芸大名物「バタ丼」を食べたい

デイリーポータルZ

社会人だって大学名物を食べてもいいじゃない。

バタ丼というものを知っているだろうか。東京藝術大学(通称:芸大)の学食にあるという芸大出身の人たちならほとんどの方が食べてきたという食べ物である。

食べに行きたいと思ったが、学校が開いている平日のお昼しか営業しておらず、コロナの感染防止対策の為、学生以外の外部の人たちは入ることができないらしい。わかった、おれ、作ります!

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:ロカボめしをチャーハンにしてやろうか!

バタ丼というものがある

バタ丼。どんなものを使っているか気になるだろう。魚か肉かはたまた普段聞くことない高級食材か。まずは材料を紹介しよう。

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お金がなかったときのご飯か?

木綿豆腐にしょうゆとマーガリン、そして味の素。バタ丼と言っているが、マーガリンのほうがサッパリしていておいしいそうだ。

すごいシンプル。シンプルというか、本当にこれでおいしいものができるのかという不安。でも、不安を感じるということはそこに可能性を感じているので大丈夫です。

調理はシンプルである。マーガリンを熱したフライパンに入れて、そこに木綿豆腐。火がある程度通ったら、もやしを入れてしょうゆと味の素で味付け。これで完成。お腹が減ったと思ったらすぐに作れる。

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豆腐の水を抜くために重石をのせようと思ったがそんなものないのでなんとなくやった。
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あと、エプロンを忘れたのでパーカーがびちゃびちゃになった。ポロロッカ現象である。全然違う。

作って行こう。調理というほどのやつじゃないので、本当に簡単だ。クックパッドや色々なサイトで紹介しているが、あまり調味料を使わない簡単なやつを参考に作っていく。

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まずは木綿豆腐を1センチぐらいに切ったら、
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マーガリンを大さじ2杯ぐらい入れたフライパン(今回は中華鍋を使った。中華鍋を使いたい気持ちがあふれてきたので)に豆腐を入れたら、目の前が見えないぐらいの煙が焦る。
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見た目、麻婆豆腐みたいになった。
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これでいいのか、不安になって食べたらおいしかった。

そして、もやしを入れる。あれ、ちょっと待って。もやしって水で洗うのか? でも悩んでいる間にも豆腐に火が通っていき、焦げてしまう。早く、もやしを洗うか決めて!

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めちゃくちゃ悩んだ結果、
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ちょっと洗って入れた。
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そして、しょうゆを鍋2周分ぐらい入れて、
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味の素を小さじ1杯半ぐらい入れた。

追いマーガリン

完成である。完成であるが、自分の中にいるマーガリン大好きっ子クラブの人が「マーガリンをもっと入れたほうがおいしいよ」と言ってくる。

でも、今回、一応参考にしながらやっているから、変に入れておいしくなくなったらいやだ。でも入れたい気持ちがおさえきれない。

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横にあるマーガリン。
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マーガリン。
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マーガリンを追加で入れた。

追いマーガリンをして完成。もう料理って本能のままにつくってもいい時代に入りました。

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完成した直後に換気扇が入ってなかったことに気づく。
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ご飯を一緒に頂きます。

実際に食べてみる

完成した。これをどんぶりにしてみようと思う。元々バタ丼は豆腐のバター焼きとして単品で出していたが、お腹がいつも空いている食べ盛りの学生が「時間がないからどんぶりにして!」と言ったのが始まりらしい。その学生の思いを引き継いでどんぶりにする。

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ご飯にのせて、
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どんぶりにしてみよう。

これが芸大の人たちが全員食べたとうわさのバタ丼である。

正直な話、材料費が安くて、しかもなにか隠し味で特殊なものを使っている等ではないので、こんなの本当においしいのかと疑問を感じている。まあ、おいしいよねぐらいの感想を言おうと思っていた。

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いただきます。
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いや、めちゃくちゃにおいしいな!!
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え、ちょっと待って。めちゃくちゃにおいしいじゃん。

人生の分岐点はいつ起きるかわからない。大切な人と出会ったとき、大きな仕事を任せられたとき、九死に一生を得たとき、色々とあると思う。自分は今、バタ丼を食べて人生が変わった。おいしすぎて。

