おうち時間にゲーム三昧しちゃう?
昨年はMicrosoft(マイクロソフト)やSONY(ソニー)が最新ゲーム機をリリースし、おうち時間の増加も相まってゲーム界が大きく盛り上がりました。最先端ゲーム機の機能を存分に楽しむには、やはりそれに見合った高機能モニターと組み合わせることが大切。そこで今回は、あらゆるテレビを知り尽くしたWirecutter編集部による「最高のゲーミングテレビ」を紹介します! 一部、日本では手に入りにくい製品もありますが、そのスペックや性能はテレビ選びの重要ポイントとなりますので、是非チェックしてみてください!
Wirecutterでは定期的に最新のテレビをテストし、さらにXbox Series Xとの相性を検証。その結果、最高のゲーム体験を提供してくれるのはLGの有機ELテレビ、CXシリーズと決定しました! 将来的な必須機能もちゃんと備えています。
高価格に見合った高機能ゲーミングテレビ:LG CXシリーズ
最高のゲーミングテレビ。LG CXシリーズなら、遅延レスでゲーム向け機能も充実。画質も文句なしです。
LG CXは最高のゲーミングテレビにして、画質最高のテレビ。Wirecutterの「おすすめの有機ELテレビ」にも選ばれています。低遅延かつゲームモードにありがちな画質低下もなし。4つあるHDMI入力端子はすべて、自動低遅延モード・可変リフレッシュレートモード・4K120pをかなえる帯域幅など、HDMI 2.1の機能をフルサポートしています。
さらに、このCXシリーズはHGIG(HDR普及を目的とする団体)のガイドラインに対応する数少ないテレビであり、 AMDのGPU“Radeon”向けのFreeSyncやNvidiaのGPU“GeForce”向けのG-Syncもサポートしているので、PCゲーマー向けモニターとしても活躍します。
CXシリーズは有機ELテレビなので液晶テレビに比べて視野角が広く、画像のブレも少ないうえピクセルのレスポンスタイムも短縮されています(つまりコントローラでの操作が画面表示されるまでのタイムラグが短い)。ただ、性能がプレミアムな分、価格もプレミアム級です。
液晶だけどHDMI 2.1対応のゲーミングテレビ:Samsung Q80T
液晶テレビをお好みの方へ。Samsung Q80Tは入力遅延が少なく、HDMIに完全対応。光出力が高く、明るい部屋でも見やすいです。
有機ELパネルでネックな「焼き付き」が心配な方は、液晶テレビを選ぶのもアリ。特にSamsung Q80Tは、これまでにテストした液晶テレビで唯一HDMI 2.1に対応しています。有機ELより画面が明るく反射防止フィルターも備えているので、窓が多く光が入りやすい部屋にも最適。内蔵のストリーミングアプリも充実していますが、LG CX同様価格は高めです。
古いゲーム機でもばっちり。TCL 6シリーズの液晶テレビは画質も良く、ゲームフレンドリーな機能が満載。4K/120 Hzシグナルには非対応。
古いゲーム機を愛用していて、「そもそも4K/120 Hzなんて出せない」 という方、あるいはそこまで高機能を求めていないという方には、TCL 6シリーズがおすすめ。なんといってもお手頃価格が魅力のゲーミングテレビです。THX認定のゲームモードを搭載し、可変リフレッシュレートや自動低遅延モードなどHDMI 2.1機能にも対応していますが、4Kは対象外です。
6シリーズはひと言でいうと性能と価格のバランスが良く、総合点で最も優秀な液晶テレビ。リフレッシュレートは120 Hzで、量子ドット技術が鮮やかな発色を生み、ローカルディミング(エリア駆動)機能のついたミニLEDバックライトでコントラストも鮮やかです。6シリーズにはスマートTVプラットフォーム“Roku”が搭載されているので、あらゆるストリーミングサービスに対応しており、操作も非常にシンプルです。
最高のパフォーマンスを提供する高機能テレビ:LG有機EL CXシリーズ
LG有機EL CXシリーズはゲームだけでなく、あらゆる用途で最高のパフォーマンスを提供してくれるテレビです。ゴージャスな映像だけでなく、4K/120 Hz入力やALLM、VRR、HGIGなどゲームに求めるHDMI 2.1機能をすべてサポートしています。しかもテレビとしては最高ランクの低遅延を実現。色彩を正確に表現するゲームモード、液晶テレビよりも優れた視野角、ハイレベルなピクセル応答時間と高機能が目白押しです。
48インチ、 55インチ、65インチ、77インチとサイズも豊富なので、お部屋にピッタリの1台が見つかるはずです。液晶テレビと比べるとまだ有機ELテレビのほうが高価ですが、ここ数年でかなり値下がりしています。
4つのHDMI2.1端子に、最高水準のレスポンス
LG OLED CXのHDMI端子はすべて(4つ)がHDMI 2.1に対応。複数のゲーム機を所有している方でも「どれを2.1にしようかな…」と迷う必要はありません。さらに、 同じ端子がeARCもサポートしているという非常に珍しいタイプ。HDMI 2.1ソース機器とAVレシーバーと接続しながら、同じケーブルでテレビからレシーバーにオーディオを送れます。
