長く成果を上げ続けるチームや組織の構築に必要なスキルとは?

GIGAZINE
2021年10月09日 22時00分
メモ



新たな企業を創設したり、チームを構築したりする際には、それらの組織が長く存続できるように気を配る必要があります。そんな長続きする組織を構築するために必要なスキルについて、ソフトウェア開発会社の経営に携わるセドリック・チン氏が解説しています。

The Skill of Org Design – Commonplace – The Commoncog Blog
https://commoncog.com/blog/org-design-skill/

チン氏は、大学在籍時にプログラマーコミュニティ「NUS Hackers」を創設しました。NUS Hackersはチン氏がコミュニティを離れた後も存続し、記事作成時点でも優秀なプログラマーが多数在籍しています。また、チン氏が新人採用プロセスを構築したソフトウェア開発会社では、チン氏が入社に関わった人物の70%が在籍し続け、会社の収益は2倍以上に成長したとのこと。チン氏は自身を「私の組織設計能力は世界クラスではありません。私は自身の能力をB~B+と評価します」と評価しつつ「私は私よりも優れた人物のスキルを認識する方法を知っています。そして私は自分のスキルのどの部分を改善するべきかを知っています」と述べ、組織設計時に着目すべきポイントを解説しています。

最初に、チン氏は組織設計を「組織の形式・システム・プロセス・分化といった『フォーム』を、組織の目的である『コンテキスト』に合わせて変化させること」と定義しています。


フォームをコンテキストに合わせて変化させるプロセスには以下2つの問題が存在します。

・組織が社会的・文化的・経済的背景の異なる複数のメンバーで構成されているため、組織設計者の変更に対するメンバーの反応を予測することが困難である
・組織が機能不全になった場合、元の状態に戻すのは困難である

チン氏は、これらの問題を解決するために、組織に変更を加える際は小さな変更から始め、「その変更が組織にどのように影響するかを監視し、変更を元に戻すか否かを判断する」というプロセスを反復する必要があると主張しています。

チン氏は上述の小さな変更の反復を効果的に行うには「1:組織内のメンバーと良好な関係を築く」「2:メンバーの反応をモデル化する」「3:経済的インセンティブ・契約・文化の3つのアプローチを駆使する」「4:組織に変更を加える方法を理解する」という4つのスキルが必要だと述べ、それぞれのスキルについて解説しています。

◆1:組織内のメンバーと良好な関係を築く
メンバーと良好な関係を築くことで、組織に変更を加えた際の各メンバーの反応が予測可能になり、組織全体への変更に抵抗する可能性があるメンバーに対して的を絞った対応が可能になります。これにより、2~4のスキルの効果が強まります。


◆2:メンバーの反応をモデル化する
組織に加えた変更は、メンバーに「昇進や報酬の増額といった経済的インセンティブ」や「組織内で構築されるステータスのインセンティブ」などをもたらします。このインセンティブに対する各メンバーの反応をモデル化することで、想定よりも反応が鈍い場合に適切な対応が可能となります。

◆3:経済的インセンティブ・契約・文化の3つのアプローチを駆使する
チン氏によると、組織に変化を加える方法には「経済的インセンティブを与える」「新たな契約を追加する」「新たな文化を導入する」という3つのアプローチが存在するとのこと。これらのアプローチを、解決しようとする問題に合わせて適切に使い分ける必要があるとチン氏は述べています。

チン氏が過去にベトナムで経営していたソフトウェア開発会社には「メンバーが性差別的な言動を繰り返す」という問題がありました。この問題を解決するには「性差別的な言動に罰金を科す」という経済面でのアプローチや、「性差別的な言動を控える文化を導入する」という文化的アプローチが考えられます。チン氏は、このうち文化的アプローチを採用し、朝礼でメンバーに対して「チームのメンバーに女性が必要です。現在のチームには女性を不快にさせる文化があります。今後、性差別的な言動は禁止します」と語りました。その結果、朝礼から1カ月以内に性差別的な言動は見られなくなったとのことです。


◆4:組織に変更を加える方法を理解する
上述の通り、一度に大きな変更を加えて組織が機能不全になった場合、組織を元の状態に戻すとは困難なため、機能不全を回避するために一度に加える変更を小さくする必要があります。また、変更を加える際は「何らかの問題」への対応として扱うことで、メンバーが変更を受け入れやすくなります。

変更を加えた後は、その変更の結果を評価する必要があります。チン氏は、新たなタスク管理プロセスを導入してから1カ月後の面談でメンバーが不満を抱いていることを知り、その修正に3週間を費やした経験があるとのことで、変更を加えた後はメンバーの反応をこまめに確認するべきだと主張しています。

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