世間の風潮として、若者世代を悪者扱いするのは、今に始まったことではないが、最近はいささか度が過ぎる。
以下の記事も、データを恣意的にミスリードしているように思える。
ワクチン、若年層の2割弱「接種しない」 都が調査結果 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
その結果、ワクチンを「2回接種した」と答えたのは、優先的に接種が進んだ70代男女が76・1%だったのに対し、20代男性は3・8%、20代女性は6・3%にとどまった。「必ず接種する」と「おそらく接種する」を合計した割合は、20代男女がそれぞれ45・6%、48・8%。30代男女は54・5%と42・7%だった。
若年層では2割弱が「接種しない」と回答した。「おそらく接種しない」と「絶対に接種しない」を合わせた割合は、20代男女でそれぞれ19・0%、18・8%。30代男女は16・7%と19・1%。50代男性(12・1%)や40代女性(10・5%)など、40代以上の年代と比べてワクチンに否定的な傾向が見られた。
見出しに悪意を感じる。
「ワクチン、若年層の2割弱「接種しない」」
いかにも若者の意識が低いといわんばかりだ。
だが、調査データをよく見ろ。
2回接種の70代男女が76・1%(未接種は23.9%)
つまり、23.9%が未接種だ。
対して、
若年層では2割弱が「接種しない」と回答
接種していない高齢者の方が多いじゃないか。
逆にいえば、20代の方が接種意欲は高いといえる。
%表記だと実数が不明瞭になってしまうが、人口ピラミッドから見れば、70歳以上の高齢者と20代の若者世代は、それほど違わない。
……ということで、「70代未接種23.9%」は実数としても「接種しない20代世代」よりも多いと思われる。
問題にすべきは若者ではなく、高齢者の方ではないか?
関連して以下の記事。
予約不要の若者向けワクチン接種会場 早くも大行列|TBS NEWS
会場となるJR渋谷駅近くの渋谷区立勤労福祉会館には、最も早い人で午前1時から接種を待って並ぶ人がいました。接種は正午に始まりますが、午前8時の時点で用意していた接種人数の300人に達したため、東京都は整理券を配布して受け付けを締め切りました。
接種できない一番の要因は、予約制で予約が取れないことなのであって、若者だから接種しないのではない。
予約なしで、すぐに打てるのなら多くの人が積極的に接種するだろう。
それにしても、キャパが300人は少ない。
ワクチンが足りないのだろうが、1000人のキャパだったらそれでもすぐに埋まったと予想される。
予約なし接種を実施したのはいいが、見込みが甘すぎ。
若者を悪者にする報道は見直した方がいい。