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メタ(Meta)社の「Twitterクローン」であるThreads(スレッズ)は7月6日木曜日、多くの小売業界幹部のあいだで話題となった。
メタが7月5日水曜日の夜にThreadsをリリースした後、人々は急いでこのサービスに登録した。ソーシャルメディア担当者から創業者、コンサルタントに至るまで、翌日6日には、誰もが最初のThreads投稿を考えようと時間を潰し、相次ぐフォローやリクエストを承認していた。
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最初の24時間で3000万人以上がThreadsをダウンロードし、これまででもっとも急成長したソーシャルメディア・アプリのひとつとなった。それとは対照的に、Instagram(インスタグラム)はローンチから100万人のユーザーを獲得するまでに3カ月近くかかった。しかし、Threadsがいずれピーチz(Peach)やエロー(Ello)のような過去のアプリの道を歩むかどうかはまだ不明だ。多くの経営幹部は、Instagramのアカウントを持っている人なら誰でも2回クリックするだけで簡単に登録でき、また、多くの同業者が登録しているのを見てすぐにThreadsに登録したと語っている。彼らは今のところThreadsに対して実験的なアプローチをとっており、このアプリにはまだ独自のバイブが感じられないという事実を利用して、普段はInstagramやTwitterには投稿しないようなエッジの効いたジョークや質問を投稿している。
ブランド側の反応
一方、ブランド側は、新しいアプリで最初にバイラルになるためのアイデアを渇望している。文字通り「ブランドは動揺している」「ソーシャルメディア担当者は上司を喜ばせなければならない」といったThreadsに関するジョークが飛び交った。
「今は本当に生々しくて、少し動揺している感じがする! 特にブランドとしては、遊びの余地がたくさんあるように感じる」と、アジアンソースブランドのオムサム(Omsom)の共同創業者であるキム・ファム氏はeメールで回答した。
スキンケアブランドのアーバンスキンRX(Urban Skin RX)の創業者兼CEOのレイチェル・ロフ氏は、「私は顧客と透明性のある生の会話をしたい」と語った。Threadsでの初日、同氏はこのアプリのオフビートな使い方を選び、フォロワーに「顔のニキビとお尻のニキビ、どっちがいい?」と問いかけた。
「Instagramのメインフィードには投稿できない」とロフ氏は話した。
Instagramとの関連
Threadsはまだ、多くの点でTwitterに類似しているように感じられる。未認証のTwitterユーザーが280文字であるのに対し、Threadsの投稿には500文字という文字数制限がある。しかし、自分がフォローしている人だけを含むようにキュレーションできるフィードはまだない。そのため、ネットフリックス(Nexflix)のような大企業や、起業家ゲイリー・ヴェイナチャック氏のようなソーシャルメディアで物言う人々が、親しい友人からの投稿に混じってバイラルを起こそうとしており、フィードがバラバラに感じられる人もいる。。
それでも、「人々は怠け者で利便性を求めるので、私は、ThreadsがTwitterに一泡吹かせることに賭けている」とロフ氏は語った。
それと同様に、ホルモンバランスを整えるマルチビタミンを販売する新興企業、マレアウェルネス(Marea Wellness)の創業者モニカ・グローネ氏も、もっと大きなビジネスチャンスが進行しているかもしれないと考えている。「ThreadsはInstagramと関連しているため、会話率が高く、Instagramからユーザーが流れてくるだけではなく、より多くのトラフィックとオーディエンスが集まるだろう」と彼女は言う。
会話とコミュニティという原点
そして、10月にサイトを買収したTwitterのオーナー、イーロン・マスク氏のふざけた態度にうんざりしてThreadsのアカウントを作った人々もいる。
