爽やかな酸味と甘みのキュンとする味で、わたしたちを童心にかえしてくれる乳酸菌飲料。
特に北海道の「ソフトカツゲン」、高知県の「リープル」、宮崎県の「ヨーグルッペ」といったローカルブランドは同郷出身者の心をわし掴みにしていることだろう。
筆者の地元・長崎県佐世保市には「クールソフト」がある。青春まっさかりの学生時代、浴びるように飲んでいた代物だ。
そんな思い出深いクールソフトについてお話したい。製造メーカーの人にも少しお話をうかがった。
佐世保のローカル乳酸菌飲料「クールソフト」
クールソフトとの思い出を振り返ると、おそらく中学から高校の頃にさかのぼる。
どちらの時期も勉強や部活に熱中していたため記憶がぼんやりとしているが、確か学校の購買部で買っていたはずだ。
お昼のお供でもあり、部活のお供でもあった。乳酸菌飲料だがすっきりと飲みやすかったので、シーンは選ばなかったと思う。
佐世保市内の中学校や高校のほか、スーパーや牛乳屋さんで取り扱われている。あとからメーカーさんに聞いた話によると、長崎県北部と福岡県一部での取り扱いとなっているようだ。
なので、同じ長崎県内でも県北と県南ではクールソフトの認識が違うことから、ここではあえて佐世保のローカル乳酸菌飲料とさせていただきたい。
さて、ここからさっそく実物を見ていただこう。
まず目を惹くのは、80年代風の爽やかなパッケージだ。
一面に広がる青い空と海、南国を思わせるヤシの木に黄金の「Cool Soft」が踊る。
爽やかなのだがどこかリゾート感漂うリッチな雰囲気だ。しかし、1000mlでも100円台をキープ(最寄りのスーパーで138円)するなど価格はリーズナブルなのだ。
パッケージをそれぞれ見比べてみると、500mlと1000mlサイズのみ少しフレーズが追加されている。
そしてさらに、1000mlパッケージをくるっと返すと……。
「後味スッキリ!クールに爽快☆」のフレーズが登場。
この、☆マークがポイントで、強調だけでない爽やかさ、フレッシュさまでも文字だけで購入者にお届けしているのだ。
味は、例えるならヤクルトをすっきりさせたような。しかし、喉に引っかかることなくすっと胃に降りていく。
優しい甘さのなかに、舌と鼻腔をソフトに撫でるような独特の酸味がある。
成分表示を見るとオレンジ果汁と記載されていた。なるほど!これがクールソフトらしい爽やかさの正体だ。
とはいえ、オレンジのオの縦棒が少し見えている程度の存在感なので、主役はあくまで乳酸菌なのである。
2杯目をコップにさらっと注ぎながら、こうやって飲むのは大人になってからかもしれないと考えた。
中学高校でクールソフトに親しんでいたわたしにとっては、やはり紙パックストローでチューチュー飲むのが主流だったのだ。
わたしの大人と子どもの境目には、クールソフトの飲み方がある。
株式会社ミラクル乳業が製造している
クールソフトは、佐世保市田原町にある株式会社ミラクル乳業が製造している。
長崎県最大の乳業メーカーだ。
前身の佐世保ミルクプラント、そして雪印佐世保工場を経て現在の営業形態となっている。
従業員数は現在50名ほど。事務や製造、配達といった部署がありそれぞれに日々の業務をこなしている。
かれこれ40年以上は粛々と稼働し続けている工場施設だけど、こうした微笑ましい見どころもチラホラあるのだ。
こちらは、牛乳などの製造に使用する給水塔。牛乳瓶の姿をしておりとてもかわいい。
数年前に塗り替えたそうで、当時は何事かと言わんばかりの大がかりな足場ができた。
高所で作業する業者さんをみんなでハラハラしながら見守っていたんですよ、と従業員さんが教えてくれた。
現在、ミラクル乳業で製造中のラインナップはこちら。
メインとなる牛乳たちに囲まれて、クールソフトだけが独特の存在感を放っている。
どうしても懐かしくなったので余談を許してほしい。こちらは長崎県内の小学校給食でおなじみのラクレン牛乳(200ml)だ。
クールソフトに対して、給食に必ず現れていたこの牛乳の、心へのめり込み方ったらない。みっしみしだ。
わたしをここまで育ててくれて有難う。おかげでまだ一度も骨折をしていません(あくまで個人の感想です)。