2021年春夏、ワークマンが虫除けウェア「着る網戸」を発表した。
虫が寄ってこない加工を施した生地、ポケットが至る所にある機能性、その上かっこいいデザインで2900円という安さ。
1番のポイントはフードにファスナーがついていて、閉じると顔を覆い尽くせる虫を入れない徹底ぶりだ。
これが欲しかった!と農作業をする方々も愛用しているようである。
虫に刺されやすい私も、それが欲しい。
イケてる虫除けウェアを作りたい。
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街で着られる虫除けウェア
虫除けウェアは、一般的に柔らかい網戸のような生地で作られていて、ガーデニングやアウトドアに使われているようだ。
しかし、私は街で着られる虫除けウェアが欲しい。オシャレな街で虫が飛んできても大きな声とか出さない大人になりたい。
そんなわけで今回の虫除けウェアは、虫に刺されない機能性と街で着られるおしゃれの両立を目指したい。
まさか虫除けしてるなんて思わないコナレ感が欲しい。みんなにサプライズで虫除けしたいのだ。
ということで、デザインを考えた。
どうしてもジャンプスーツは半袖がイケてたので重ね着することにした。どちらもチュールという網戸のような生地で作る。
絵を書いてみたら7割忍者で不安になってきた。
重ね着が良くないのかもしれない。
でもポケットついてるし、リボンとかつけちゃえば忍者にはならないよね。
私が忍者方向にハンドル切らなければ大丈夫だろう。気をつけよう。
ジャンプスーツを作る
さっそく期待の大きなジャンプスーツを作っていく。
チュールを5メートル用意した。
まずはジャンプスーツの型紙を引く。
次は裁断と思ったのだが、チュールには型紙の線をチョークで写せないのだ。でも線がないと縫えない。地道にしつけ糸で型を写していく。
ちなみに透け感調整で、今回は2枚重ねて扱うことにした。ひたすらチクチク。ZARDを歌いながら縫い続ける。
さて、裁断してパーツが完成した!
チュール同士が重なると色が濃く見えるのがおしゃれポイントだと思う。
次に、裁断したパーツを縫い合わせていく。
ダカダカ縫って、形になってきた。
なんかわからないけど、私にはこの写真の服が西城秀樹に見える。共感覚かな。
さて、ここで一旦試着をしよう。
ジャンプスーツはサイズ感が要である。
ウエストや肩がぴったりな方がカッコいいのだ。
位置を確かめるために着てみたが、チュール越しの肌色が微妙である。全体的にぼやーっとしていていいのか悪いのかわからない。お気に入りの太もものポケットもわかりにくいし見た目がかなり薄味だ。
さらにもう一つ、ゆゆしき問題がある。
着るとかゆいのだ。
切れ端を束ねる処理をしたのだが、それが原因で余計かゆい。
虫除けなのに、虫に刺されたようにかゆい。この矛盾は逆に風刺じみてて好きだ。かわいくてアリを飼ったのにおやつ全部食べられちゃったみたいな矛盾。なんとも人間らしい。
しかしこれじゃあ、この服を着るくらいなら虫に刺されてもいいと思ってしまいそう。本末転倒。それは服に申し訳ない。
チュールにまみれてたら「まず全部縫えよ。」と聞こえた。たしかに。取り急ぎ細かいところまで丁寧に仕上げます。
神は細部に宿るって聞いたことありますし。
ポケットを縫い付けて、
最後にファスナーと襟をつければ、ジャンプスーツ完成!
