飛行機での快適なネット接続、もう目前です

現代の人に、「昔まで地下鉄には電波が届かなかったんだよ」と言っても信じてもらえないかもしれません。かくいう私も、そんなことすっかり忘れて、当たり前のように地下鉄でスマホを使ってます。

それが、飛行機ではどうでしょう。いまだに多くの人が機内でのネット接続を諦め、使えたとしても、追加料金がかかる上に、速度は遅く、接続も不安定な、現代の暮らしとはるかに乖離がある環境です。

そんな中、ユナイテッド航空とStarlink(スターリンク)が、ついにこの状況を変えてくれるかもしれません。ユナイテッド航空は、今後数年間で全機にWi-Fiサービスを追加すると発表しました。そして、その接続は無料です。

Starlinkで、電波がもっと”近くなる”

ユナイテッド航空のCEO、スコット・カービー氏は、「高度35,000フィートのユナイテッド航空の機内で、世界中のほとんどどこでも、地上でできることができるようになります」とプレスリリースで述べています。

ネット接続をしようとしても、デバイスが電波の発信源から離れすぎている、という基本的な理由で、これまで快適な機内Wi-Fiは実現できていませんでした。

この問題を根本的に解決してくれるのが、Starlink。イーロン・マスクのSpaceX(スペースエックス)が手がける衛星を用いたインターネットサービス、Starlinkは、低軌道上から電波を送信することで、インターネット接続を実現します。飛行機にStarlinkのアンテナを取り付ければ、準備完了。高度6マイルの空の上で、受信機が発信源に近くなるというわけです。

ユナイテッド航空は、Starlinkを使用する最初の航空会社というわけではありません。JSXとハワイアン航空もこのサービスを利用しており、好評を博しています。

ウォール・ストリート・ジャーナルが検証

ウォール・ストリート・ジャーナルは、9月4日、機内Wi-Fiの最前線に迫った動画を公開しました。ダラスからヒューストンへのジェット機で検証作業を行ない、複数のデバイスで100Mbps以上の速度を達成しました。

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Video: The Wall Street Journal / YouTube

動画の中で、記者のジョアンナ・スターン氏は10種類のデバイスを目の前に並べ、それぞれでビデオストリーミングを試しました。結果、期待通りに動作し、Netflixのビデオはスムーズに再生、Zoomの通話も問題なく行なわれました。ユナイテッド航空のプレスリリースでは、ネットワークが非常に優れており、機内でのゲームも可能であるとしています。

評価が分かれることが多いイーロン・マスクの一般消費者向け製品。しかし、Starlinkは概ね高評価を得ています。さすがに地上ベースの有線接続に取って代わるのは難しいですが、機内でのインターネット環境には大きな変革をもたらします。

戦場通信にも利用され、ウクライナでの現状にも大きく寄与しているStarlink。「昔、飛行機でもネット使えない時代あったっけ?」と言っている日も、そう遠くないかもしれません。