ようこそノンアルビール沼へ
昨年からビールに凝っていた。クラフトビールを通販で買ったり、飲んだ味をメモしたりしていた。
だが、今年4月に健康診断の結果を医者に見せたら「いつ脳が詰まってもおかしくないヨ」と言われて酒をやめた。
しかし、対象がビールからノンアルコールビールに変わっただけで、凝り性は相変わらずである。個人輸入まではじめて、すっかり沼だ。
その沼に引きずりこむために、ノンアルに一瞬でも興味を示した人たちを集めて飲んでもらった。
リモートで「おれのノンアルコールが飲めないっていうのか?」と迫った。
林:
禁酒サークルの会にようこそ。やめてるのはおれと橋田さんだけですかね。古賀さんやめてるんでしたっけ。
古賀:
ちょっと飲んでます。たまに
ナオ:
あれから過度には飲んでないけどだらだら飲んでしまってます。
橋田:
飲むことは悪いことじゃないからいいんじゃないですか
ナオ:
いや、ちょっと今恥ずかしい気持ちになりましたから
林:
拙攻さんに至っては、止めてるなんて一言も言ってないのにただ呼ばれた。
古賀:
健康状態も悪くないんですよ。ただ詳しいからって
拙攻:
すごい楽しみです
林:
今回、4本の厳選したノンアルビールを事前に届けました。
クラフトビールが通りすぎた!~ナニーステイト
林:
ブリュードッグっていうクラフトビールのメーカーのノンアルが買えたんで、拙攻さん呼びました。
(拙攻さんはビールに詳しい)
林:
ただね、無計画に買ったら送料が1本1000円になりました。
古賀:
震えますね
林:
24缶買って送ってもらおうとしたら、ひと箱につき送料が160ポンド(約24,400円)と連絡が来まして。いまコロナの関係で1キロあたり7ポンド加算されてるそうです。24でわるとちょうど1缶あたり1000円。
ナオ:
今回のこれが?
林:
それです。JRだと新宿から行田ぐらい。
古賀:
缶が電車に乗ったなら
林:
ナニーステイト1本あたりはね、安いんですよ。1ポンドもしない。比較のためにパンクIPA飲みましょうか。こちらは通常のアルコール入りのビールです。
ナオ:
いま飲みました
林:
それがブリュードッグの有名なビールです
(比較のために各自用意してもらいました)
古賀:
こりゃーうまいや。
橋田:
ひさしぶり
ナオ:
橋田さん飲んじゃっていいんですか?
林:
またもとの酔っぱらいに戻ってしまう
橋田:
ぜったい大丈夫
ナオ:
絶対大丈夫って危険な発言。パンクIPAおいしいですね。
古賀:
苦味が強くてフルーティ
林:
じゃあ、その味を覚えておいてもらって。そのメーカーのノンアルがナニーステイトです。匂いも飲んだ瞬間もブリュードッグなんですけど、通り過ぎるのが早いんですよ。
一瞬クラフトビールが取り過ぎた?みたいな感じなんですよ
拙攻:
たのしみですね。
ナオ:
プシュッと開けた時点で風味がすごい
古賀:
(飲む)ほんとだ、はかない。いなくなったあとの口が自分のつばの口だ
ナオ:
まずみの余韻がすごいですね
林:
飲んだぞーと思うんだけど、もう翌朝みたいな気持ちになる
ナオ:
もったいない味
古賀:
何か喪失を感じますね
拙攻:
口の中で勝手にお茶に変わってるみたいな
林:
飲んだときの鼻に来る香りで、これはいいぞって思うんですけど
古賀:
気づくと、いねーって
林:
おれ、飲んだんだっけかなと
ナオ:
香りも味も完全に再現しているじゃないですか。この部分がないんじゃないかと思ってた部分とは違うところが、ない
古賀:
予想と違ってる部分がない。そっちがないんだね
ナオ:
ふしぎなのみものですね
古賀:
口に含んで飲み込むまでですね。飲んだあとは口の口内に「不在」があるよ
橋田:
うすめたな
ナオ:
でも苦みがぴりっとあるかな
林:
夜寝る前に飲んで、布団にはいるころには飲んだことを忘れてる
橋田:
さっき何か飲んでなかったっけ、と
林:
おもしろいでしょ?
ナオ:
でも再現されてる。風味は完全に。
古賀:
頑張ってる。
ナオ:
作ってから何かアルコールを抜くみたいな製法ですか
林:
よくわかんないんですよ。拙攻さんわかります?
