GoogleがYouTube買収を検討し始めたのは2005年11月8日だと判明

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YouTubeは2005年2月、元PayPal従業員だったチャド・ハーレー氏、スティーブ・チェン氏、ジョード・カリム氏によって創業されました。当時は動画版出会い系サイトを目指していたYouTubeでしたが、その後さまざまな動画が投稿されるようになり、動画共有サービスとして急成長。2005年から2006年までの間にさまざまな企業から2000万ドル(約23億2000万円)以上の出資を受け、12月15日から公式なサービスを開始しましたが、2016年10月に突如としてGoogleに買収されました。買収の可能性が報じられてから3日後には正式な買収が発表された本件ですが、実は1年前の2005年11月の時点ですでにGoogleがYouTubeの買収を検討していたことが、内部資料から明らかになっています。

GoogleによるYouTube買収の可能性が報じられたのは、2006年10月7日のこと。ニュースを最初に報じたウォール・ストリート・ジャーナルは、匿名の情報筋から「買収の議論は初期段階で、破談になる可能性がある」「買収額は16億ドル(約1860億円)になる可能性がある」と伝えています。

GoogleがYouTubeを16億ドルで買収交渉中か? – GIGAZINE


しかし、その3日後には買収が決定。買収額は16億5000万ドル(約1950億円)となり、株式譲渡により買収が行われました。

GoogleがYouTubeを16億5000万ドルで買収決定 – GIGAZINE


しかし、Googleの内部資料により、YouTubeの買収検討は2005年からスタートしていたことが判明しています。Googleは独占禁止法違反の疑いで提訴されており、公開された資料は、裁判の中で提出されたものとなっています。


資料にはGoogleの創業者であるラリー・ペイジ氏と元Google幹部のジェフ・フーバー氏、そしてGoogle従業員だとみられるピーター・チャンス氏の間で交わされたメールが記載されています。フーバー氏はチャンス氏に宛てた「youtube?」という件名のメールで、「ただの興味なんですが、YouTubeの人たちとここに来ることについて話ましたか?彼らは興味深い機能を私たちよりも速いスピードで作り出していますが、収益を生み出したりスケールアップをするためのバックエンドを持っていないように見えます。一方、私たちはそれを持っています」「私たちが彼らと一緒にやっていくか、そうでなければ私たちは機能率(feature rate)を上げなければいけません」とつづっています。


チャンス氏は「まだ話していません。彼らはセコイア・キャピタルから500万ドル(約5億8000万円)を獲得していて、Yahoo!への売却を考えているようです」と返答。GoogleはYouTubeが備えている機能を第4四半期に実装する予定であり、YouTubeと張り合うだけのエンジニアが存在することをチャンス氏は述べました。これに対してフーバー氏は「彼らを買収することに興味はありませんか?マイケル・モリッツ氏とロエロフ・ボタ氏がいい人物なのはよく知っています。買収額は1000万ドル(約11億6000万円)から1500万ドル(17億4000万円)でしょう」と返しました。


その後、買収に消極的なチャンス氏と積極的なフーバー氏の間で何度かやりとりされた末に、メールのスレッドがペイジ氏に送られました。そして2005年11月8日15時2分付けで、ペイジ氏は当時GoogleのCEOだったエリック・シュミット氏を含めた複数人に宛てて「彼ら(YouTube)を買収することを検討すべきです。YouTubeがセコイア・キャピタルのマイクから資金調達したことに留意してください」というメールを送信しました。


なお、このTwitter投稿に対しKenna Securityの研究者であるジェフリー・ガンブリン氏が「ジェフ・フーバー氏が誰かは知りませんが、1500万ドルが16億5000万ドルになったのは愉快ですね」と発言したところ……


フーバー氏本人から「私も知りませんが、間抜けな人物のようですね」とコメント。また、買収後、11か月にわたってYouTubeチームがユーザー数・利用量・ブランドを驚くほどに拡大していったことをフーバー氏はつづっています。


加えて、当時を知るベンチャー投資家であるクリス・サッカ氏は、YouTubeの買収がGoogleにとって最も重要な買収だったと一連のスレッドで言及。それまでGoogle社員は学歴中心で採用されており、買収も機能重視で「オーディエンスが多いから買収する」ということはなかったとのこと。しかし、YouTubeの買収でGoogle全体の雰囲気が変化し、「計算機科学を得意とする典型的な人物」だけでなくソフトスキルに優れた従業員やアーティストタイプの従業員をも評価するようになったそうです。


「フーバー、あなたはいつもたわ言を試して、クレイジーなアイデアに首を突っ込んできました。Googleが大きくなるにつれ、そのようなことは稀になりました。チャド・ハーレーは私が公衆の面前であなたを褒めるとは思っていないでしょうが、インターネットの変人でいてくれてありがとう」とサッカ氏は締めくくっています。

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