箱物行政の悪いところを凝縮した感じ。
建設開始から8年が経っている、サウジアラビアの未来都市計画「The Line」。ムハンマド・ビン・サルマーン王太子の指揮下で動いており、「NEOM」という国を挙げた一大プロジェクトとなっています。
構想がデカすぎるのと、関連プロジェクトも多すぎて資金も足らないだろうと不安視する声は以前からありましたが…いざ始まってみると、それ以外の問題で暗礁に乗り上げているようです。
取材で判明した闇
Architect’s Newspaperいわく、女性ジャーナリストの潜入捜査で作られた番組『Kingdom Uncovered: Inside Saudi Arabia』にて、さまざまな問題が浮き彫りになったとのこと。
それはサウジアラビア国外から来た労働者たちに強いる違法労働や、暴力、人種差別などによる問題です。
大量の死者や行方不明者
2017年から現在までに、インド人、バングラデシュ人、ネパール人ら2万1000人が死亡し、10万人が行方不明になっているのだそうです。
また建設のため、現地の住民2万人が強制退去させられています。
労働者たちは囚われた奴隷状態となり、無報酬での長時間労働、賃金の搾取の果てに物乞いをする人もいるのだそうです。
西洋人による人種差別
NEOM計画の幹部は、汚職、人種差別、イスラムへのヘイト、女性蔑視で訴えられているケースもあります。
西洋人の建設業、コンサルタントたちが上級職を奪い合っているのも元凶のひとつ。彼らは南アジア人をひどく差別しており、「彼らを管理するのは白人でなければならない」などの発言で非難された人もいます。
バベルの塔を想起させる
これぞ現代のバベルの塔という印象です。
物語では、神の怒りで人類が同じ言語ではなく多言語を話すようになったため、混乱した人々が塔の建設をやめ散り散りになったんですけどね。
多言語の人たちを集めたらこの有り様です。2030年どころか、永久に完成しないかも…。
Source: YouTube (1, 2), NEOM, ITV, The Architect’s Newspaper via Boing Boing, Wikipedia