[再]白い粉にもこんなに多様性が!ホットケーキミックス6種類食べ比べ

デイリーポータルZ

スーパーに行くと数多あるホットケーキミックス。

中身はぜんぶ白い粉だが、味に違いはあるんだろうか。

実際に6種類を食べ比べてみると、こんなに違うんだ…!と驚きがあった。

最近食べた帝国ホテルのインペリアルパンケーキ(1700円)。ふつうの最上級の味。

ホットケーキ(パンケーキ)って、原材料がシンプルで安価なうえに誰でもそこそこ作れてしまう。

けれど、お店の高級パンケーキを食べた時の幸福感はまた別物だ。

食感のなめらかさ、くちどけ、香ばしさ…あとで人に説明しようとすると難しいのだが、おそらく讃岐うどんあたりと同じで、繊細な食感のバランスのもとになりたっている料理なのだと思う。

今回用意したのはスーパー、成城石井、無印良品で買った6つのホットケーキミックス

ならば、市販されているホットケーキミックスにもそれぞれ特色があるはずだ。

①森永ホットケーキミックス

②永谷園 ホテルニューオータニホットケーキミックス バニラタイプ

③成城石井 北海道産小麦のホットケーキミックス

④無印良品 自分でつくる米粉のパンケーキ 

⑤KIALLA PURE FOODS オーガニックパンケーキミックス(オーストラリア)

⑥昭和産業 まんまるおおきなホットケーキのもと スフレ風

以上のホットケーキミックスを、メーカーの公式レシピ通りに作って食べ比べしてみたい。

簡単にジャンル分けしてみた。最近の流行りはフワフワ厚焼きのスフレ系と、モチモチ柔らかい米粉系。

①キングオブスタンダード、「森永ホットケーキミックス」

粉150g+卵1個+牛乳100ml。油はなしで統一している

まずはコンビニにも売っている大定番のこれ。

味はほのかな甘味+ふかふか食感で、想像した通りのおいしさ

甘味&塩味どちらでもいけそうなプレーンさで、干した自分の布団に寝転ぶような安心感がある。

この材料比と味を今後の基準にしたい。

最初なので、かけ足で公式の作り方をおさらいしたい。焼き方はどれもほぼ共通
混ぜる。森永のレシピは「少しダマが残る程度でOK!」とおおらかな所が特徴
フライパンを中火で温めた後、濡れ布巾の上で冷ます。シューーーーという音が気持ちよい
ここからは弱火でじっくり焼く
30cmの高さから流し入れることでまんまるに広がるそうだ
約3分でぷつぷつと気泡ができ、表面が乾いてきたらひっくり返す
ひっくり返して2分。流し入れるときに躊躇するとこうして焼きムラができる
皿に盛っておいしくいただく

 この作り方をもとに、さっそく食べ比べしていこう。

ちなみにテフロン加工のフライパンでは油をひくと綺麗に焼けないが、味はカリカリして別の美味しさがある

 

②スイーツ系に特化した香り、永谷園の「ホテルニューオータニホットケーキミックス バニラタイプ」

粉200g+卵1個+牛乳150ml。袋を開けるとフワッとバニラの甘い香りがする

こちらも定番だが、なんとなく森永のものより高級感があるイメージ(価格はそこまで変わらない)。

味に違いはあるのだろうか。

やや牛乳が多く、森永よりも滑らかな生地

ニューオータニの生地はやや黄味が強くスイーツ感のある色味。今回の中では唯一着色料を使っている(ビタミンB2)。

慣れてきたから森永のよりも上手く焼けた

さて、食感はフカフカというよりフワフワで、あきらかに甘味寄りの華やかな香りがする。

森永のものとは別物だ。ベーコンには合わないが、帝国ホテルの雰囲気がちょっとある。

実はメープルシロップがついてくる!
メーカーも甘味たっぷりで食べてね…と言っているかのようだ

③凛として強い、成城石井「北海道産小麦のホットケーキミックス」

粉200g+卵1個+牛乳100ml。牛乳が少なく一番しっかりした生地

ホットケーキミックスにもこんなに振れ幅があるのか!と驚いたのがこれ。

香料・着色料不使用。ニューオータニの華やかさとは方向性が真逆のようだ
牛乳が少な目なのでワイルドな気泡

何が違うのかというと、焼いている時から香ばしい匂いがする。

お好み焼きを感じさせる瞬間がある。小麦本来の香ばしさだろうか。

しっかりと厚みと弾力のある生地
フワフワというよりモチモチ!

