ダンボール製の半個室ワークスペース、工学院大学の学生が「withコロナの暮らし」をデザイン 「カプセル建築プロジェクト」にも参加する鈴木敏彦教授が監修

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WA-K.pro(ワークプロ)の学生によるプレゼンテーション

 工学院大学は、同学の建築系学生プロジェクト「WA-K.pro(ワークプロ)」が開発したダンボール製の製品2点を発表した。「Home Office」はテレワークなどに利用できる半個室。「Portable Work Space」はバッグとしても利用できる卓上用のパーテーション。

 同プロジェクトは、建築学部生の1、2年生を中心に約200人が参加。「建築をこよなく愛し、建築について仲間と語り合いたい」「授業の枠を超えて実践的に建築を学びたい」という学生たちが、建築に関わるさまざまな活動を行っているという。

 今回発表された2製品は、株式会社電通テックと豊栄産業株式会社が手がけるダンボール製プロダクトブランド「danbal」との共同プロジェクトによる。現時点で商品化の予定はないが、学内イベントでの試用や千葉県立現代産業科学館(千葉県市川市)での作品展示を予定しており、利用者からのフィードバックによって今後の展開を検討するという。

ダンボール製の半個室「Home Office」

 狭い空間でも簡単に設置でき、仕事場と家族との暮らしの空間を遮ることができるダンボール製の半個室。在宅勤務やオンライン授業の普及により、集中できる環境の確保が課題になったことを受けて企画した。既存の「danbal」のデスクとチェアに合わせたサイズとなっており、組み合わせて一体型のワークスペースとして利用できる。屋根の隙間から光が入り、手元の明るさを保つ。

ダンボール製の半個室「Home Office」

パソコンやデスク周辺機器を収納できるバッグ型パーテーション「Portable Work Space」

 テレワークの普及で働く場所が多様化したことを受け、PCや周辺機器を収納して持ち運ぶバッグとしても使えるパーテーションを企画。仕事道具一式を持ち運び、作業時には集中できる環境を作る。

パーテーションとして利用

バッグとして使用

監修の鈴木教授はこれまでにもダンボール製品を開発。『カプセル建築プロジェクト』への参加も

 両製品のプロジェクトを監修した同学の鈴木敏彦教授は、これまでにもダンボール製品などを開発し、商品化もされている。例えば「ダンボールスリープカプセル」は、コロナ禍の避難環境でも3密を避け、プライベート空間を確保しつつ快適に生活できるよう設計されたカプセル。同研究室がコトブキシーティング株式会社と共同開発し、フランスで「DNAパリデザイン賞(DNA Paris Design Awards)」を受賞している。

ダンボールスリープカプセル

 「ポータブルシールド」は、透明アクリル板製の携帯型アクリルパーティション。コンパクトで持ち運びやすく、会合などの場面でも飛沫を避け、安全な環境を保てる。

ポータブルシールド

 「ダンボール製PCR検査用シールド」は、撥水性の高い強化ダンボールを使い、シールド本体の消毒が可能。窓にはアクリル板を使用し、検査の対象者に向かって医療従事者が立っても座った姿勢でも検査できる高さで作られている。検査時に防護服が要らなくなり、医療従事者の身体的負担を軽減できるという。

ダンボール製PCR検査用シールド

 また、鈴木教授の設計事務所「ATELIER OPA」でも、さまざまな製品を開発している。2020年には、自在に移動できるアルミパネル製の作業空間「HOME OFFICE」を開発した。

HOME OFFICE

 また同教授は、建築家の黒川紀章氏がデザインした長野県のカプセル建築「カプセルハウスK」の動態保存を行う「カプセル建築プロジェクト」にも参加している。

カプセル建築プロジェクト