どうしたものか見違えるほどいい!イケてる。ヒゲを剃って髪型整えたら別人のようにイケメンになった感じだ。もうすごく好きだ。
しかし、いくらかっこよくなってもかゆいものはかゆい。かゆいのは仕方がないので、かゆさを凌駕する程の着たいという憧れが必要だ。
おしゃれは我慢じゃなく、我慢を打ち消す憧れだと、そう信じている。
ケンゾーの養蜂家コレクション
かゆさを打ち消すかっこよさを求めて調べていたら、今年の春夏に高田賢三のブランド「KENZO」がミツバチと養蜂家にインスピレーションを受けたコレクションを発表していた。
それがとてもかっこいいのだ。
ケンゾーは帽子から大胆にチュールを垂らし体を包んでいた。
これだ!私も上半身をチュールで覆ってしまおう。
チュールでピラミッドを作って上半身をすっぽり覆えばかっこよくなるはずだ。なぜならピラミッドは既にかっこいいから。
ピラミッドを作る
さぁ、勢いにまかせてピラミッドを作ろう。
ピラミッドと聞いて思い出すのは、街で見かけていいなーと思っていたスケスケのカバンだ。
大きなこれを作って中に入ればイケてる上に虫を防げるはずだ。
中にガネーシャを入れてみた。こんな感じで入りたい。
大きなピラミッドは小さい三角をたくさんつなぎ合わせて、ルーブル美術館のガラスのピラミッドのような幾何学な模様を作りたい。
チュールはジャンプスーツの時より固めのものを用意した。
まずはひたすら三角を切る。
大きく縫い合わせていく。
さらに縫い合わせてピラミッドができた。
さらに一手間加える。
かぶった時に周りを見やすいように、目の位置は透明のPVCをつける。
さらに、手が出せないと不便なので、前面に大きなファスナーをつけた。
これで、ジャンプスーツとテントが完成ー!
最初のデザインで考えていたロングTシャツは不要になり、重ね着しないので忍者になる懸念も消えた。
それよりもカッコよくてインパクトのあるものができた。これをかぶれば、虫を防げるはずだ。
オシャレしながら虫除けしにいく
さっそく虫除けウェアを着て茂みに出かけた。
ポイントは虫に刺されない機能性と、街でも着られるオシャレさだ。
全体が薄くて微妙と思っていたが見慣れるものである。中に着たオレンジと黒がマッチしていてよく見える。
小さなピラミッドバッグは中で蚊取り線香を焚いてもいいし、捕まえた虫を入れてもいい。
後ろにもポケット。いっぱい入る。
撮影してくれた友人も、そういうファッションの人だと思えると言ってくれた。ジャンプスーツは上出来だ。
蚊がより始めたのでピラミッドの出番。
本当に虫が防げるのか気になるところ。
ピラミッドの中が猛烈に暑い。サウナだ。汗が溢れ出てきて目も開けられない。虫どころじゃない。脱水になってしまう。
ちょっと、水をください。
透明の部分が光って忍者がおでこにつけるやつみたいになってる。ピラミッドのほうに忍者が潜んでいたとは、さすが忍者、潜み上手である。ファスナーが口で体が半透明のカオナシのようなモンスターにも見える。
水…水…
暑さに耐えきれず茂みから出たら、友人は12箇所も蚊に刺されていたが、私は1箇所も刺されていなかった。こんな茂みに連れてきて本当にごめん。
友人は実証できたね、と嫌な顔一つせずに言ってくれて、せめてものお返しにと思ってピラミッド着る?と聞いたけど、いや、大丈夫って言ってた。
カバンに変形するピラミッド
実はこのピラミッドには少しだけ工夫をしかけている。
先日、国立美術館でファッションの展示を見てきた。
そこで飾られていたのが、アンリアレイジのテントになる服だった。
私が作ったピラミッドも何かにならないだろうか。
そこで、このピラミッドの底面の角に紐をつけたのだ。
デカすぎるのがいい。重いものは入らないけどモダンで街でも使える。
アウトドアにもピッタリ。
かぶるだけのテントなら出番がくるまで荷物だが、カバンになれば常におしゃれアイテムなのだ。
こうしてイケてる虫除けウェアを作ることができた。よかった。
三角の影
たまたま見つけた三角の影がステキなスポットがあった。
ピラミッドのカバンの透けてる影もかわいい。
影がゴジラになる服とかあったらいいかもしれない。
夕方に着ると影がのびてすっごい大きなゴジラになるの。いいな。
もし、この虫除けウェア(ジャンプスーツ・テント)が欲しい方がいましたら、編集部までご連絡ください。
ジャンプスーツは身長155センチくらいの方が良いかと思います。
テントのみのお渡しも可。テントは野菜の鉢植えにかぶせて虫よけにしてもいいと思います。ぜひ。