職場における「世代間ギャップ」、いかに解消すべきか?:米国のZ世代が重視する労働観

DIGIDAY

パンデミックはすべての人のビジネスを混乱させてきたが、Z世代と彼らよりも経験豊富な職場の人々とのジェネレーションギャップは、仕事の満足度や出張、さらには上司の年齢に至るまで、いまも変わることなく存在する。

実際、アドビ(Adode)による最近の調査では、世代の異なる社員のあいだに、多くの感覚の違いがあることが明示されている。職場のあちこちで生じる感覚の違いに、Z世代の社員は不満を抱く。そして彼らは、現在多くの企業が直面している大量離職という課題を牽引し、いわゆる「大離職時代」を主導していることが、同調査で示唆されている。

アドビの調査アンケートに対し、Z世代の回答者の半数以上が、就業年数は少ないにもかかわらず、翌年には新しい仕事を探す予定だと答えている。すべての回答者グループのなかで、この世代はワークライフバランス対する満足度と、自分の仕事全体対する満足度がもっとも低かった(それぞれ56%と59%)。また、「午前9時から午後5時という通常の勤務以外の時間帯の方が、パフォーマスは向上する」という回答は、ほかの世代を含めた場合は全体の4分の1だったが、Z世代は異なる。彼らの場合、「通常の勤務時間内に仕事をしなければならないというプレッシャーを最も感じる(つまり、業務時間外でやる気が出るということ)」という回答は、全体の62%と半数を超えている。また、Z世代の回答者の約半数は、「寝ながら仕事をすることが多い」と答えている。

価値観の整合性を重視

この調査結果を受け、トロントに本拠を置くCX企業のエイダ(Ada)では、世代間格差を解消する取り組みを行っている。

同社はパンデミックのずっと前から、若手社員が要求するような職場の柔軟性を提供してきたという。たとえばエイダは、300人以上の社員に理由を問うことなく、無制限の有給休暇を与えている。また、ストロベリーアイスクリームデー(National Strawberry Ice Cream Day:毎年1月15日)などのイベントを祝うために全社的な有給休暇日を設け、必要に応じて、スタッフが息抜きをできるようにしている。

「柔軟性と自律性は、社員の価値観評価プロセスの一部になりつつあり、Z世代、およびミレニアル世代は就業先を選ぶにあたり重要な要素として、価値観の一致に注目し続けている」と、エイダでオペレーション領域のシニアバイスプレジデントを務めるチェルシー・マクドナルド氏は述べている。「Z世代による企業の評価はシビアだ。彼らはこれからも、自分たちの価値観に一致する企業に高評価を与え、そうでない企業をばっさり切るだろう」。

出張に強い抵抗感

また、SAPコンカー(SAP Concur)による最近の調査によると、若い世代は出張にも強い抵抗感を持っている。同調査は出張を、人材の離職に繋がりかねない大きな要素として挙げている。

たとえば、回答者全体のほぼ3分の1(31%)が、企業が社員の健康と安全を保護するための方針や対策を実施しない場合は、出張を制限すべきたと回答している一方、Z世代とミレニアル世代の社員は、その主張は半数以上(56%)にもおよぶ。さらに、社員の健康と安全が優先されないならば、出張を制限するよう自ら企業に直訴する考えだという。

また、米国在住のZ世代の回答者の48%が、受け入れがたい状況下で出張しなければならない場合は、新しい仕事を探すと答えている。

「見てもらいたい、聞いてもらいたい」

職場でのコミュニケーションも、Z世代にとっての企業評価に欠かせない要素だ。ゲットアップ(GetApp)が行った別の報告では、ミレニアル世代とZ世代の多くは、上司に求める主要な特性として、良好なコミュニケーションを挙げているという。なお、良好なコミュニケーションはミレニアル世代の約半数に上ったが、Z世代になればさらに増え、69%が管理者にメンターとして指導してもらい、定期的にフィードバックを提供して欲しいと回答している。「いい換えれば、Z世代は常に自分の立ち位置を知りたがっており、企業のリーダーやメンターからそれを教えてもらいたいと考えている」と、ゲットアップの上席アナリストであるブライアン・ウェストフォール氏は解説する。

ブリティッシュコロンビアを拠点に、ディスカッション管理プラットフォームを展開する企業、ソートエクスチェンジ(ThoughtExchange)のCOOを務めるジェシカ・ノードランダー氏は、Z世代を含めた社員の離職を防ぐための多様なコミュニケーション戦略の重要性を強調する。

見てもらいたい、聞いてもらいたいという若い社員の欲求は、主にソーシャルメディアによって後押しされており、パンデミックのバーチャル環境のなかでさらに強まっていると、ノードランダー氏は分析する。同氏の企業は社員間のフィードバックを一番大切にしており、それが奏功して、世界的なパンデミックの最中でも成長を可能にしたという。「Z世代が、職場のテクノロジーや社内でのコミュニケーションに期待していることを考えてみると、彼らは大きな舞台で発言したり、活躍したいと望んでいることがわかる。リーダーたちはそれに目を向ける必要がある」と彼女は語る。

年配の上司を好む

最新の調査では、Z世代が自らの上司を、どのような基準で評価しているかも明らかになっている。同調査によると、Z世代からは年長の上司が好まれている、ということだ。

ペンシルベニア州ウエストチェスターに本拠を置く情報技術企業スカイノバ(Skynova)によって行われた、約1200人の労働者を対象とした調査によると、ミレニアル世代は第2次ベビーブーマーの上司(31%)よりも年配の上司(58%)を好む傾向がある。全体として、調査回答者の過半数(55%)は年上の上司を好むと答え、自分より若い管理職者を好むと答えたのは20%未満だった。

調査では、若い上司と年配の上司、両方についての好ましい点が明らかになった。若い上司は、より計画的でコミュニケーション能力が優れていると評価される傾向にあり、また年配の上司は聞き上手でフィードバックの提供に長けていると評価されている。

一方、同世代間で上司と部下となった場合に関係が難しくなる可能性があることも、この調査で明らかになった。年齢差が3歳以内の管理職者と部下の関係が、もっともギクシャクしやすいのだという。スカイノバのクリエイティブ戦略担当であるメロディ・カスリス氏は、解決策とまではいえないが、次のように提言を行っている。「部下と上司の間の年齢差は、良くも悪くも関係を左右する要素であることは間違いない。重要なのは、若い上司と年配の上司が、それぞれ自分には何が足りないかを認識することだ。それだけで、その職場における年齢差の力学がどう働いているかを把握できるようになる」。

[原文:How Gen Z is handling the workplace generation divide, and how it can be fixed

TONY CASE(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)

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