入力遅延も驚くほど低減されていて、Wirecutterのテストでは120 Hz信号で画面中央部の入力遅延はわずか1000分の7秒。テレビの画像は上から下向き、左から右向きに画像を描画するので、もしタイムラグが0の場合でも画面中央に表示されるまで最低でも1000分の4秒はかかります。ということは、このテレビのゲームモードのタイムラグはわずか1000分の3秒ということ。これは、今市場に出回るテレビの中でも最高水準のレスポンスです。CXの自動低遅延モードでは、PS5やXbox Series Xなどの対応ゲーム機と接続して起動すると自動でゲームモードに切り替わるので、もう入力遅延でゲームパフォーマンスが低下する心配もなくなります。
シャープでクリアな最高峰の映像を提供
HGIGのHDR(High Dynamic Range)ガイドラインにも対応済みで、HDRゲームコンテンツの陰影のディテールを損なうこともありません。他のHDRソース機器と異なり、ゲーム機はディスプレイの能力に合わせて出力を調整してくれるので、そのHDRキャリブレーション機能によって理想的な画像をテレビに映し出すことができるのです。
有機ELパネルは液晶テレビと比べると、レスポンス速度や視野角が明らかに向上。液晶ディスプレイ上のピクセルよりも、有機ELのほうが色の変換が速いため、画像がぼやけにくくてシャープでクリアな映像になります。さらにLGは映像を滑らかに見せる“OLED Motion Pro”という黒挿入モードを用意しており、残像感を低減しています。友人と一緒にゲームを楽しむときも、視野角が広いのでソファの端だろうが、隅の椅子に座っていようが、部屋のどこにいても全員が画面を見渡すことができます。
CX有機ELはAMDのFreeSyncやNvidiaのG-Syncに対応しているので、幅広いリフレッシュレートのPC(最新のグラフィックスカードを搭載しているもの)にアクセスすることができ、PCゲーマーの方がゲーム用モニターとして使うにも最適。48インチの機種ならデスクにも収まり、同様の機能を持つモニターよりも低価格なので、コアなPCゲーマーでも満足できるはず。
LG CXはゲーミングテレビとして優秀なだけでなく、現在あるテレビの中でも最高峰の映像を表現できるのが魅力。とにかく美しいの一言で、レスポンスの速さや視野角の広さはゲームとの相性はもちろん、映画やテレビの映像もきれい。有機ELテレビなので無限のコントラスト比で真の「黒」を表現することができ、最新の「フィルムメーカーモード」では最小限の労力で映画やテレビ画像を正確に映し出してくれます。
気になる点
有機ELテレビでゲームをする際に「焼き付き」が気になるという方もいます。焼き付きとは同じ画面が繰り返し(あるいはずっと)表示されることで色が劣化したり、残像が残ったりしてしまう現象のこと(たとえば、ゲームのロゴやチャンネル表示など)。ただ、Wirecutterではその経験とRtings.comやHDTVTestの長期テストデータから、焼き付きを過度に心配する必要はないと考えています。同じゲームを1日に8時間から10時間以上、数カ月にわたってプレイされるコアなプレイヤーには液晶テレビをおすすめしますが、色々なゲームを一般的な頻度でプレイする分には問題ないでしょう。くれぐれもプレイしすぎにはご注意を。
1つ気になるのは、2019年モデルのLG C9ではHDMI 2.1仕様の帯域幅48Gbpsに対応していたのですが、CXのHMDI入力は最大40Gpsまでになっていること。48 Gbpsの帯域では4K/120 Hzのシグナルが1ピクセル当たり12ビットに対応できるのに対し、40 Gbpsでは1ピクセル当たり10ビットまでしか対応できないので、CXのディスプレイではグラデーションの一部にバンディング(濃淡の縞模様)が発生する恐れが高いということです。
ただCXの有機ELパネルの表示能力がそもそも10ビットであることを考えれば、実際にテレビを視聴している際にバンディングが気になることはほとんどないでしょう。また、現在のゲーム機はいずれも10ビットなので、大きなマイナスポイントにはならないはずです。
最後に、編集部の意見や他のレビューを見てみると、4K/120 Hzのコンテンツで可変リフレッシュレートを有効にすると、黒レベルがわずかに上昇することがわかりました。これはLGの2019年と2020年モデルの有機ELテレビ特有の問題で、ゲーム中の暗い部分がグレーに見える現象です。この問題はファームウェアのアップデートでも解決されませんでしたが、それほど気になるものではなく、ガンマを改善するために可変リフレッシュレートを無効にするよりは、ゲーム側の可変リフレッシュレートを有効にしたほうがいいと思います。
