【山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ】12.9インチiPad Proとほぼ同サイズのハイエンドAndroidタブレット「LAVIE Tab T12」

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「LAVIE Tab T12」。NEC Direct価格は9万6,580円から

 NECパーソナルコンピュータの「LAVIE Tab T12(T1295/DAS)」は、12.6型のAndroidタブレットだ。Snapdragon 870を搭載するなどハイエンドなスペックを誇る一方、12.9インチiPad Proとほぼ同等の画面サイズながら、120g以上軽い筐体が特徴だ。

 カバー一体型キーボードやデジタルペンがオプションで用意され、2in1のように使うことも可能な本製品だが、大画面かつ軽量なことは、電子書籍ユースでは実に魅力的だ。今回はメーカーから借用した実機をもとに、12.9インチiPad Proと比較しつつ、その使い勝手をチェックする。

12.9インチiPad Proに外観は酷似も独自の強みあり

 本製品は12.6型ということで、画面のサイズだけで言うと、ライバルは12.9インチiPad Proになる。まずはこの両製品を比較してみよう。OSが異なるデバイス間での比較となるため、項目によっては比較がふさわしくない場合もある点に留意してほしい。

【表】LAVIE Tab T12と12.9インチiPad Pro(第5世代)の比較
LAVIE Tab T12(T1295/DAS) 12.9インチiPad Pro(第5世代)
発売 2022年3月 2021年5月
サイズ(幅×奥行き×高さ、最厚部) 285.6×184.5×5.6mm 280.6×214.9×6.4mm
重量 約565g 約682g
OS Android 11 iPadOS 15
CPU Qualcomm Snapdragon 870
3.2GHz(1コア)+2.42GHz(3コア)+1.8GHz(4コア)
Apple M1チップ
4つの高性能コアと4つの高効率コアを搭載した8コアCPU、8コアGPU、16コアNeural Engine
メモリ 8GB 8GB/16GB
画面サイズ/解像度 12.6型/2,560×1,600ドット(240ppi) 12.9型/2,732×2,048ドット(264ppi)
通信方式 Wi-Fi 6(802.11ax) Wi-Fi 6(802.11ax)
バッテリ持続時間(メーカー公称値) 約10.0時間 最大10時間
コネクタ USB Type-C USB Type-C
生体認証 顔認証、指紋認証 顔認証
スピーカー 4基 4基
メモリカード microSDカード(最大512GB)
価格(発売時) 9万6,580円(256GB) 12万9,800円(128GB)
14万1,800円(256GB)
16万5,800円(512GB)
21万3,800円(1TB)
26万1,800円(2TB)

※いずれもWi-Fiモデル

 このように、両者ともにハイエンドに相当するスペックで、画面サイズや解像度も非常に似通っている。Wi-Fi 6やUSB Type-Cを採用する点や、最大120Hzのリフレッシュレートに対応した有機ELディスプレイを搭載するのも同じ。さらにバッテリ駆動時間などもほぼ横並びだ。

 特筆すべきは外見の酷似ぶりで、上下左右ともに幅が等しいスリムベゼルや、垂直にカットされた側面のデザインなど、瓜二つと言っていい。アスペクト比が違うとはいえ、両者を並べてどちらなのか判別しろと言われると、間違える人もいるであろうレベルだ。

 その中で、本製品の最大の強みと言えるのは重量だろう。数十gならまだしも、127gも軽いのは、実際に手で持って使う場合や、持ち歩く機会が多い場合、製品選択にかなり影響をおよぼすはずだ。またメモリカード(microSDカード)に対応している点も、響く人には響くだろう。

 なお冒頭にも述べたように、本製品はオプションのマグネット着脱式のキーボードを追加することで、2in1のようにも使用できる。本製品の姉妹製品にあたるレノボの「Lenovo Tab P12 Pro」は、このキーボード一式がセットになっている。購入用途の1つにテキスト入力があるならば、本製品だけでなくこちらも併せて検討したい。

