埼玉県で2021年10月1日から、「埼玉県エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」が施行される。
エスカレーター利用者の義務として「立ち止まった状態で利用しなければならない」と定められた本条例がネット上で注目を集め、「全国に広がってほしい」などと概ね肯定的な反応が広がっているようだ。周知方法や実効性の確保について、J-CASTニュースは県に話を聞いた。
「全ての利用者が安心して利用できるよう」
注目を集めるきっかけとなったのは、大野元裕県知事が9月21日にツイッターで周知したこと。施策の概要を説明し、
「エスカレーターでの歩行は、自身だけでなく他の利用者を転倒させる原因ともなり大変危険です。全ての利用者が安心して利用できるようご協力をお願いします」
と訴えた。なお条例ではエスカレーター管理者の義務として「利用者に対し、立ち止まった状態でエスカレーターを利用すべきことを周知しなければならない」とも定められている。
本条例は県議会2月定例会で成立。5月に発行の県広報紙「埼玉県議会だより165号」で可決が報告されていた。
県ウェブサイトの当該ページでは「エスカレーターは安全上、立ち止まった状態で利用するのが正しい利用方法であるとされています」としながら、歩行による利用の危険性を伝えたうえ、
「エスカレーターの安全な利用の促進に関し、県の責務などを明らかにするとともに、エスカレーターの利用および管理に関し必要な事項を定めることにより、エスカレーターの安全な利用を確保し、県民が安心して暮らせる社会を実現するため、本条例案が議員提出され、審議の結果、賛成多数で可決されました」
と経緯を説明している。
実際、業界団体の一般社団法人日本エレベーター協会はかねてウェブサイト上で「エスカレーターの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしています」と利用者に協力を呼びかけてきた。「慣例となっているエスカレーターの片側あけですが、危険や不便をともなう行為だということが、少しずつ浸透してきました。多数の場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけを始めています」とも紹介している。
大野知事の上記投稿にツイッターでは「これは期待!」「全国に広がってほしい」などと概ね肯定的な反応が集まっている。一方で、「人多い駅とか導線めちゃくちゃになりそう」「朝の乗換駅で理解されるかなぁ」と懸念するような声もある。