「NFT」販売額が第3四半期に1兆円超え、アートからエンターテインメントまで ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2021/9/30~10/7】

INTERNET Watch

1. システム障害が相次ぐ――交通系ICカード、Facebook、Instagram、Outlook

 この1週間あまりで国内外で大規模なシステム障害が報告された。いずれも利用者数が多く、さまざまな意味でのインパクトがあった。

 まず、10月5日の朝から、Apple Payに登録されている交通系ICカードSuicaとPasmoでオンラインチャージができないという障害が発生した(ケータイWatch)。ただし、券売機などでのチャージ・購入は可能だったのは不幸中の幸か。通勤の時間帯に残高不足になった人もいた模様だ。障害が解消したのは同日の夕刻だった(ケータイWatch)。

 また、同日の未明にはFacebookとInstagramにアクセスができなくなった(ケータイWatch)解決には7時間ほどを要した(ケータイWatch)。原因は「データセンター間のネットワークトラフィックを調整するバックボーンルーターの設定が変更されたこと。通信を遮断する問題が発生し、データセンターの通信手段に連鎖的な影響を与え、サービスが停止した」としている(ケータイWatch)。

 また、マイクロソフトのメールサービス「Outlook」でもアクセスできなくなる障害が発生した(ケータイWatch)。

 このように、世界的にユーザー数が多く、日常的な利用がされているサービスが、突然、利用できなくなればユーザーが戸惑うのは当然のことだ。今回の場合、たまたま同じ日に発生したものの、それぞれ原因は特定されているわけだが、まさかの「世界同時サイバー攻撃」のような大規模犯罪だったらと想定したうえで、社会インフラの脆弱性に対する対応策も考えておくべきか。

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2. フェイスブックの社内文書をリークした人が米国議会で証言

 Facebookというサービスは10代の子どもたちに対して「害を与え、分断を助長し、民主主義を弱体化させている」として、フェイスブック社内の文書をリークした同社の元製品マネジャーのフランシス・ホーゲン氏が議会で証言をした(CNET Japan)。そして、「同社をこれまで以上に積極的に監視すること」を求めたことが報じられている。また、それに先立ち、同氏は米国の人気テレビ番組「60 Minutes」にも登場し、「Facebookは何度も、より多くの金を稼ぐといった自社の利益のために最適化することを選んだ」とも語っている(CNET Japan)。

 こうした一連の出来事に対して、マーク・ザッカーバーグ氏はリークされた内部調査データに基づく報道について「データを文脈から外し、誤ったストーリーを構築するために利用されるのを見るのはがっかりすることだ」と全社員向けのメッセージで述べた(ITmedia)。

 同社では「新機能や製品に対する批判に対応するために評判の再調査を進めている」とも報じられている(CNET Japan)。

 この数年でSNSが人々のコミュニケーションのあり方に大きな影響を与えていることは間違いなく、その影響が及ぼす範囲、そしてビジネスとしての成果とのバランスについて、一石が投じられた出来事ともいえそう。

ニュースソース

  • Facebook内部資料をリークした人物がテレビ出演–公益より利益優先と批判[CNET Japan
  • Facebookの社内文書リーク者が議会で証言–「モラル崩壊」を語る[CNET Japan
  • Facebook、批判高まる中で「評判の再調査」に着手か[CNET Japan
  • FacebookのザッカーバーグCEO「データを捻じ曲げて利用されてがっかり」という全社書簡を公開[ITmedia

3. 「NFT」販売額が第3四半期に1兆円超え、アートからエンターテインメントまで

 NFTに関する話題は世界的にもことかかない。ブロックチェーン分析会社DappRadarのレポートによれば、2021年第3四半期(7~9月期)のNFT販売額は107億ドル(約1兆2000億円)に上るとされていて、これは対前年同期比で700%以上になる。とりわけ、8月には大きな成長をしたとされている(coindesk)。

 そのような活況な市場のなかで、大英博物館がNFTに参入したことが報じられている。大英博物館では葛飾北斎の「神奈川沖波裏」「凱風快晴」といった作品のデジタル画像など200点以上のNFTをオンラインで販売するという(美術手帖)。

 また、TikTokもNFTに参入する。TikTok上のトップアーティストらによって制作されて、「トレンドとなった動画にインスパイアされた、新しいNFTコレクション」を「TikTok Top Moments」として発表した。発表文のなかでは「クリエイターに対しては、コンテンツによって認められて報奨を受ける手段を提供し、ファンに対しては、TikTok上の文化的に重要な瞬間を保有する手段を提供する」としている。