拙攻:
0.5%アルコール入ってるので少なくとも1回は醸造されてると思います。0.5%の主張は多少感じる気がするんですけど
古賀:
こんなにパッケージがキリっとしちゃってるから。やる気じゅうぶんだもん
林:
かっこいいから
ナオ:
もっと弱くていい
古賀:
こんなにいきりちらしたパッケージじゃなくても
林:
ナニーステートが福祉国家とかそういうお節介な国政府みたいなそういう意味らしいですね。皮肉なんですかね
橋田:
これを1000円で運んできた
林:
これも日本のノンアルと一緒で、アメリカのAmazon.comのレビューで、グレートビアとかビールじゃなくてこれで十分だって書かれてるんですよ。
でもやっぱりその中に一人だけ「ウォーターリーエクスペリエンス」って書いちゃってる人がいる。
古賀:
盛り上げてるのに
林:
みんなそう思わないようにしているのに。
橋田:
酒やめたい人が盛り上がってるんだよ
林:
アメリカのおれが
安いノンアルがまさかの大健闘~ぐぐっと生
林:
いちばんイキってないパッケージのぐぐっと生いきましょう
古賀:
フレンドリーなパッケージ
林:
やまやのプライベートブランドなんですよ
ナオ:
ぐぐっと生って第三のビールはありますね。渋谷のやまやで買って飲んでたことありますよ。
林:
それのノンアル版です。これはバリューファイターと書いてあるのと、すぐ下に英語がちっちゃく書いてあるじゃないですか。それもいい
古賀:
This is..
ナオ:
エンジョイアブルドリンク
古賀:
こっちは皮肉でナニーステイトとか書いてるのに
林:
ニューホライズンっぽさ
古賀:
ぐぐっと生は朴訥すぎる
(缶をあける)
橋田:
においはいい
古賀:
あまいにおいしますね
林:
意外にうまいんですよ。毎日飲んでます。
ナオ:
ぐぐっとノンアルコールって書いてある
古賀:
美味しいですね。おいしい。……お出汁の味がしませんか
林:
ナニーステイトと飲み比べるとお出汁ですね
ナオ:
よく考えると何の味かまったくわからないですね
林:
ビールじゃないですか
ナオ:
苦味とシュワシュワはあるけど。何なんだろうね。
拙攻:
食べ物っぽいっすよ
古賀:
食べ物ですよね
ナオ:
元ネタから遠い
古賀:
タンパク質…
橋田:
豆?
古賀:
豆だ
橋田:
鼻の奥に豆の香りが
林:
たしかにお豆っぽさがありますね。豆が入ってるのかな?(パッケージを見る)入ってないな
橋田:
でも0キロカロリー
古賀:
不思議だ
林:
ナニーステートは味がちゃんとしてるからごはんのときに飲むともったいないんですよね。
ぐぐっと生は何にでも合わせられる。
橋田:
ごはんにあいそう。
林:
豆だから
拙攻:
濃いビールってごはんに合わないって最近気づきました
林:
同じ豆でもピーナツバターのやつは合わないですよね
拙攻:
ダメですね
古賀:
あれはもう単体ですよね。
拙攻:
古賀さんが餅が食えるっていった。
林:
あんころ餅だ
古賀:
タレとして
林:
ぐぐっと生はこうやって与太話しているあいだに飲めてしまう
拙攻:
これいくらなんですか
林:
楽天で買ったんですけど24本入りで1948円
古賀
ヤマヤの宅配だと1380円ですよ24本入りで(注:宅急便での送料が加算されます)
林:
1本57円ですね。業務スーパーのSkyぐらいの値段だ。(業務スーパーの激安ノンアルビール。くわしくはこちら)
橋田:
儲けがあるのか
ナオ:
どうしてこんなことが可能なんだろう
古賀:
ぐぐっとなまはパッケージがいいよこれ。
橋田:
ロゴがワードアートですけどね
古賀:
どんどん愛おしさが増してくる
林:
箱買いした方がいいですよ
ナオ:
さっきのブリュードッグの価格と比べたら、この落差でおいしいなんてすごい。
初期のオールフリーファンは大好きなはず~オリオンクリアフリー
林:
次はオリオン。これはすごいですよ
橋田:
これも糖質、プリン体ゼロ
古賀:
オリオンにノオンアルあるんですね。
林:
なかなか売ってなくて。ネットで沖縄の物産のお店から買ったんですよね。隙間に詰まってる沖縄の新聞を熟読しました。
林:
これが、一番初期のオールフリーに近い。
蚊取り線香の味がしたやつ(個人の感想です)。
(あける)
古賀:
ほんとだ。これはオールフリーの匂いだ
ナオ:
いまのオールフリーはこんなじゃないんですか。
林:
もうちょっとマイルドになってます。
蚊取り線香どころか、蚊取り線香が焦げた匂いすらしませんか(だから個人の感想です)
橋田:
苦味?
