テスラの「オートパイロット」をオンにすると脇見運転はどれくらい増えるのか?

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テスラ車に搭載されている運転支援システム「オートパイロット」は、交通状況に応じて速度や車線内のハンドル操作をアシストしてくれる機能ですが、近年ではオートパイロットをオンにしたテスラ車が起こす交通事故が問題視されています。そんな中、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが約50万マイル(80万キロメートル)を超える走行データを基にして、「テスラ車でオートパイロットをオンにするとドライバーのよそ見はどれくらい増えるのか?」を調査しました。

A model for naturalistic glance behavior around Tesla Autopilot disengagements – ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0001457521003791


Tesla Autopilot results in decreased driver attention, new study finds – Electrek
https://electrek.co/2021/09/13/tesla-autopilot-decreases-driver-attention-new-study/

Tesla Drivers Using Autopilot Watch the Road Less, MIT Study Shows
https://www.caranddriver.com/news/a37727214/tesla-drivers-autopilot-attention-mit-study/

There’s a Pretty Glaring Issue With Tesla’s Autopilot, Says New Study
https://www.sciencealert.com/study-shows-that-tesla-autopilot-reduces-the-attention-levels-of-drivers

オートパイロットはあくまでも運転操作の一部をアシストする機能であり、ドライバーはハンドルを握り続けることが意図されています。ところが、ドライバーの中にはオートパイロットを過信して運転中にスマートフォンをいじったり、センサーをだまして運転席を離れたりする人がいるほか、「オートパイロットが車線を誤認することがある」とも報告されています。2021年8月には、オートパイロットをオンにしたテスラ車が停車中の緊急車両に追突する事故が相次いでいることを受け、アメリカ運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)が76万5000台のテスラ車を対象にした調査を開始しました。

テスラの「オートパイロット」の正式調査をアメリカ政府機関が開始、停車中の緊急車両に衝突する事故が相次いだ件で – GIGAZINE


一方、テスラは定期的に発表している安全性レポートにおいて、「オートパイロットは交通事故を減らす」と繰り返し主張しています。イーロン・マスクCEOは2021年4月に発表したレポートを引用したツイートで、「オートパイロットを使用したテスラ車が事故を起こす確率は、平均的な車両の10分の1に近づいています」と述べました。


研究チームは自動車の運転とテクノロジーに関する継続的な研究の一環として、テスラ・モデルSとモデルXを運転するドライバーの姿勢と顔の位置を分析し、ドライバーの視線がどこに向いているのかを特定したデータを収集しました。そして、2016年以降に収集された合計50万マイルを超える走行データから、「オートパイロットがオフの状態とオンの状態」で視線がどう変化するのかを調べました。

調査の結果、ドライバーが「運転操作と関係ない場所へ2秒以上続けて視線を向ける割合」は、オートパイロットがオフの場合は全体の4%でしたが、オートパイロットがオンになると22%に跳ね上がることが判明。オートパイロットがオフになっていると、ドライバーはサイドミラーやバックミラーに目を向ける可能性が高くなりましたが、オートパイロットがオンになるとダッシュボード中央の画面などを見つめる時間が増えたと研究チームは述べています。

研究チームは、「この行動の変化は、システムができることとその限界についての誤解によって引き起こされる可能性があります。これは、運転の自動化がうまくいっている時に強化されます」と指摘。オートパイロットはあくまでも運転を支援する役割しか担いませんが、ドライバーはオートパイロットを過信しているため、オンにすると明らかに運転に注意を払わなくなってしまうとのこと。

by Pål-Kristian Hamre

オートパイロットのオンオフでドライバーの視線が変化してしまう問題について、研究チームは「オートパイロットが道路だけでなくドライバーの姿勢や視線も監視し、場合によっては警告を発するようにすること」を提案しています。自動車関連メディアであるCar and Driverは、GMの運転支援システム「スーパー・クルーズ」や日産の「プロパイロット 2.0」が赤外線によりドライバーの視線を検出し、注意散漫の傾向を見つけると警告する仕組みであることを挙げ、テスラのオートパイロットにも同様のシステムが必要ではないかと主張しました。

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