「道路の色」を変えるだけで最高気温が1.4度以上も低下するという研究結果

GIGAZINE
2021年08月22日 09時00分
メモ



21世紀に入って以降、地球温暖化は喫緊の問題とされ続けていますが、2021年8月には気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が「このままでは21世紀中に世界気温が1.5~2度増加する」という見解を打ち出した他、2021年7月が過去142年間で最も暑い月だったとも判明しており、依然として地球温暖化は悪化の一途をたどっています。こうした地球温暖化に対する新たな取り組みとして、「道路の色を変えるだけで最高気温が1.4度以上も低下する」という研究結果が報じられています。

Mitigating Climate Change with Reflective Pavements
https://cshub.mit.edu/sites/default/files/images/Albedo%201113_0.pdf

Lighter pavement really does cool cities when it’s done right
https://theconversation.com/lighter-pavement-really-does-cool-cities-when-its-done-right-162918

都市部では大地のおよそ40%がアスファルトなどで舗装されていますが、舗装された道路は日光を吸収し、時間経過とともに徐々に熱を放出して都市全体を暖めています。舗装された道路から放たれる熱はヒートアイランド現象の中でも大きな役割を占めており、夏季に都市部が郊外部よりも数度ほど気温が高くなるのは、舗装された道路が主な原因です。

この舗装された道路に保存される熱について、道路の色が大きな影響を与えているという研究結果をマサチューセッツ工科大学のHessam AzariJafari氏らが解説しています。AzariJafari氏によると、アスファルトなどの色の暗い舗装は光の5~10%ほどしか反射していないとのこと。これに対し、明るい色の添加剤や光を反射する表面コーティングを舗装に用いた場合は、光の反射量を3倍以上に引き上げることが可能です。

AzariJafari氏らの計算では、こうした「明るい舗装」をアメリカの全ての道路に用いた場合、1年間あたり自動車400万台分に相当する温室効果ガスを削減可能で、最高気温は少なくとも華氏2.5度(摂氏1.4度)低下し、熱波は41%減少するとのこと。


ただし、明るい舗装の場合、反射した太陽光によって近隣のビルを逆に暖めてしまう可能性があるため、どの道路に明るい舗装を施すのかという選定には注意が必要。


また、歩道に明るい舗装を施す場合も、歩道自体の温度は華氏11度(摂氏6.1度)ほど低下するものの、歩道から1m前後の高さでは反射した太陽光によってむしろ気温が上昇してしまうため、「歩道には適していない」とのことでした。

以上のような注意点もありますが、AzariJafari氏らは「舗装を戦略的に最適化するというのは、都市部を住みやすくする賢い選択肢だと考えています」とコメント。また、明るい舗装の原料については、コンクリートの砕石や砂利を用いるならばコスト面でも優秀だと語っています。

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