自民党に求められる本気の改革 – 松田公太

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日本の古く、肥大化し、柔軟性や成長力を失ってしまった組織では良くある事かも知れませんが、私が6年間勤めていた銀行では「企画力も行動力も群を抜いているこの人が頭取になるべきだ!」と思っていた人がよく途中で出向させられたり、潰されたりしていました。

その銀行を退行していよいよ独立しようと考えた時は(手前味噌で恐縮ですが、営業成績が数年間連続トップクラスで表彰されていた為)、引き止め工作にあいました。何度も面接を繰り返した挙げ句、最後に意思の固さを伝えた人事部次長からは「お前はリスク・ジャンキーか!?」と吐き捨てるように言われました。

「いや、リスクを取らないのが最大のリスクです。当行もこのままでは安泰ではなくなりますよ」と生意気にも反論した記憶があります。

それから25年。私がいた都市銀行はM&Aで名前が消え、3行だけとなったメガバンクは収益力が下がる中で大幅な人員削減や店舗の統廃合が続き、ジワジワと衰退の一途を辿っています。

そして、その間、テクノロジーの進歩と環境の変化に本気で取り組もうとした姿は見受けられていません。むしろ、みずほ銀行(第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行)の例を見れば分かるように、水面下で各行重鎮の「生き残り」や「派閥争い」に時間を費やした結果、20年以上経過した今でもシステムを中心としたトラブルが相次ぐような異常事態を招いているのです。

フィンテック、デジタルトランスフォーメーション、新たなフィービジネスの開拓。内部闘争ではなく外に目を向けて本気で改革しなければ、日本のメガバンクは15年後は世界の金融改革の潮流に押され、僅かに残った決済・融資・預金業務で細々と食い繋ぐような絶滅危惧種になってしまうでしょう。

それは、銀行に限った事ではありません。

前述の通り、日本の古い大会社、大組織には良く見受けられる現象です。

政党で言えば自民党。

日本の政治を担っている政党である以上、銀行、商社、メーカーが衰退していくのを見て「仕方がないね」と追懐するように簡単に諦めがつくものではありません。

政権政党が変わらなければ、日本も変われないからです。

アフリカ、アメリカ、アジア、日本。

幼少の頃から世界各国で生活をし、サラリーマン、個人事業主、起業家、上場企業の経営者、米国大手企業の環太平洋の社長、国会議員…と様々な職務を経験してきた私ですが、今の日本にこれほど強い危機感を覚えた事はありません。

今こそリスクを取ってでも実現する本気の改革が自民党には求められています。

例え、その案に異論があったとしても、現実から目を背けず、議題として真正面から意見をオープンにぶつけ合う必要があります(例えば、私は現段階の増税には反対ですが、年金問題は早急に議論して結論を出さないと手遅れになります)。

誰が総裁になればそれを成し得るのか。

誰が「茹でガエル」状態になっているカエルの目を覚ます事ができるのか。

党員・党友、そして国会議員の皆様にはその一点を最重視して、この国を心から想いながら大切な一票を投じて頂きたいと切に願います。

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