拙攻:
若干香ばしさありますもんね
林:
そうか、香ばしさって言えばいいのか。焦げたじゃなくて
拙攻:
本来は穀物の香ばしさなんでしょうね。焦げた蚊取り線香って言われたらそう思っちゃいますね
古賀:
いいかただ
古賀:
ちょっとすーっとしませんか。ハーブっぽい
ナオ:
確かにオールフリーはこういう味しますね。でもこの方向は嫌いじゃない。
古賀:
これひとつの方向性ですよね。ノンアルの方向性
橋田:
ぐぐっと生よりこっちがいい
古賀:
私もこっちがおいしい。甘くないですか
林:
ぐぐっと生よりも?
古賀:
ぐぐっと生はお茶っぽいっていうか
ナオ:
蚊取線香っていう意味もわかるんですけど、そんなに嫌じゃない
古賀:
フルーティーだし
林:
おれの表現が間違っていたのか
拙攻:
僕はぐぐっと生ですね。0%のなかでは衝撃的にうまい
林:
まさかのぐぐっと生が日本のノンアルの上位に来ちゃったんですよね。
でも確かにクリフリーの方がちゃんとしてるといえばちゃんとしてるですね
【中間発表】
林:
今のところベストなんですか
橋田:
わたしはオリオンクリアフリーかも
古賀:
わたしも
ナオ:
このライトさ、僕が好きなノンアルハイボールのなにもない感じに似ているかも
すーっと飲めるような。
林:
ぐぐっと生とクリアフリーは違いますね。
古賀:
別のところで戦ってる感じがしますね。
ちょっと待ってふたりともなにやってんの?ってぐらい違う
拙攻:
ぐぐっと生はおいしかったな。今また戻ってるんですけど、出汁風味が際立って感じますね。味噌汁飲んでるみたいな。
ナオ:
落ち着いてきちゃってる。
古賀:
おうどんかな、みたいな。においだけかぐと
林:
ぐぐっと生は楽天のレビューでも焼酎割りで使うと旨いっていうレビューがあります
古賀:
ダメな人たちですね
林:
クリアフリーも3缶ぐらい飲んだらうまいなと思い始めたんですよね。
ぐぐっと生は1缶目からこれだ!と思ったんですけど
そんなこと誰も思わなかったのか……。
古賀:
ノンアルは飲み慣れがめちゃめちゃ大事ですよね
ナオ:
ぐぐっと生、ぬるくなったら飲みにくくないですか
古賀:
勢いだ
林:
ぐぐっと生ならぬるくなっても、まあいっかって思えるから
ナオ:
たしかに
古賀:
「しょうがねえなあお前は」って言われながらかわいがられるいい人生
ナオ:
自分が目指したいのはそこですよ
古賀:
ぐぐっと生みたいに生きたいですね
ナオ:
なんで豆の味がしているのか
古賀:
なに豆の味なんか出してんだよ
ナオ:
ダメだろ。ビールめざしてるのになんで豆なんだよ
林:
ぐぐっと生はおれたちですね。
お前やったじゃん!~ビアリー 香るクラフト
林:
最後はビアリーです
ナオ:
前のビアリーが関西で売られるようになったんですが、その先があるんですね
古賀:
これもう発売になったんですね。
林:
最近出て、ライフですごい積んでましたよ
拙攻:
黒い方もまだ見てないです
(あける)
古賀:
これはいい香りだな。うめー
ナオ:
0.5%は林さんはOKなんですか
林:
ストイックに0%を目指してるわけじゃないのでOKです
ナオ:
だったらこれでよくないですか
古賀:
泡立ちもやっぱり豊かなんですよね
橋田:
おいしい
古賀:
これめちゃめちゃうまくないですか。黒よりもまた一気に
林:
日本のビールメーカーのクラフトビールみたいで飲みやすい
古賀:
キリンIPAとか
ナオ:
うま
古賀:
これもう完璧じゃないっすか。黒いのよりも全然うまい
橋田:
これはちょっと良くないかもしれない
古賀:
これ良くないね。飲んじゃうよねこれ。しかもこれまた180円くらいとか
橋田:
そこそこするんですよね
林:
ぐぐっと生3本分
拙攻:
おいしいです。正直、黒いのは期待はずれだったんですが、これはおいしい。
林:
黒はちょっと野暮ったかった
古賀:
酸っぱ苦いっというか。でも白は「お前、やったじゃん!」みたいな。成功した同期に言うような。
ナオ:
手放しで喜べる
拙攻:
僕はこの白と黒の間にぐぐっと生がいる
古賀:
そんなに?
