マイクロソフト、Windows 11搭載の新Surface Pro 8など発表–2画面Android端末も

CNET Japan

 Microsoftは9月22日午前8時(現地時間、日本時間9月23日午前0時)に「Microsoft Fall 2021 Event」を開催し、同社の最高製品責任者(CPO、Chief Product Officer)のパノス・パネイ氏が、同社の自社ブランドPCとなるSurfaceシリーズの最新製品を発表した。


Microsoftが発表した新しいSurfaceのラインアップ。下段左からSurface Pro X、Surface Laptop Studio、上段左からSurface Go 3、Surface Duo 2、Surface Pro 8(提供:Microsoft)

 この中でMicrosoftは、同社の新しいフラッグシップPCとなる「Surface Laptop Studio」や、Surfaceシリーズの中で最も人気がある製品ラインとなるSurface Proシリーズの最新製品「Surface Pro 8」などを発表した。これらの新製品は、Windows 11が正式にリリースされる10月5日から市場で販売される計画で、Microsoftにとっての戦略商品となるWindows 11の魅力をわかりやすくプレゼンテーションする役割を果たすことになる。

 さらにMicrosoftは、同社初のAndroidスマートフォンとして2020年に米国など限られた市場で販売を開始したSurface Duoの第2世代となるSurface Duo 2も同時に発表している。Surface Duoがほぼ米国専用の製品だったのに対して、こちらはより幅広い市場をターゲットにする計画で、日本市場を含めたグローバルな市場で提供していく計画だと見られている。


Microsoft 最高製品責任者(CPO、Chief Product Officer)のパノス・パネイ氏

一挙にPC4製品–怒濤の製品発表はWindows 11合わせ

 今回MicrosoftはSurfaceブランドのPCに関しては4つの新製品を発表した。完全にブランニューの筐体を採用したSurface Laptop Studio、従来のSurface Proシリーズと外形が変更されたSurface Pro 8、CPUが更新されたSurface Go 3、そしてWindows 11標準搭載となったSurface Pro Xがそれだ。


新しいSurface Laptop Studio、左からラップトップモード、ステージモード、スタジオモード(提供:Microsoft)

 Surface Laptop Studioは、従来まで2-in-1型SurfaceのフラッグシップモデルだったSurface Bookシリーズの後継となる製品だ。Dynamic Woven Hingeというディスプレイ背面で中央部を起点に360度回転するユニークなヒンジを採用しており、通常のノートPCの姿である「ラップトップモード」、コンテンツを楽しむ時やゲームを楽しむ時にキーボードを覆い隠す「ステージモード」、ペンを利用しての作業に適している「スタジオモード」という3つの形態に変形して利用することができる。


Surface Laptop StudioにはCore H35とGeForce RTX 3050 Tiという強力なCPU、GPUが採用されている(提供:Microsoft)

 ディスプレイは14.4型 2400×1600ドットと高精細で、リフレッシュレート(画面を更新する頻度のこと、リフレッシュレートが高ければ高いほどよりなめらかに画面を表示できる)が120Hzと常のディスプレイ(60Hz)の2倍になっており、なめらかな画面表示が特徴の1つだ。また、Surfaceのフラッグシップにふさわしい強力なCPUとGPUを採用しており、CPUはIntelの第11世代Core H35、外付けGPUにNVIDIA GeForce RTX 3050 Tiという強力なスペックになっており、ゲーミングPCにも匹敵するようなハイスペックになっている。


Surface Pro 8は外見がSurface Pro Xとほぼ同じになった。左側にUSB Type-CがあるのがSurface Pro X、右側にあるのがSurface Pro 8と見分けられる(提供:Microsoft)

Surface Pro X用として販売されてきたタイプカバーキーボードが今後はSurface Pro用も兼ねることになる(提供:Microsoft)

 Surface Pro 8は、Surface Pro 4からSurface Pro 7まで維持されてきた、タイプカバーキーボード(オプション)の後方互換性が捨てられており、本体のサイズが一回り大きくなっている。本体の底面積は2019年に販売が開始されたSurface Pro Xと共通になっており、タイプカバーキーボードはこれまでSurface Pro X用として販売されてきたタイプカバーキーボードがそのまま利用できる。

 本体サイズが大きくなったことに伴いディスプレイのサイズも従来モデルの12.5型から13型に大型化されており、解像度も引き上げられている。これにより、より大きなディスプレイを利用できるので、生産性が高まっている。Surface Pro 8は、外付けGPU未搭載で、CPUはIntelの第11世代Coreになっている。セルラー回線のモデルは用意されるが、選択できるのは法人向けモデルのみとなる。


Surface Go 3(提供:Microsoft)

Surface Pro X(提供:Microsoft)

 Surface Go 3は、Surface Go 2のCPUが新しくなった製品で、CPUは第10世代CoreのCore i3-10100YないしはPentium Gold 6500Yとなる。ただ、Surface Go 2に搭載されていた第8世代のCore m3に比べて、Intelのブランドでは新しくなっているが、どちらも内部の仕組みは同じ世代になっており、その意味では性能向上は限定的だ。そのほかのスペックはほぼSurface Go 2と同じで、セルラーモデルが用意されることなども同等になっている。また、Surface Pro Xは、ハードウェアは従来と同じだが、Windows 11がプレインストールになることが更新点となる。


表1 Surfaceシリーズの新製品(Microsoftの資料より筆者作成)

 このため、Surface Go 3やSurface Pro Xに関してはいわゆるマイナーバージョンアップ版となり、完全な新製品という意味ではSurface Laptop StudioとSurface Pro 8になる。Microsoftがこれらの製品に期待している役割は、これらの製品が販売開始される日(10月5日)にリリースされるWindows 11のショーケースとしての役割だ。これらの製品はいずれもWindows 11が初期導入されており、OSをアップグレードしなくてもWindows 11の機能をそのまま利用できる。


新しいSurface Slim Pen 2(提供:Microsoft)

 さらに、それだけでなく、これらの製品ではWindows 11でなければ実現できない機能なども搭載される。その代表例は、新しいSurface Slim Pen 2との組み合わせで実現される「紙のような書き心地」という新しいデジタイザーペンの体験だ。

 Surface Slim Pen 2にはハプティックモーターが内蔵されており、Microsoftが開発したG6プロセッサと呼ばれるペン用のICと協調して動作する。Windows 11はこの新機能(触覚信号と呼ばれる)に対応したアプリケーションからの信号をペンにフィードバックする。それによりペンに内蔵されているハプティックモーターが作動し、ペンを握っているユーザーに紙にペンを当てている感触を再現するという仕組みになる。


Surface Slim Pen 2にはハプティックモーターが内蔵されている(提供:Microsoft)

 MicrosoftのWord/PowerPointのようなアプリだけでなく、Adobe Frescoのようなサードパーティーのアプリでも対応が明らかにされており、対応しているSurface Laptop StudioやSurface Pro 8と組み合わせて利用することで、「紙のような書き心地」でペンを利用することが可能で、ペンの書き心地を重視するクリエイターにとって福音と言えるだろう。

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