新種の古代ヘビは全長15m以上もあったようです

インドの褐炭鉱山で回収されたヘビの椎骨の化石27点を研究チームが調べたところ、その古代ヘビは新種で史上最大級の長さだったかもしれないことが判明しました。

この新種は発見国のインドとヒンドゥー教の神シヴァの首に巻き付いていた神話上のヘビにちなんで、Vasuki indicusと名付けられました。椎骨は完全に成長した個体のものであり、それらをもとに体長を推算してみたところ最大で15.2mにも達することがわかりました。

チームの研究はScientific Reportsに掲載されています。

生息していた時代の環境

巨大ヘビVasukiが生息していた約4700万年前のインドは、まだインド亜大陸がアフリカからアジアへ漂流していた頃で、平均気温が摂氏28度ほどだったとか。このヘビは現在の南アメリカ大陸、アフリカ大陸、インド亜大陸、オーストラリア大陸、アラビア半島と南極大陸が含まれていた古代の超大陸ゴンドワナに主に起源を持つ、絶滅したヘビの科であるマッツォイア科(Madtsoiidae)に属していました。

私たちの研究の最も重要な成果は群を抜いて巨大なヘビの同定であり、マッツォイア科のヘビに関する既存の知識が深まるだけでなく、インドの新生代からのヘビの既知の多様性も増えました。

と、インド工科大学ルールキー校の脊椎動物古生物学者で、論文の共著者であるSunil Bajpai氏は米Gizmodoのメール取材に答えてくれました。

古代のヘビはデカかった

豊富な食料資源のある好ましい環境から天敵がいないことまで、(Vasukiの)巨大なサイズには考えられる理由がいくつかあります。

現在よりも広く温暖な気候条件だったこともまた、後押ししていたかもしれません。ヘビは変温動物ですから、彼らの深部体温は周囲の環境温度と変動します。そのため、より高い環境温度でVasukiの深部体温と代謝率が上がったことで、非常に大きく育つことが可能になったのです。

とBajpai氏。

現存する最も長いヘビはアミメニシキヘビ(レティキュレートパイソン、M. reticulatus)という種で、通常は6.25m超に育ちます。ロンドン自然史博物館によれば、記録されている最も長い標本は1912年に発見されて、10mと測定されているとのこと。

もしチームの推定が正しければ、Vasukiは6000万年前の南米に生息していた巨大ボアの「ティタノボア」よりも長かった可能性があるのです。

インドの分類群(であるVasuki)の脊椎の寸法がティタノボアのよりもわずかに小さかったにもかかわらず、Vasukiの体長推定値で最も大きいものはティタノボアのそれを越えると思われる点は注目に値します。

と研究の著者たちは書いています。

研究チームは他のマッツォイア科のヘビの分布を踏まえて、Vasukiはインド亜大陸がアジア大陸に衝突した後、ユーラシア南部からアフリカへと西に分布したと仮定。まさに“蛇行”した経路だったと言えそうです。

その大きさからして、Vasukiが現代のアナコンダに似たゆっくりと動く待ち伏せ型捕食者だったと研究者たちは仮定しています。

現代のヘビが大きくない理由

現代のヘビがあまり大きくないのはおそらく現代のほうが気温は低く、彼らが巨大なサイズに及ぶのを防いでいるからです。生息地の消失、他の捕食生物(例えばワニ類)との競争そして密猟も役割を果たしたかもしれません。

とBajpai氏。

気候が当時のままだったら大蛇がわんさか…という現実も存在していたのかと思うとゾッとします。

Source: Scientific Reports, Australian Museum, Britannica, London Natural History Museum, National Geographic,