林:
白のビアリー→ぐぐっと生→黒のビアリーって順番ですね
ナオ:
3兄弟みたいな感じなんだ
林:
クリアフリーはどこに?
拙攻:
オールフリー系はそんなに好きじゃないので…
林:
カメラをパンするとクリアフリーがいる。
拙攻:
ドライゼロがうまいなって思ってたんです
林:
ドライゼロは結構スーパードライですよねあれ
拙攻:
パッケージがそっくりで叩かれていたやつ
林:
ほかのメーカーはビールに似せないようにしたのに!アサヒだけなんで似せてんだって
橋田:
いろんな怒られ方がありますね
橋田:
白のビアリー、これは売れるよ
古賀
もう株を買うっきゃねえ
0.5%入っていてもいいのか
ナオ:
いやでも0.5%入ってるっていうのはね、何か…。
0.5%も入れずに表現するのがノンアルの世界だと思ってたので
古賀:
ノンアル飲料としての矜持が問われている気がしますよね
ナオ:
0のなかでやるってのがね
古賀:
ドーピングですよね
ナオ:
さっき林さんが0.5がOKって言ったが不思議で。それいいんだ。
林:
ウサギは鳥ですから~って言って食ってるように聞こえました?
古賀:
1羽2羽みたいな
ナオ:
まだ完全に0じゃないんだ、酒を断ちきれてないんだっていうのが嬉しい
林:
0.5%を大量に飲んでもγGTP70台になりましたよ
ナオ:
えええ
林:
140から。ひと月で。
古賀:
めっちゃ早くないですか
林:
70なんてもう大学生以来の数字じゃないですか。
中性脂肪は高いままでした。アイスばっか食ってるからかな。
どのノンアルを選ぶ?
古賀:
圧倒的にビアリーですね。圧倒的なうまさ
橋田:
わたしはオリオン。買うと思う。
古賀:
橋田さんはすっきりしているのが好きだから。常温で飲むし。
橋田:
IPAとかあんまこってりしてるのがだめだから
拙攻:
美味しかったのはビアリーですけど、買うのはぐぐっと生ですかね。
やっぱり57円だったら
古賀:
安さがすごい
拙攻
ぐぐっと生は本当に努力賞というか敢闘賞を
橋田:
ぐぐっと生の人に教えたい
ナオ:
自分が買うとしたらオリオンかな。
橋田さんと同じなんですが蚊取線香テイスト好きなのかのかもしれないですね。
オールフリーも好きだったんですよね。
林:
蚊取線香テイスト、意外にご飯に合うんですよね。
ナオ:
僕が好きなノンアルのハイボールも蚊取線香テイストがする気がする。まずみが。
ナオ:
このビアリーとかナニーステイトは何と合わせるのかがわからない。
古賀:
これだけで飲む感じですかね
林:
ぐぐっと生を改めて飲んでみると、古い会社の社員食堂みたいなにおいしますね。旅館の食堂の空間のにおい
拙攻:
畳ですかね
林:
修学旅行とか受け入れるような古い旅館の食堂
ナオ:
ぐぐっと生はいちばん少ない要素でやろうとしている
古賀:
工夫だ
林:
時間も発酵もできないなかで
おまけ
林:
ついでに送ったのが、ただうまくておもしろくないです。
古賀:
むちゃくちゃかっこいい。上が黒だなんてみたことがない
林:
ブリュードッグのついでに買ったら、むちゃくちゃうまくて
ナオ:
これも送料1000円
林:
そうです
橋田:
それも私たちに送ってくれてますからね
林:
もったいないから送るのやめようと思ったんですよ。でもさあ、だからって一人で飲むのもケチだなと思って。
古賀:
送料で失敗したことをワイワイ言ってもらってね
林:
わけてこそ
橋田:
でも編集会議でもずっと送料のこと言ってましたよね。
林:
しつこいですよね。おれ。