液晶がいい! という方におすすめのHDMI 2.1対応のゲーミングテレビ:Samsung Q80T
日当たりが良い部屋でゲームしていると画面が見にくいという方、また有機ELテレビでは焼き付きのリスクが気になるという方には液晶テレビのSamsung Q80Tがおすすめです。液晶テレビの2020年モデルをテストしてきた中で唯一4K/120 Hz信号をサポートし、かつALLMやVRR、HGIGガイドラインにも対応しています。 動きを滑らかにするフレーム補間や、敵を発見しやすくするシャドウブーストなど、ゲームに特化した画像拡張機能もしっかり搭載しています。ALLMやVRRに4K/120 Hz信号で対応するなど、あればうれしいHDMI2.1をすべて備えていますが、それをサポートするHDMI入力端子が1つなのは少し物足りない感じ。
ゲームモードは自動で起動し、HDRキャリブレーションを適切に実行。入力遅延も非常に少なく、4K/60 Hz信号で1000分の12秒、1080p/120 Hzシグナルで1000分の7秒となっています。ブラックフレーム挿入を有効にすることでブレを抑えることも可能ですが、120 Hzではできません(この機能では入力遅延も1000分の12秒から1000分の35秒に増加します)。SamsungのeARC対応端子はHDMI2.1の入力端子と異なるので、HDMI 2.1のソース音源をAVレシーバーに通してもeARCは使えなさそうです。
ゲーム以外のコンテンツ画像はとってもきれい。LG CX同様にこのテレビにも「フィルムメーカーモード」が搭載されていますが、Wirecutterのテストでは、標準的なダイナミックレンジ(SDR)映像でのピーク輝度はかなり暗く、HDRモードのほうが見やすかったです。「ムービーピクチャーモード」の映像もズレやブレを抑えていますが、明るさは強めなのでSDRとの相性は良さそうです(ただし、エッジエンハンスメントやモーションスムージングなど、フィルムメーカーモードでは自動OFFされる機能を無効にしておく必要があります)。
反射防止フィルターは室内光の反射を軽減する効果あり。Wirecutterのテストでは、シャンデリアが煌々と照らす部屋でも暗い場面をしっかり映し出していました。
統合型のTizenスマートTVプラットフォームもしっかり機能し、ストリーミングサービスのサポートも充実していますが、ラインナップ自体は個別のメディアストリーマーとさほど変わらない印象です。足元がガッチリデザインのテレビと違い、Q80Tはスタンドが中央に配置されているので、どんなテレビ台ともマッチします。
TCL 6シリーズは入力遅延が非常に少なく、自動低遅延モードや可変リフレッシュレートといったHDMI2.1機能をサポートし、THX認定のゲームモードをしっかり備えています。それでいて低価格なのでゲーム好きには最適のコスパ最強テレビです。
リフレッシュレート120Hzで解像度1080pと1440pで120Hzのコンテンツを表示できますが、LG CXやSamsung Q80Tとは異なり、4Kには対応していません。フルアレイ・ローカルディミングや量子ドットを採用することでゲームに最適なHDRを実現していますが、現時点ではHGIGガイドラインには未対応です。
6シリーズは鮮やかなコントラストと、大きなブレのない画像を提供してくれる万能タイプ。統合型Rokuのインタフェースは使い勝手が良く、主要なストリーミングサービスにもほとんど対応しています。HDR10やDolby Visionのハイダイナミックレンジフォーマットもサポートし、ミニLEDらバックライトシステムによってピーク時には約1,000ニットのHDRハイライトを実現しています。
6シリーズの入力遅延は60Hzのシグナルで平均して1000分の18 秒、120Hzでは1000分の9 秒と問題ないレベル。自動低遅延モードを搭載しているので、ゲームプレイ中もその性能を自動で発揮してくれます。ただLGやSamsungのおすすめ製品よりもゲームモードでの画質低下、色の正確さやローカルディミングの精度低下は否めない感じ。
まだある!おすすめのゲーミングテレビ
2020年発売の液晶テレビ、「Vizio PシリーズQuantum」は48Gb/秒の帯域幅を持つHDMI2.1入力や可変リフレッシュレート(GSyncを含む)による4K/120Hz対応、自動低遅延モードなど、ゲーミングテレビにほしい機能はすべてサポート。HDRのHGIGガイドラインにも対応しています。輝度1,000ニットで色域も広く、ローカルディミングも搭載しているので映像はきれい。ただサイズが65インチと75インチのみなので、一般的な部屋にはちょっと大きすぎるかも。入力遅延もSamsung Q80Tよりは気になります。それでも大画面でゲームを楽しむなら、PシリーズQuantumは機能豊富でお手頃価格というコスパ最高のテレビです。
2021年モデルのゲーミングテレビはどんな感じ?
