプライアンス的に問題だろう。でも、vProなら会社側のマシンをシャットダウンしていても、簡単に電源を入れて操作ができる。しかも、セキュリティは万全で。
……これなら、経理の人が会社に来なくて済むんじゃないの?
10月14日(木):もう入金のために会社にこなくてOK! 将来的にはペーパーレスも?
vProでのリモート操作に目途が立ったので、いよいよ試験運用を始めたいと思う。今回は社長の意向で、経理業務でのテストをすることに。その使い方について、経理のAさんにヒアリングをしてみた。
【飛田】: ということで、経理のPCが遠隔操作できるようになったら、何が一番便利かな?
【経理A】: やっぱり入金かな。自宅のPCでは怖くてできなかったし。
【飛田】: それって、遠隔操作した会社のPCでネットバンキングを利用するっていうこと?
【経理A】: それができたら、PCを操作するためだけに、わざわざ会社に行かずに済むかもねぇ。あとは、毎月10日に住民税と源泉徴収税の支払いがあるけど、これも自宅でできるようになるかな。
【飛田】: 僕らの給料の振り込みも?
【経理A】: あはは、それもだね。うちでは会計ソフトはオンラインの「弥生会計」を使っているんだけど、給料計算にはパッケージ版の「弥生会計」を使っているんだ。だから、会社でしか管理できないんだよね。
【飛田】: 請求書の処理も楽になるんじゃない?
【経理A】: んー、紙で送られてくるものもあるし、原本が欲しいという取引先には郵送しないといけないから、結局は出社することになるかな。うちは個人のクライアントもいるから、受発注の情報が締め日にきちんとそろわなくて。請求書が届いてから金額がフィックスすることもあるから、基本は請求書を見ながら弥生会計に手入力しているんだよね。
【飛田】: えーーー、じゃあ僕の方でboardに入力した発注金額とかって、経理業務に使われてなかったの!?
【経理A】: 誰に発注したのか把握するのには使えてるし……。でも、テレワークで請求書をPDFで送る取引先も増えたから、いつかはペーパーレスになるかもね。そうなったら、請求書の処理も自宅でできるようになるかもね。
試しに、経理AさんにLenovo ThinkPad X1 Carbonを遠隔操作してもらったところ、ネットバンキングやe-Taxなどのホームページにログインすることができた。請求書は万が一にも発送や受取が遅れても話し合いで解決できることがあるが、入金が遅れたら会社の経営に支障が出るので、「これがあると、保険としてかなり安心できる」(経理A)とのこと。
【経理A】: これがあれば、もしコロナに感染しても何とかなる!
【飛田】: いや、その場合は休んだ方がいいと思います。
ただ、この「マシンに何かあっても、管理者が遠隔操作でリカバリーできる」というのは、保険という意味では大きな強みになりそうだ。少なくとも、経理Aさんが会社に来る日は減らせそうなので、ぜひとも会社には正式な導入を検討してもらいたい。