まるでトンボのよう。すばる望遠鏡が天体2,400個を観測できる特殊な「複眼」をゲット

すばるがトンボの目を手に入れちゃったのね。

ハワイにあるすばる望遠鏡に特殊な「複眼」が新たに装備されました。今年2月から本格的に始動するとのこと。楽しみですね。

複眼で2400個の天体を観測

この複眼によって、すばる望遠鏡は宇宙の約2,400もの天体を観測でき、非常に広い視野で数千個の天体の分光観測を同時に行なえるようになるとのこと。

すばるの新装置は、銀河や宇宙の形成と進化についての長年の謎にも迫れるのだとか。

How PFS works
Image: PFS Project/Kavli IPMU/NAOJ

すばる望遠鏡の次世代を担う主力観測装置の名は「超広視野多天体分光器(Prime Focus Spectrograph、以下PFS)」。

すばる望遠鏡のプレスリリースによると、PFSは「可視光線全域と近赤外線の一部(380ナノメートルから1260ナノメートル)にわたる波長域のスペクトルを同時に取得」できるとのこと。これにより、遠方の光源からのスペクトル観測能力が大きく向上するといいます。

宇宙観測は新たな領域へ

国立天文台ハワイ観測所の田村直之教授は、マウナケア天文台群のプレスリリースで次のように述べています。

これは、息の長い運用とこれまでにない科学的成果の創出、マウナケア天文台から地元コミュニティへ向けた素晴らしいニュースの最大限の共有という究極の目標への通過点です。

この最先端の装置がもたらす発見は、ハワイのすべての人々が誇りに思えることでしょう。このような意義深い国際協力と人類の挑戦の中心にいられるのは、本当に素晴らしいことです。

PFSの国際チームは、今後5年間で合計360夜分の望遠鏡時間を活用して、広大な宇宙にある数百万個の銀河の分光観測を行なう予定です。

さらに、地球が属する天の川銀河と、最も近い銀河にあたるアンドロメダ銀河にある数十万個の星を分光観測し、データを収集するとのこと。

すばるは超多忙&超優秀

すばる望遠鏡は超多忙で、遠方の銀河に含まれるガスの量から、地球上で目にするロケット打ち上げの不思議な現象まで、宇宙のさまざまな側面を明らかにしてきました。

昨年は、すばる望遠鏡の超広視野カメラによる大規模な撮像探査(HSC-SSP)によって、「宇宙の夜明け」と呼ばれる時代に合体する2つの巨大ブラックホール(クェーサー)が発見されています。

すばる望遠鏡はさらに、海王星の先に広がる小惑星などがリング状に分布している領域「カイパーベルト」が考えられていたよりも広大である可能性も示しました。

このように、すばる望遠鏡は多才で、深宇宙と地球近辺の観測任務をバランスよくこなしているんです。

すばる望遠鏡が新たに手に入れた複眼は、これまで積み重ねてきた功績をもとに、これからさらに歴史を築き上げる足がかりになるでしょう。

PFSが私たちの宇宙に関する理解をどのように変えるのか? すばる望遠鏡が5年後に届けてくれるニュースを首を長くして待ちましょう。

Reference: すばる望遠鏡 (1, 2, 3) , Mauna Kea Observatories

タイトルとURLをコピーしました