現在、WirecutterではLGの2021年モデルのCX後継機をテストしています。新製品のC1にも同様のゲーム用機能が搭載されているほか、これまでのテストでは昨年モデルよりもさらに優れたパフォーマンスを発揮しています。
さらに、Samsungの液晶テレビ“Neo QLED”シリーズの上位機種であるQN90Aもテスト中です。この4K 120 Hz TVはミニLEDバックライトシステムを採用してコントラストを向上させているほか、HDMI2.1対応で可変リフレッシュレートとFreeSyncもサポートするなど、ゲーム用機能を数多く備えています。
要チェック!の最新モデルたち
毎年毎年、大手のテレビメーカーからは新しいモデルがどんどん登場します。Wirecutterでは続々と新モデルのテストを開始しており、随時こちらのガイドも更新していく予定です。
これまでにテストした2021年モデルの一部を紹介します。
ソニーの有機ELテレビ「ブラビアA90Jシリーズ」は有機EL史上最高の画質を実現していますが、LG CXより入力遅延が目立つため、ゲーマーにとっては最適とはいえないでしょう。現時点では可変リフレッシュレートにも未対応で、今後の予定もわかっていません。広帯域のHDMI 2.1入力は2系統しかないので、使用できるソースは限られますし、最新ゲーム機が対応しているHDRのHGIGにも対応していません。
2020年以前に発売されたモデル
ソニーのX950H液晶テレビは視野角が広く見栄えの良いテレビですが、自動低遅延モードや可変リフレッシュレートには対応していないので、主な用途がゲームだという方には不向きです。
X900HはソニーのPS5向けモデルで、ALLMや VRR、120HZ(4K)など「HDMI2.1対応」をうたっています。今のところ、X900Hでは4K/120 Hzシグナルには対応しているもののALLMやVRRは動作しておらず、あくまで「将来的に対応」ということのようです。また、4K/120 Hz信号では画像がやや不鮮明になることがわかりました。Wirecutterのテストでは、4K 1×1ピクセルのテストパターンが、高いリフレッシュレートでは完全に解像されませんでした。ソニーはこの点について「改善中」としていますが、他の4K/120 Hz対応ディスプレイと同じレベルにまでもっていけるのか、それともあくまで現状からの改善なのか、まだわかっていません。
以前はVizioの有機ELテレビもおすすめ製品として紹介していましたが、ゲーム機から4K/120 Hz信号を受け取る際、電源の不具合やソフトウェアのバグが発生するという報告があがっていることから、今回は選外となりました。
液晶テレビ「Vizio PシリーズQuantum X」はPシリーズQuantumと同じ機能を持ちつつ、ローカルディミングゾーンが増加しているほか、ピーク輝度も向上しています。しかし実際に両者を並べてゲームをプレイしたところ、大きな違いは感じられませんでした。Pシリーズ Quantum Xならではの85型というサイズが魅力という方以外は、より安価な Pシリーズをおすすめします。
Vizio Mシリーズの液晶テレビはVRR、ALLM、HGIGガイドラインに対応していますが、リフレッシュレートが60 Hzしかないので、動きのスムーズさに欠けていまうデメリットがあります。
Hisenseの2020年モデル、H8GやH9Gは入力遅延は少ないものの、ALLMやVRRには対応していないため、ゲーム向きではありません。
Samsungの2020モデルTU8000は120 HzのリフレッシュレレートやVRRに対応していないため、新しいゲーム機の機能が宝の持ち腐れになるかも。ローカルディミングや広色域にも対応していません。低入力遅延やALLMはサポートしていますが、これらの機能は他のメーカーでも十分見られます。
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