先日、Amazonのマーケットプレイスで超高額の送料が設定されている商品が見つかり、話題になりました。1万円程度の商品を購入しようとしたところ、お急ぎ便配送を利用すると送料が100万円と設定されていたのです。
マーケットプレイスはAmazonのECプラットフォームです。Amazonではない法人や個人が出品できます。中古品も出品でき、価格は出品者が設定できます。その際、送料も自由に設定できるのですが、前述のケースのように極端に高額な送料が設定されているケースも確認されているのです。
もちろん、決済時には送料の100万円が加算された金額が表示されます。本来であれば、ユーザーもそこで気付くべきです。しかし、Amazonプライムを契約していたりして、Amazonでの買い物には送料がかからない、などと思い込んでろくに確認しないと、だまされてしまう可能性があります。
「Amazonマーケットプレイス保証」というのがあるのですが、Amazonのウェブサイトによると「不具合、損傷、商品説明と著しく異なる」場合は商品代金に加えて、配送料や返送料が返金されますが、そうでない場合は配送料は返金されません。もし、販売ページに記載している商品がきちんと届いた場合には、返金してもらうことが難しくなるかもしれません。
このように高額な送料を請求してくる「送料詐欺」は、Amazonだけでなく、オークションサイトやフリマアプリなどでも観測されます。古くからあるネット詐欺の手口なのですが、それでもTwitterでは度々話題になることがあります。
プラットフォーム側は送料に現実的な制限をするべきですし、もし被害に遭った人がいたら補償して欲しいものです。しかし、ユーザー側もデジタルリテラシーを向上し、自衛しなければなりません。ネットで買い物をする際は、必ず送料や手数料もきちんと確認しましょう。
正規販売元で購入したのに商品の中身がすり替えられたものが届いたケースも
もう1つ、Amazonに関する最新の詐欺事例を紹介します。こちらはAmazon側もだます質の悪い手口「すり替え詐欺」の話になります。
カナダのCBCニュースによると、とあるユーザーがAmazonで690ドルのグラフィックカードを購入したところ、商品の中身がすり替えられたものが届いたそうです。グラフィックカードのようなケースの中にパテのような物質が埋め込まれていたのです。当然、返品して返金を求めました。
すると、Amazonは本物の商品を返すように言ってきたそうです。本物も何も偽物が送られてきましたし、その実物は返送しています。写真を撮っていたので、再確認を求めると、Amazonは返送物を廃棄したというのです。そのうえで、本物を返すように主張しました。被害者としては、甚だ不条理ですが、どうしようもありません。最終的には、CBCが報道することになり、CBCが問い合わせをすることで、Amazonは即対応し、返金と謝罪をすることになりました。ここまで5カ月かかったそうです。
これは、レアケースでもないようです。日本でも充電ケーブルやドローン、SSD、CPUなどを購入した人が、商品ではなく土などが入っていた、と写真付きで被害報告をしているのを見かけます。
なぜ、パテや土が入っているのでしょうか? これは、Amazonから製品を購入し、中身を同じ重量のパテや土に入れ替えて返品し、返金させる犯罪者がいるのです。ネット詐欺師は無料で商品をゲットできます。一方、Amazonは返品されたものの重量だけ計測し、中身を確認せずに、再度販売してしまうことが原因のようです。
このすり替え詐欺に関しては、対策するのが難しいところです。正規の販売元が売っているのですから見分けがつきません。証拠がないと交渉のしようもないので、ネットショッピングしたものは開封時に写真を撮っておく癖をつけた方がいいかもしれません。偽物が入っていてもパニックになって捨てたりしないで、証拠の保持に務めてください。その上でAmazonに連絡し、相談してみましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと