ほぼAmazon狙い撃ちの「倉庫従業員に食事やトイレを妨げるようなノルマを課してはならない」という法案がカリフォルニア州で可決

GIGAZINE
2021年09月13日 14時00分
メモ


by Xabier Cid

アメリカ・カリフォルニア州で、「倉庫や配送センターで働く従業員に食事や休憩を妨げるようなノルマを課してはならない」という法案「AB701」が上院を通過。知事の承認を待つのみとなりました。AB701では「Amazon」という単語は一切使用されていないものの、過酷な労働環境が報告されるAmazonを狙い撃った法案であると、海外紙のLos Angeles Timesなどが指摘しています。

AB 701 – California Assembly (20212022) – Open States
https://openstates.org/ca/bills/20212022/AB701/


California Senate passes warehouse bill AB 701 – Los Angeles Times
https://www.latimes.com/business/story/2021-09-08/california-bill-ab701-passes-senate-warehouse-work-metrics-algorithims-regulation

AB701は、倉庫や配送センターで非適用対象外従業員(Non-Exempt Employee)を雇っている雇用主に対して適用される法案です。この法案で、雇用主はこれらの従業員に対し「規定の食事または休憩時間、トイレの使用などを妨げないこと」「仕事の定量化を行うこと」などが求められ、「仕事を達成しなかった従業員に不当な行動を取ること」が禁じられます。

また、従業員が不当な行動を受けたと判断した場合、証拠をもとに訴訟を起こすことを許可し、従業員が勝訴した場合は弁護士費用を雇用主から回収することを認めるなど、従業員の救済措置となる権利も記載されています。


AB701には「特定の職業および産業に特別な規定を課す」と記載されているのみで、具体的な企業名などは一切記載されていません。しかし、Los Angeles Timesは「この法案はAmazonフルフィルメントセンターでの安全上の懸念に対処することを目的としている」と指摘しています。

Amazonの倉庫・配送センターであるフルフィルメントセンターでは、何年も前からたびたび劣悪な労働環境が報告されています。2018年には、Amazonフルフィルメントセンターに潜入したジャーナリストが「秒刻みのスケジュールで、トイレ休憩もままならず、従業員はボトルにおしっこをしていた」と報告。2020年には「Amazonフルフィルメントセンターでの深刻な負傷の発生率は業界平均の2倍」という分析結果も報告されています。

Amazon倉庫での「深刻な負傷」の発生率は業界平均の2倍、自動化が進んだ倉庫で特に負傷率が高いとの指摘 – GIGAZINE


このような環境を改善しようとロビー活動を行ってきた商工会議所などの団体は、こぞってこの法案を支持しています。ロビイストのケイトリン・ベガ氏は「カリフォルニア州は立法努力においてほかの州に先立つことが多く、この法案はAmazon従業員の歴史的勝利だ」と評価。カリフォルニアで倉庫従業員の支援を行うWarehouse Worker ResourceCenterは「第一歩となるいい法案だが、我々が取り組むべき問題はまだまだたくさんある」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

Source

タイトルとURLをコピーしました