はま寿司「秋のとろ祭り」を試してみた / 実はタラとは1ミリも関係ない銀鱈、そしてカマトロの話

ロケットニュース24

2022年11月2日から全国の はま寿司にて「秋のとろ祭り」が始まっている。メニューを見た感じ、メインウェポンは「とろかつお(110円)」と「大切りびんちょうまぐろ 大とろ(110円)」だろう。

どちらも王道的なウマさのネタだ。それが税込み110円。これだけで安定感があるフェアだと思う。その両脇を固めるネタの中には何があるか見ると……ほう、ちょうど旬の銀鱈の握りに、ちょっと高いが面白そうな「本鮪かまとろ握り(319円)」も。面白そうなので食べてみることに。

・11皿

ということでオーダーしたのは11皿。いつもより少し品数が少ない気がする。まあ、はま寿司のフェアは品数に波があるからな。今回は少ないパターンなのだろう。


今回のフェアには、時折ある “隠れた真に興味深いネタ” 的なものは無い。つまり、メニューでもデカく表示されている「宮城県気仙沼産とろかつお(110円)」がド安定のエース。


可も無く不可も無いクオリティだが、これが昨今の情勢でもなお1皿2貫110円というのは、それだけで強いと思う。はたして はま寿司はこの先も110円のラインを防衛し続けることができるのか。

今フェアはこのカツオを主食として組み立てると良いと思う。無限に食える食べやすさだし、これだけで腹がギッチギチになるまで食っても1000~2000円といったところだろう。

そして「大切りびんちょうまぐろ 大とろ(110円)」。


これも普通のクオリティで、1皿1貫110円も悪くないと思う。ただし、商品名にある “大切り” の表記はどうかなと思う。前々からそれなりの頻度で同じことを述べている気がするが、はま寿司の “大切り” は言うほど大切りじゃない

ぶっちゃけ大手チェーン界では最弱。他社のノーマルサイズに時折入ってくる、個体差でちょっとデカい気がしなくもないヤツ程度。厚みも無いしな。


しかし、だからと言ってクオリティに問題があるとは思わない。“大切り” を名乗り、大切り業界で勝負しようとするから、他社と比較して最弱判定したくなるだけなのだ。

見方を変え、1皿1貫110円の「ノーマルサイズのびんちょうまぐろ 大とろ」としてジャッジすれば、全く悪く無い。まあそんなもんだろうなという妥当なコスパとクオリティ

「大とろ」と言えど、脂による重たい感じも無く食べやすいので、先の「とろかつお」と共にメインに据えたらいいと思う


・銀鱈

その他のネタからちょっと面白そうな奴に触れるとすれば、「とろ銀鱈(165円)」だろう。


ちょうど旬に突入したばかりの、季節感あるホットな魚。ちなみに銀鱈は名前にタラと入っていて、いかにもタラの仲間みたいな雰囲気を醸し出しているが、タラとは全く無関係の魚だ

では何と近いのか? それは下手なことを言うと色んな宗派から個別の主張で刺される禁断のネタ。図鑑等では出版時期によって、こいつの分類がカサゴ目だったりスズキ目だったりする

それはカサゴ目の扱いについて議論があったからだ。この問題は非常に潮の流れが速い

カサゴ目は結構前に確かにスズキ目に吸収されて消滅した。しかし、少し前にいつの間にか復活した……と思ったらやはり消滅。落ち着いたかと思いきや、最近はスズキ目解体の動きがあり……みたいな。

とりあえず一般人の方は、少なくとも2022年11月の時点において、ギンダラをスズキ目であると覚えていても問題は生じないと思う。たぶん最新の図鑑はスズキ目で刷っているだろうし。

ということで分類については諸事情あるのだが、とりあえず銀鱈がマダラと同じタラ目に入れられることは無いと思う。タラが食べたい気分のときに銀鱈を食うのはビッグなミステイクなので気をつけてくれよな。

話を寿司に戻そう。こちらはノーマル版の他に、「炙り(165円)」と「食べ比べ(319円)」が存在する。上の写真は「食べ比べ」を頼んだはずのものなのだが、恐らくミスしたのだろう。どちらもノーマルだった。


「炙り」はこんな感じ。


ノーマルは皮の歯ごたえと弾力がたまらない。好みが分かれるポイントだと思うのだが、厚めな魚の皮が好きな人はこちら一択だ。

対して炙りは、皮や身の噛み切られまいとする抵抗が弱まって口の中で崩れやすくなる。炙り特有の香ばしさが追加され、塩味が増して全体的に濃い味わいに。両方いっておきたい人は、11円だけと言えどコスパに優れる「食べ比べ」がいいと思う。


・かまとろ

最後は数量限定だという「本鮪かまとろ握り(319円)」に触れて終わろう。


カマトロとはマグロの頭とボディの間くらいにある細長いエリア。確かに希少な部位ではあるが、希少だからと言って美味いとは限らないという事実に留意いただきたい。

どうも世間では希少=激ウマ 的な認識を消費者が持つように誘導せんとするスタイルの販促が一般的に感じるが、希少というのは単にレア度が高いというだけのこと。

この部位は大トロのようなとろける肉を有している。しかし同時に、なかなか噛み切れない強固なスジが通っていることもある。

風味についても、大トロの良いところ(脂の柔らかさと旨味)と悪いところ(脂のクドさと臭い)を共に増幅したような部位だ

加熱すればスジも貧弱になり、脂のクセが抑えられて安定してウマくなる。しかし、生で食うには味も口当たりも非常にクセのあるものとなっていると思う。

スジに当たったら嫌な人や、大トロの時点で苦手だという人は止めておいた方が良いだろう。逆に、マグロの脂のクセが大好物だという人は、売り切れる前に急げ!

参考リンク:はま寿司
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

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