10月19日~22日に完全オンラインで開催中の「CEATEC 2021 ONLINE」。今年も多くの企業・団体がブースを出展しているが、この記事では、その1に引き続いて、特に気になったブースを、カテゴリーを問わずまとめて紹介していきたい。
CEATEC 2021はカテゴリごとに縦割りされているが、本記事ではその辺を無視してざっくばらんに紹介していく。リアル開催の時には会場内をなんとなく散策して、面白い技術や商材を発見していた読者もいると思うが、そんなノリだと思ってもらいたい。あくまでブースの詳細ではなく、見どころをまとめているので、気になるブースがあったなら、実際のブースで確認してもらうのがいいだろう。
なお、INTERNET Watch編集部では、ほかにも5G関連の見どころや、テレワーク・働き方改革関連の見どころ、カーボンニュートラル関連の見どころなどもまとめているので、関連記事を参照いただきたい。
約9万3000種を収録したスマホアプリの動植物図鑑「Biome」
株式会社バイオームのブースでは、日本国内ほぼ全種を収録したという、スマートフォン向けの図鑑アプリ「Biome(バイオーム)」を紹介していた。これは、撮影した生物の名前を自動的に判別するAI機能のほか、図鑑、地図、ユーザー間の教え合い機能、クエストなど専門知識がなくとも探索気分で生物観察を楽しめるというもの。クエスト機能ではポイントを獲得できる仕組みもアリ。環境省や国立環境研究所と連携したイベントを展開しているだけでなく、2021年冬には生物調査アプリ「Biome Surbey」もリリース予定だ。
フランス発、昆虫由来タンパク質ベースの食材・肥料・飼料技術
フランスの企業であるYnsectのブースでは、同社が展開するパウダー状の昆虫由来のタンパク質ŸnMealを紹介。チャイロコメノゴミムシダマシがベースになっており、従来の畜産農業地で生産できるのが強みだ。養殖が比較的容易であり、環境への影響を最大限に抑えているという。成分の72%が高品質タンパク質、オメガ6、多価不飽和脂肪酸、ビタミンであり、食料だけでなく、肥料や飼料への利用も可能だ。
スウェーデン発、手腕に装着できるパワースーツ
スウェーデンの企業であるBioservo Technologiesのブースでは、手腕特化型パワースーツとして「Ironhand」を出展していた。文字通り手腕に装着するアクティブエクソスケルトンで、手のグリップを補助することに特化。ハンマーやグラインダーなど、グリップしたままの反復作業を補助する。バッテリーは装着するベスト背面にあり、腕部にはストラップとコードのみで作業の邪魔なりにくい。CEATEC 2021を機に日本にアピールしていくとのこと。
スマートウォッチの文字入力を容易にする、日本大学の5キーかな入力方式
日本大学産官学連携知財センター(NUBIC)のブースでは、同大学の中村研究室で開発している5キーのスライド&フリックによる文字入力方式について紹介していた。スマートウォッチでの文字入力は、そもそもの面積の小ささから、テンキー入力でも指先のサイズいかんによって大変難しいものがある。その解決策のひとつとして開発されているのが、5キーのスライド&フリックによる文字入力方式だ。キーを横一列に配置し、スライドとフリック操作を組み合わせた操作で日本語かな入力ができ、最大85文字の打ち分けが可能だ。気になる人は、ブースにある仕様解説を含むPDFをチェックしてほしい。
フランス発、飛行船を用いた次世代ロジスティックス
フランスの企業であるFLYING WHALESのブースでは、ホバリング中に大量の積み下ろしができる輸送手段として、飛行船を採用したソリューションを紹介している。ヘリウム充填式のLCA60Tは全長200m、幅50mのサイズになり、ペイロードは60t。ハイブリッド推進システムを備え、グローバルな輸送エコシステムのミッシングリンクを埋める存在になるという。エネルギー、林業、建設、産業、災害救助などさまざまな分野での活用が期待される。
LiDARに特化したリアルタイム高速可逆圧縮ソリューション
株式会社カタナコーポレーションのブースでは、LiDARなど向けのリアルタイム高速可逆データ圧縮ソリューションについて紹介していた。昨今LiDARは自動運転だけでなく、スマホにも実装され、徐々に身近になりつつあるが、組み込みの問題のひとつとして、ストレージ容量が膨大に必要となる点が挙げられ、検証するにしてもストレージ容量が課題となる。「CVC for LiDAR」はそんなLiDAR向けのリアルタイム可逆圧縮方式で、従来方式よりも圧縮率が高く、かつ高速処理、ソフト実装の軽さもポイント。自動運転以外にもAR開発、農業、都市計画、林業、希少、防犯などへの提案もしている。
コミュニケーションに活躍するロボット「BOCCO emo」
ユカイ工学株式会社のブースでは、コミュニケーションロボット「BOCCO emo」を紹介。BOCCO emoは、すでに登場してしばらく経過しているが、Platform APIとCustom Kitによって家庭向けコミュニケーションツールとしてだけでなく、行政や受付、介護、アナウンスなどでの導入が広まっている。既存システムやデバイス、センサーとの連携による用途拡大が広がっており、本誌読者も見たことがある人もいるだろう。なお、BOCCO emoは量販店などでも入手することができる。
折り紙の構造で曲面にも対応可能にした熱電発電デバイス
科学技術振興機構 (JST 微小エネ) / 環境発電 / エネルギーハーベスティングのブースでは、折り紙構造や切り紙構造を用いた延伸性を有する熱電発電デバイスについて紹介されていた。IoTデバイスの電源として注目されている熱電発電は、熱さえあれば発電が可能だが、熱電素子は固いため曲げられないのが課題。たとえば配管は熱源として良好だが、総じて曲面だ。JSTではその解決として、折り紙や切り紙の構造を用いて延伸性のある熱電発電デバイスを開発している。折り紙型はミウラ折りを採用しており、熱電素子間に折り紙構造を用意、熱収縮を利用した自己折り畳み技術を採用している。これにより曲面だけでなく、人の皮膚にも設置可能に。切り紙は七夕飾りがベースになっており、これも曲面に対応しやすく、また従来よりも高い発電性能が得られるという。