700TBのデータを20Gpbsワイヤレス光通信で5km離れた場所へ転送することにGoogle姉妹企業が成功

GIGAZINE



Googleの姉妹企業である次世代技術開発企業・Xが、最大20kmの距離を最大20Gbpsのワイヤレス光通信で結ぶ「Project Taara」で、アフリカ中部に流れるコンゴ川を挟んだ2都市間で計700TBものデータを高い精度で通信することに成功したと発表しました。

Beaming broadband across the Congo River – The X Blog
https://x.company/blog/posts/taara-beaming-broadband-across-congo/

Alphabet’s Project Taara laser tech beamed 700TB of data across nearly 5km – The Verge
https://www.theverge.com/2021/9/16/22677015/project-taara-fsoc-wireless-internet-kinshasa-congo-fiber

Project Taaraは、地理的条件によって通信インフラが十分に整備されていない地域を対象に、不可視のレーザー光で通信を行うシステムを配備するというプロジェクト。Project Taaraで使われる通信システムがどういうものなのかは以下の記事を読めばよく分かります。

最大20kmの距離を光線で結びネット環境を提供する「Project Taara」 – GIGAZINE


コンゴ共和国の首都・ブラザヴィルとコンゴ民主共和国の首都・キンシャサはコンゴ川を挟んで隣り合っており、2都市間の距離はわずか4.8km。しかし、光ファイバーで2都市を接続するためには、最大幅約2kmもあるコンゴ川を迂回(うかい)する必要があり、最終的に400km以上もケーブルを敷設しなくてはならず、高い建設コストがかかります。

そこで、ブラザヴィルとキンシャサの間の通信で採用されているのがProject Taaraのワイヤレス光通信(WOC)です。

Project Taaraに使われているWOCは、光ファイバーケーブルやメタリックケーブルなどの物理有線ではなく、レーザー光を使っているので地理的条件に左右されにくいというのが特徴。ただし、WOCは走光機と受光器の間に鳥が飛んだり霧が出たりすると通信がさえぎられてしまうというデメリットがあるため、実行可能性が低いと考えられていました。

Project Taaraでは、WOCの可用率を上げるため、「10km離れた先にあるわずか5cmのターゲットに、箸ほどの太さの光線を当てる」という精度が求められました。そのため、送信するレーザー出力の量やビットの処理方法を自動的に調整すると同時に、受光機には可動式の鏡を内蔵して光学的に補正をかける仕組みが搭載されています。


Xは「Project Taaraはこれまで合計約700TBのデータを通信しました。これは99.9%の可用性で20日間、FIFAワールドカップの試合をHD画質で27万回視聴できるほどのデータ量です」と述べ、Project TaaraのWOCがブラザヴィルとキンシャサの住人1700万人に高速で手頃な接続を提供できる上で重要な役割を果たすことができたとしています。

Xは「何百万人もの人々が、何百キロものケーブルを地中に敷設することで得られる経済的なメリットを享受できなくなるよりも、最大20Gbpsの高速インターネットを常時提供できる方がはるかに良い選択肢です」と語り、コンゴだけではなく世界中でより低価格に高速な通信を可能にするために支援していくと述べました。

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