アマゾンが高速インターネットのために衛星打ち上げ設備を建設中

来年のパイロット開始に向けて、いよいよ大詰め。

Amazon(アマゾン)が衛星通信サービスProject Kuiper(プロジェクト・カイパー)開始に向けて、1億2000万ドル(約170億円)を投じて米国フロリダ州で新施設を建設中であることを発表しました。

Project Kuiperでは、地球の低軌道に3,236基の衛星を飛ばし、衛星通信を実現します。この新施設は、フロリダのケネディ宇宙センターの打ち上げ着陸施設(Launch and Landing Facility、LLF)内に建設されています。

衛星の半数を26年7月までに打ち上げ

Project Kuiperが目指すのは、高速インターネット接続を世界中のネットがつながらない地域にまで届けること。2020年7月、米国連邦通信委員会(FCC)からの承認も取り付けています。

ただし、それには条件があり、衛星3,236基の少なくとも半分を2026年7月までに打ち上げることとなっているのです。

Project Kuiperの新施設は10万平方フィート(約9,300平方メートル)と、サッカーのフィールドより一回り大きいくらいの広さで、ここで働く従業員は50名。

この建設に1億2000万ドル投じたといっても、それはAmazonのProject Kuiper全体に対する投資額、100億ドル(約1兆4000億円)のごく一部に過ぎません。人材採用もプロジェクト全体ではすでに1,400名を超えているそうです。

打ち上げ直前の工程をここで

でも、この新施設は、プロジェクトの最終段階を象徴しているという意味で特別です。

Project Kuiperの衛星は、2023年末までに米ワシントン州カークランドでの製造を開始し、フロリダの新施設に移送されるのです。衛星はこの10階建ての建物の中で、ロケット先端のペイロードフェアリング(ペイロードを保護するシェル)に格納されます。

衛星を宇宙に運ぶのは、United Launch Alliance社(ULA)のロケットと、Amazonのジェフ・ベゾスCEOの会社、Blue Originのロケットです(ちなみにどちらのロケットも、まだ初飛行すらできていません)。

CNBCによれば、Amazonはすでに打ち上げ77回分の予定を確保していて、そのほとんどはケネディ宇宙センターに隣接するケープ・カナベラル宇宙軍基地からの打ち上げです。

ただしFCCからの「衛星の少なくとも半分を2026年7月までに打ち上げ」という要件を満たすには、さらなる打ち上げが必要となります。

来年には衛星の大量生産開始

Amazonいわく、「今後数カ月で2つのプロトタイプ衛星を打ち上げ、我々のネットワークとサブシステムをテストする」そうで、2024年には3,000基以上の衛星の製造を開始します。

彼らは当初今年5月にULAのロケット、Vulcan Centaurを使ってプロトタイプを打ち上げる予定でしたが、3月のテスト中に上段で激しい爆発が起こったため延期していました。ULAは今年中のロケット打ち上げを目指しています。

Kuiper Production Operationsのバイスプレジデント、Steve Metayer氏はプレスリリースで言っています。

「我々には、Project Kuiperのフルスケールのローンチと初期顧客向けパイロットを来年開始するという野心的な計画があります。

この新たな施設は、そのタイムライン実現を支えるうえで非常に重要な役割を果たすことでしょう」