ナディア・オカモト氏は、Z世代をターゲットにした生理ケアブランド、オーガスト(August)の創業者である。オカモト氏は、有害で信頼できないという理由からTwitterに投稿することはほとんどなく、特にオーナーのイーロン・マスク氏が、シスジェンダー(cisgender)という言葉を中傷と表現したことに憤慨している。「もちろん、言論の自由や表現の自由は支持するが、それが人々を危険にさらしたり、誤った情報を広めたりしない程度にしてほしい」と彼女は語った。
これに対し、オカモト氏は、Threadsのニュースを歓迎し、すぐに自身のアカウントと自身のブランド用のアカウントを作成した。オーガストの初期の投稿には、同氏のCBSでのインタビューへのリンクや、ブランドの「タンポン税」プロモーションが含まれていた。
「会話とコミュニティという原点に立ち返ったプラットフォームがここにある」とオカモト氏は語った。「Twitterのアカウントを持ったことのない人やインフルエンサーが、Threadsを使っているのを見かける。それはつまり、Threadsが新しい世代のフォーマットであるような気がする」。
一過性の流行か、次のソーシャルメディアか
Threadsとしての初日を終え、ブランドや小売の経営幹部が把握しようとしている大きなことがいくつかある。ひとつは、Threadsが一過性の流行なのか、それとも次の大きなソーシャルメディアアプリなのかは誰にもわからないということだ。しかし、Twitter社は、メタ社を訴えると脅す書簡をメタ社に送り、戦いの準備をしている。
もうひとつは、人々がThreadsでどのようなコンテンツを見たいかということだ。たとえば、マレアウェルネスのグローネ氏は、Twitterを基本的なビジネスの詳細についてほかの起業家とつながるために使用し、一方、Instagramにはライフスタイルに関するコンテンツを投稿している。「Threadsでは、よりInstagramのようなコンテンツをシェアし続けるような気がする」とグローネ氏は言う。
そして、もうひとつの本質的な問題が立ちはだかる。それは、彼らが今活動しなければならない終わりの見えないプラットフォームのリストに、Threadsをどのように当てはめるか? そして、ブルースカイ(Bluesky)やマストドン(Mastodon)、スピル(Spill)など、増え続けるTwitterの競合他社に関わり続けるかどうか。多くの創業者にとって、ソーシャルメディアは仕事の中でも重要な位置を占めるものだ。たとえば、オカモト氏は1日に20回以上TikTokに投稿している。そのコンテンツはInstagramリールやYouTubeショートに再利用され、同氏のアシスタントは、通知や受信トレイの処理を手伝っている。
たとえば、オムソムのファム氏は、Threadsが「インターンに任せる」ようなものになるのか、それとも創業者の意識の流れに沿ったものになるのか疑問に感じている。
指針となる戦略
今のところ、多くのブランドにとって指針となる戦略は、最近の別のマーケティング活動からコンテンツを再利用することだ。たとえば、マレアウェルネスは、最近のウェビナーのコンテンツをThreadsのアカウントに再投稿し、新しく立ち上げられたヘアケアのスタートアップであるアワーX(Our X)は、Threadsで「今日の髪のヒント」を提供することを検討している。
しかし、最初の24時間でどれだけの人がThreadsをダウンロードしたかを考えると、無視はできないと多くの経営幹部が感じているという。「TikTokの初期を思い起こさせるが、アーリーアダプターは最初にそこに到達することで利益を得た」とアワーXのCEOであるメーガン・モーピン氏は述べた。
ワークウェアブランドのブラント・ワークウェア(Brunt Workwear)の創業者兼CEOであるエリック・ジルアール氏は、Threadsのアカウントはまだ作っていないが、Threadsがローンチされた翌週までには作る予定だという。「私はTwitterの初期の盛り上がりに乗り遅れたが、Threadsは100年に一度の暴風雨のようなものだ」とジルアール氏は語った。
[原文:Brands and founders take a ‘slightly unhinged’ approach to Meta’s Threads in its first day]
Melissa Daniels, Julia Waldow, Gabriela Barkho and Anna Hensel(翻訳・編集:戸田美子)
Image via Threads