 さらにTwitterでも「デジタルウォレットとの連携やNFTアートをプロフィール画像に設定する機能など」をテストしていると報じられている(Media Innovation)。

 日本ではスクウェア・エニックスがNFTデジタルシール「資産性ミリオンアーサー」の第1弾として「-資産王、君臨-」を発売する。同社では「NFTが同社の事業にシナジーを生み出すかを検証、NFTとエンターテインメントの組み合わせが持つ可能性を検討していく」と発表している(Impress Watch)。

 アートからエンターテインメントまで、さまざまな分野での実証が進められていて、今後のデジタル作品の大きなトレンドとして続きそうだ。

ニュースソース

  • NFT販売額、1兆円超え──Q3は前年同期比700%超の増加[coindesk
  • 大英博物館がNFTの世界に参入。北斎作品のNFT200点以上を販売[美術手帖
  • TikTok、初のNFTコレクションを発表–リル・ナズ・Xさんらが参加[CNET Japan
  • ツイッター、NFT連携機能のテスト動画を公開・・・所有NFTの一覧表示やプロフィール画像への設定[Media Innovation
  • スクエニがNFTデジタルシール発売、カスタマイズや売買に対応[Impress Watch
  • ゲームアイテムに鑑定書が付く時代がくる?–NFT(non-profit-token)はゲーム業界を変革する[CNET Japan

4. 今週報告された「フィッシング手法」

 今週もフィッシング詐欺がいくつも報じられている。どのような手法があるのかを目にしておけば、実際にそうしたメールが着信したときに冷静に対応ができるのではないかと思われることからまとめておくことにする。

 NTTドコモでは「NTTセキュリティ」と名乗りSMSで不正なアプリをインストールさせて、ドコモオンラインショップで意図しない決済を発生させるというものだ。発表によれば1200人、1億円の被害が発生しているようだ(INTERNET Watch)。

 また、ソフトバンクを名乗るSMSでは「本文に記載のURLのWebサイト内でIDやパスワードを入力すると、意図しない住所変更や機種変更が行われる可能性がある」として注意喚起をしている(ケータイWatch)。

 そのほか、アメリカンエキスプレス(INTERNET Watch)、お名前.com(INTERNET Watch)、さくらインターネット(INTERNET Watch)などを名乗り、アカウント情報を詐取しようとする事例が報告されている。

 巧妙化する手法に対して、引き続き、警戒が必要だ。

ニュースソース

  • NTTドコモ、フィッシング詐欺で1200人に1億円の被害。「NTTセキュリティ」などを装ったSMSに注意[INTERNET Watch
  • アメリカン・エキスプレス・カードをかたるフィッシングが増加、件名「[AMERICAN EXPRESS]電話番号変更のお知らせ」などのメールに注意 カード情報やアカウント情報を詐取[INTERNET Watch
  • お名前.comをかたるフィッシングメールに注意、件名は「【重要】[GMOクラウド] ドメイン利用制限設定 完了通知」など 利用制限をかけたとして、偽サイトでIDとパスワードの入力を求める[INTERNET Watch
  • さくらインターネットをかたるフィッシング、件名「【重要】ご利用の会員IDとサービスについて」などのメールに注意 本人確認のためなどとして偽のログインページに誘導[INTERNET Watch
  • 勝手に機種変更される可能性、ソフトバンクやワイモバイルかたる不審なメール・SMSに注意[ケータイWatch

5. ソフトバンクが成層圏通信技術「Loon」の特許を取得

 ソフトバンクが成層圏に通信機器を搭載した気球を飛ばし、インターネット接続サービスを提供することを目指して開発をしていたグーグル兄弟会社となるLoonから、高高度疑似衛星(High Altitude Pseudo-Satellite:HAPS)関連特許を取得すると発表された(CNET Japan)。

 今後、ソフトバンクとHAPSモバイルは「HAPS商用化に向けてこれら特許を活用するほか、HAPS業界の標準化と相互接続などを推進する」としている。なお、Loonの親会社であるAlphabetはLoonの解散を決めたとしている。

 成層圏インターネットは基地局を整備することが困難な地域に対して、通信インフラを提供する手法として画期的だとみられていたが、事業化は困難ということか。一方のソフトバンクは既存の自社開発技術と組み合わせることで、複合的な上空インフラの提供が可能と考えたとみられる。

ニュースソース

  • ソフトバンク、グーグル兄弟会社Loonの特許を取得–成層圏からの通信サービス商用化へ[CNET Japan

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