書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。
書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)
書き出し小説の更新は隔週なんですが、あっという間ですね、二週間って。以前までは二週間って10日じゃない?と思うくらいの早さでしたが最近は8日くらいじゃね?と思うようになりました。このペースだと二週間の体感が一週間を切りそうです。
それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご招待しましょう!
書き出し自由部門
私は教科書に載れなかった。
もろみじょうゆ
引きのある一言目。つづきが聞きたい。
追い風が吹いた。膨らんだウインドブレーカーで足元が見えない。前を向くしかなかった。
おなかまる太郎
貴女を私の「青春」と定めました。付きまといますが、善意です。
正夢の3人目
朝起きてすぐ、いまが何年だったかを確認すると、私はちょっとした時間旅行者。
葱山紫蘇子
今日何度目かもわからないため息は、教室を抜けてグラウンドの掛け声に飲み込まれていく。
早百合
貪るような、ディープキス。目を開けると、君はいなかった。
いちもくれん
何かにつけて瀬戸内ぶる女だった。
いちもくれん
遠浅だと思いがち。
天井のプロペラが光を切り分けていく。
みよおぶ
新聞屋の前の自動販売機は安い。
井沢
おれの名前は力作。小学五年生。
Y agio
名前と学年だけでなぜこんなにキャラが立つんだろう。
前歯を磨きながら、失恋ソングを唄う。
S.マウンテン
おひるねしてたら、ふたりになってたの。
正夢の3人目
誰がふたりになったのか想像すると面白い。
意見がぴたりと合う人でも、ミュートとブロックしたくなる場合はある。
prefab
坂道に転がったレモンを、その上から転がって来た父が拾い上げ、転がっていった。
タカタカコッタ
加速がついた(笑)
「これはキミの為なんだよ」はだいたい自分の為だし、夢グループの商品はほんとうに良いモノばかりです。
さくさく
ウソ考案代行業者の、狸山と申します。
もろみじょうゆ
?肉を両手で上にあげて鏡を睨む、何してんだ私。
ナックルボール
振り向いた猫は、そのまま鏡の中へ消えていった。
タカタカコッタ