マーガリンの風味と豆腐からのうまみ、しょうゆの香ばしさ、もやしのシャキシャキ感、全部が組み合わさって、おれ、芸大に入りたい。

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今までの人生で笑ったことない友人が「おいしい」と笑った素敵な日。
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いい食材を使ったバタ丼を作る

可能性を感じた。これ、もしかして一般的なスーパーで売っているものではなく、高級なものを使ったらよりおいしいのではないか。おいしいものをよりおいしく食べたい、これが私の願いです。

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そして、そろえたのがこちらの品々です。
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まずはもやし。これは深谷もやし。

新宿の伊勢丹で曜日限定でしか入荷されない特別なもやし。シャキシャキ感がすごいらしい。おれもシャキシャキした人間になりたい。

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そして、豆腐。豆腐屋さんで買ってきた。
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東京メトロ東西線落合駅から徒歩8分ぐらいの場所にある小野田豆腐店。
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代表的な「四代目」を買った。

店内には寄せ豆腐や厚揚げ、豆腐を使った練り物もあり、見てるだけでも楽しい。そして買った「四代目」という豆腐、ネットで感想を見ると「この豆腐を食べたら他の豆腐が食べられなくなる」という感想が。そんなうまい豆腐あるのかと思い、購入してみた。

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売っていた豆乳も買ってみた。
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豆乳ってコンビニとかでたまに買うけど、味に違いってあるのか。
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豆腐100%の飲み物。

豆腐を液体にしてそのまま飲んでいるような濃さ。豆の甘さ、コクなどがぎっしりとつまっている。胃にたまる感じがあるので朝食はこれだけも十分な気がする。

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マーガリンをバターへ変更。そして、このバターなんと1600円もする。小学生がもらえたら狂喜乱舞する金額だ。伊勢丹で買った。

ちなみにしょうゆも伊勢丹で500円するものを買った。これらを使って作っていく。テンションが上がってしまったので落ち着くために一度、お茶とか飲みます。あったかい麦茶、おいしいですよね。

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豆腐は水抜きをするためボウルに水を張り、しばらく放置。

このあと水を張ったボウルが倒れて水抜きの難しさ、東京で生きることの難しさを感じた。東京は今日も寒かった。

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そんな悲しみをめちゃくちゃいいバターと混ぜて食べてしまいたい。これだけ見てもうまそう。
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全部入れて炒める。

鍋をふるたびにカンカンと音がする。目覚まし時計のアラーム、これにしようかな。そういう時計を作ろうと思ってます。よろしくお願いします。

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できた。豆腐がつぶれてしまったが色が全体に濃いのはしょうゆもいいやつにしたからです。

いい食材バタ丼を食べてみる

バターのにおいが鼻奥から胃にダイレクトに香ってくる。すごい、なんかすごいものをつくってしまったと確信しています。

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山盛りにした。おいしい食べものは山盛りにしてお腹いっぱい食べたいから。
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実食。
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うまい、うまいけど前のほうがおいしい。なんかごめんな。

それぞれの食材が際立っていて、おいしいのだが、なんだろうまとまりがない気がする。スーパーの食材を使ったバタ丼は全員が一致団結していうまいと感じたが、いい食材のバタ丼はそれぞれがケンカをしているようで、おいしいけど、なんか違うなという感じだ。

確認のために食べるいいバターしょうゆご飯

もしかして、バターとしょうゆがおいしくないのか。そう思ってバターしょうゆご飯を作って食べてみることにした。

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バターとしょうゆ。
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もしかしたら何かがおいしくないのかもしれない。
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そう思って一口食べて1秒。
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すぐにおいしい!!
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全員食べたほうがいい。

しょうゆとバターとご飯が口に入れた瞬間、本当に1秒で「おいしい!これはおいしすぎる!!」とドーパミンがあふれて興奮がおさまらない状態になってしまった。

バターご飯なら高級なもの、バタ丼ならスーパーの食材で作ったほうがいい。世界に新しい知識が生まれた瞬間だった。

大学名物のどんぶりを食べ歩きたい

芸大のバタ丼の他にも大学名物のどんぶりは色々とあることを今回知った。いつか全部食べてまとめようと思う。自分の大学にはたしか思いつく限りの揚げ物全部をのせたどんぶりがあった。ザ・カロリーなどんぶりだ。

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ちなみに帰りの公園で見つけた。夢と亀っぽい像。なんだろうこれはと思ったが、
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タイトルを見たら「夢」をつ「かめ」だった。いいダジャレ像。

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