甘味は穏やかで上品。ホットケーキに共通する菓子パンっぽい香りがないのだ。

木の皿にのって、ジビエ料理の隣にいることができる味だと思う。

保存するためにニューオータニと混ぜたら、色の差が際立った

なんというか、ニューオータニが美肌加工した自撮り美人だとすると、成城石井は味のある肖像写真って感じだ。

ちゃんと使い分けする意味のある粉だと思う。

④ふたくち目が個性的、無印良品の「米粉のパンケーキ」

粉150g+卵1個+牛乳120ml。小麦粉はゼロで米粉、コーンスターチなどが原材料

素人でもめちゃくちゃ綺麗に焼けるのが嬉しい米粉のパンケーキ。

味の方はどうだろうか。

警告色の脱酸素剤が仲良く飛び出た。香りは甘い系

まず、粉の感触が違う。片栗粉に似て、ちょっと落ち着かない感じがある。

なかなか溶けないかと思ったら、急になくなったりするトリックスターだ。

独特の粘り気ととろみを感じる
小麦粉の香ばしい香りがないため、すこしおもちゃっぽい風味になる

ひとくち目は間違いなくホットケーキだ。ただ、ふたくち目の奥の方に軽くクチャっと粘り気がある。

外国人が米を「ガムっぽい」と言っているのを聞いて不思議に思ったことがあるが、ちょっとわかる気がする。

柔らかく口どけ良いため、これがクセになる人もいると思う。

⑤合理主義×オーガニック、オーストラリア産のオーガニックパンケーキミックス

粉325g+牛乳400ml。卵パウダーが入っており、卵を入れる必要がない

これは味よりも作り方の勝利だった。

直接牛乳をそそいて振るだけでいいのだ!

オーストラリアだと牛乳もこの洗剤っぽい容器に入ってたはず。洗剤in洗剤みたいなオーガニックパンケーキだ。

とはいえ、1分間しっかりと振り続けるのは手首が結構疲れる
どれだけ頑張っても混ざり切らない時もある。そのおおらかさも輸入物っぽい
使いきらなくても、フタをして冷蔵庫で保存できるのが便利だ
食感は卵が入っていない分だけ柔らかくモチモチ

オーガニックを標ぼうするだけあって、味はさっぱりとしていてシンプルそのもの。

甘味にもいいけど、むしろベーコンやスクランブルエッグなど脂っこい朝ごはんに合わせたいパンケーキだ。

⑥魔法のフワフワ、昭和産業の「まんまるおおきなホットケーキのもと」

粉200g+卵2個+牛乳120gを一度に全部使う

今年新発売のスフレ風ホットケーキで、絵本「ぐりとぐら」の巨大パンケーキみたい!と話題になっているものだ。

一気に全部流し込み、今回はじめてフタを利用する

スフレ風ってメレンゲを加えるのだが、この原材料には入っていないのが不思議。

目に付くのはショートニングとガゼインNa(牛乳のタンパク質)くらい。ほんとにフワフワになるんだろうか。

緊張の一瞬…!
苦戦しつつもなんとか裏返せた
ナイフがすっと入る。その感触からして全然違う!

これが、不思議なほどフワフワ。魔法みたいだ。いくらでも食べれそうなくちどけの良さ。星乃珈琲店のスフレパンケーキに似てる。

これを家で食べられるのは素敵だ。

一般的な大きさのフライパンでつくると右表の2倍なので1066kcal。フワフワならカロリーも相殺されるわけではないようだ
最後に味の感想をまとめてみた。どれも特色あって美味しかった!

 

気軽に作れて美味しいホットケーキミックス。

そんな大定番も、ひそかに多様性の時代に突入しているようだ。

これからは複数持ちで使い分けの時代がくるかもしれない。

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