横向きでカメラが上部に来る配置。画面は12.6型、アスペクト比は16:10

ベゼル幅は上下左右で均等なので、縦向きでの利用にも違和感はない

12.9インチiPad Pro(右)との比較。天地は同等だが幅はかなりスリムだ

背面。カメラ部以外はどちらもほぼフラットだ。筐体はアルミ製

12.9インチiPad Proが重く感じられるほどの軽量筐体

 ホーム画面は、同社独自のウィジェットが表示されているのが目立つものの、操作性自体は素のAndroidそのものということで戸惑うこともない。顔認証だけでなく指紋認証も利用できるのは、iPad Proとの比較においては有利だろう。

 アプリはGoogle標準以外のものも多数プリインストールされており、やや数は多め。電子書籍系は、最近のAndroidデバイスとしてはめずらしく、Google Playブックスがプリインストールされている。

 なお前述の姉妹機「Lenovo Tab P12 Pro」は、PCと接続してサブディスプレイとして使えるアプリがプリインストールされているが、これはレノボ製ゆえ、本製品のプリインストールアプリの中には見当たらない。

 ざっと使ってみてインパクトがあるのはやはり軽さだ。一般的に500gを超えるデバイスとなると、両手で持ったとしても、宙に浮かせたまま長時間保持するのは難しい。特に12.9インチiPad Proは700g近くある(Wi-Fiモデルで約682g)ので、その傾向は顕著だ。

 しかし本製品は実測560gと、10~11型タブレットよりもわずかに重い程度で、体感的にも12.9インチiPad Proとは明らかに違う。長時間手に持ったままでの読書が難しいことに変わりはないのだが、それでもいったん本製品を使ってしまうと、12.9インチiPad Proがおそろしく重く感じられるようになる。

 もっとも本製品は、対角線の長さこそ12.9インチiPad Proとほんの少ししか違わないが、アスペクト比が異なるため筐体は細長く、筐体の軽さもあって、むしろ体感的には10~11型の製品により近い印象を受ける。12.9インチiPad Proを使ったことがある人が手に取ると、そのコンパクトさに驚くかもしれない。

 ベンチマークについては、異なるOS間の比較になるので参考として見ていただきたいが、「Google Octane」では本製品が「41,421」、12.9インチiPad Proが「63,572」。また「Wild Life Extreme」では本製品が「1,223」、12.9インチiPad Proが「5,123」とかなりの差がある。

 後者はiOS系列のスコアが高く出る傾向があるようで、手元にあるPixel 6 Proでも測定してみたが、こちらも「1,946」と、本製品のほうが相対的に低いスコアになった。スペックから考えると、もう少し高いスコアでもよさそうなところである。

「Google Octane」でのベンチマーク結果(いずれもChromeを使用)。左が本製品で「41,421」、右が12.9インチiPad Proで「63,572」

「Wild Life Extreme」でのベンチマーク結果。左が本製品で「1,223」、右が12.9インチiPad Proで「5,123」。ちなみにPixel 6 Proだと「1,946」となる

大画面を求めるユーザーは候補の1つに含めておくべき製品

 以上のように、12.9インチiPad Proに比べると、コンテンツによってはページサイズが小さく表示されることに気を付ける必要はあるが、表示のクオリティそのものは文句の付けようがなく、また筐体の質感の高さや性能も良好だ。大きな画面サイズを求めるユーザーは、選択肢の1つに加えておくべき製品と言えるだろう。

 ところで本稿執筆のタイミングで、複数の電子書籍ストアがアプリ内での購入機能を廃止し、新規のコンテンツの購入はWebブラウザ上で行なうよう方針を変更しつつある。これはGoogleの決済システムの変更によるもので、アプリ内で作品の続巻をシームレスに購入できるという、iPhone/iPadと比べた場合のAndroidデバイスの強みが、一部で失われつつある格好だ。

紀伊國屋書店Kinoppyは3月22日をもってアプリ内のストア機能を終了し、以降はiOS/iPadOSと同様、Webブラウザ経由での購入に一本化される

ブックライブも基本的に同様の方針だが、こちらはGoogle Playストアで配信するアプリとは別に、ストア機能を含んだ新アプリを自社サイトから配信するという2段構えのスタイル

 今のところ、全ストアがそうした対応に踏み切るわけではないようだが、今後どうなっていくかは予断を許さない。これまで購入フローのシームレスさに魅力を感じてAndroidを選択していたユーザーは、今後電子書籍用途でAndroidデバイスを購入するにあたり、自身が利用している電子書籍ストアの方針を、予め確認してからのほうがよさそうだ。

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