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膝関節の向きが人間と逆でダチョウのように走る二足歩行ロボット「Cassie」は、アメリカ・オレゴン州立大学発のスタートアップであるAgility Roboticsによって開発されたロボットです。二足歩行ロボットは人間用に設計された場所を通過しやすい一方、バランスを取るのが難しいのが課題ですが、研究チームがCassieをディープラーニングで訓練した結果、なんと5kmの距離を53分台で走破するという記録を打ち立てたとのことです。
Bipedal robot developed at Oregon State makes history by learning to run, completing 5K | Oregon State University
https://today.oregonstate.edu/news/bipedal-robot-developed-oregon-state-makes-history-learning-run-completing-5k
Could you beat this bipedal robot’s 5K run time? – The Verge
https://www.theverge.com/2021/7/28/22597655/biped-robot-cassie-runs-first-robotic-outdoors-5k
Cassieはアメリカ国防高等研究計画局から100万ドル(約1億1000万円)の資金提供を受け、オレゴン州立大学のロボット工学教授兼Agility RoboticsのCTOであるジョナサン・ハースト氏の下で開発されました。2017年にCassieが発表されて以降も、オレゴン州立大学の学生らを含めた研究チームは、機械学習によってCassieの性能を向上させる方法を模索してきたとのこと。
ハースト氏は、「オレゴン州立大学工学部のDynamic Robotics研究所の学生は、生体力学の専門知識や既存のロボット制御アプローチを、新たな機械学習ツールと組み合わせました。このような包括的なアプローチにより、動物のようなレベルのパフォーマンスを可能にします。これは信じられないほどエキサイティングです」とコメント。研究チームはディープラーニングを用いて、ランニング中に直立状態を維持するために重要な動的バランスを維持する方法を、Cassieに教えることに成功しました。
実際にCassieが屋外を走る様子は、以下のムービーを見るとよくわかります。
OSU Bipedal Robot First to Run 5K – YouTube
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大学のキャンパス内で軽快に足踏みをしているのが、Agility Roboticsが開発した二足歩行ロボットのCassie。走行自体は自律的に行うものの、進路などの指示は右側の男性が持っているコントローラーで送るとのこと。
カウントダウンに合わせてスタート。
膝関節の向きが人間とは違うため、まるでダチョウのように走ります。
奇妙な形状をしていますが、走りはとても軽やかです。後ろから見ると、足の動きに合わせて両サイドへ揺れるものの、バランスをしっかり保持しているために腰の位置が非常に安定していることが見て取れます。
さまざまな建物の前を通るCassie。
時にはCassieに追いつくため、研究チームの面々が小走りになるシーンも。
やがてキャシーは建物の並ぶ区画を抜けて……
キャンパス内に広がる草地に到達。
頼もしい走りっぷりです。
Cassieは走っている途中、コンピューター部分のオーバーヒートと操作ミスにより2回転倒し、計6分30秒ほど走行を中断したとのこと。
それでも、たった1回のバッテリー充電で、5kmを「53分3秒」というタイムで走破することに成功しました。
ハースト氏は、いつの日か歩行ロボットが一般的になるだろうと予想しており、自動車と同様の影響が及ぶだろうと主張。「それほど遠くない将来、誰もが日常生活の多くの場所で私たちと共に働き、生活の質を向上させるロボットを見たり、相互にやり取りしたりするでしょう」と述べています。
なお、Agility RoboticsはCassieの他にも、自動車大手のフォードと提携して荷物を運べる二足歩行ロボットの「Digit」を開発しています。DigitはAgility Robotics初の商用製品として2020年に市場投入され、2台がフォードに販売されました。
「完全無人宅配」実現に向け玄関まで荷物を運ぶ二足歩行ロボ「Digit」をフォードが発表 – GIGAZINE
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