生活保護に関する行政の不当な判断をまとめた「生活保護裁決データベース」

GIGAZINE
2021年09月13日 15時00分
メモ



新型コロナウイルスのパンデミックにより多くの人が苦しい生活を送る中、2020年の生活保護申請件数がリーマンショック以来の増加を示すなど、「最後のセーフティーネット」とも呼ばれる生活保護制度の重要性は年々増しています。しかし、生活保護の申請者や受給中の人に対して福祉事務所が行う決定の中には、厳しすぎるものや生活保護法に反するものがあるのも事実。そんな生活保護に関する裁判や審査請求の結果を集めた「生活保護裁決データベース」を使うと、福祉事務所が行った不当な判断が覆された事例を見ることが可能とのことなので、さっそくデータベースを調べてみました。

生活保護裁決データベース
http://seihodb.jp/

上記URLにアクセスするとこんな感じ。事例を検索するには、「裁決検索」をクリックします。


生活保護裁決データベースには、記事作成時点で全802件の裁決書が記録されています。閲覧するには、「ダウンロード」をクリックします。


裁決書はPDFファイル形式です。例えば、以下の事例は「生活保護費が入った財布を強奪されてしまった生活保護受給者が再支給を求めた」というもの。処分庁、つまり京都市中京区の福祉事務所は「生活保護費の大部分を持ち歩くような不注意が原因なので再支給はしない」と決定しましたが、これを不服とした審査請求を受けた審査庁、つまり京都府は前述の処分を「違法または不当」と指摘して取り消し、再支給することとしました。


生活保護裁決データベースには、どのような争点が問題になったかで事例を細かく絞り込む検索機能があります。使用するには、絞り込みたい事項にチェックを入れて「検索」をクリックします。すると、一時扶助が争点になった決裁書が16件表示されたので、そのうちの1つの「ダウンロード」をクリックしてみます。


この件では、洗濯機と冷蔵庫が必要として家具什器(じゅうき)費の支給を求めた審査請求人、つまり生活保護受給者に対し、大阪府吹田市の福祉事務所は「徒歩5分圏内のスーパーでその日の分の食料を買える」「徒歩1分圏内のコインランドリーで洗濯ができる」ことを理由に申請を却下しています。


これに対し大阪府は、「調査が不十分」として不支給の決定を取り消しています。また同時に、家具什器費の支給を求めた請求も棄却しました。つまり、家具什器費を支給すべきかどうかは判断せず、福祉事務所に再調査を指示した形になります。このように、生活保護裁決データベースを使うと、福祉事務所が行った決定を上級行政庁が覆した事例を見ることができます。


行政不服審査法には、「行政庁の処分に対して不服がある者は(中略)審査請求を行うことができます」と定められています。審査請求のやり方などは、生活保護裁決データベースの以下のページを読むとよく分かります。

審査請求、裁判の方法
http://seihodb.jp/frontend.php/shinsaseikyuhouhou


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2021年09月13日 15時00分00秒 in メモ, Posted by log1l_ks

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