偽の警告画面で偽のサポート窓口へ連絡を促すような「サポート詐欺」の被害が広まっています。本連載でも何度か取り上げたネット詐欺の手口ですが、知識なしに遭遇してしまうと、あわてて記載先の連絡先に連絡してしまい、お金や個人情報を盗まれてしまうのです。
2023年6月17日、島根県出雲市に住む60代の男性がPCでニュース記事を見ていると、「トロイの木馬に感染しました。サポートセンターに電話してください」という画面が表示されました。男性はサポート詐欺であることに気付かず電話をかけてしまい、電話に出た片言の日本語を話す男の指示通りに修理費用としてコンビニで電子マネーカードを購入し、コードを伝えてしまいました。チャージした金額は犯人が利用し、お金は失われます。もちろん感染したというのは嘘です。これが、サポート詐欺の手口です。
情報処理推進機構(IPA)には、偽セキュリティ警告の相談が寄せられており、年間相談件数は2022年が過去最高(2365件)となり、2023年1月には月間相談件数で過去最高(401件)を記録しました。
また、マイクロソフトが2021年に公開した「テクニカルサポート詐欺グローバル調査 2021」によると、日本において、金銭的被害を受けた人、受けなかった人、無視した人を合計したサポート詐欺に遭った人の割合は29%(世界平均は59%)で調査対象国16カ国の中で最も低かったのですが、その分、その分、手口が認知されていなかったようです。最近になって初めて遭遇し、本当にウイルスに感染したのか心配になり、電話してしまう人が続出しています。ちなみに、同調査によると日本人の場合は男性がサポート詐欺の被害に遭いやすく、7%がネット詐欺師とコンタクトを継続し、その半数以上が金銭的被害を受けたそうです。女性のうちコンタクトを継続したのは2%で金銭的被害を受けたのは半数でした。
サポート詐欺では電話をかけると、片言の日本語を話す外国人が出てくることが多いのですが、それがかえってグローバル企業のサポートセンターにつながっていると安心する被害者もいるようです。ネット詐欺師は言葉巧みに、「警告を消すので、サポート料金を支払ってください」と誘導します。疑うそぶりを見せると、「あなたの連絡先でつながっている全ての相手にもマルウェアがばらまかれて迷惑をかけ、その人たちから訴訟を起こされる可能性がある」などと脅してきます。
最近、高齢の親がPCを使うようになった、という人は要注意です。ぜひ、コミュニケーションを取り、サポート詐欺について情報を共有して下さい。その際、怪しいと思ったら気軽に相談できる環境にしておくことをお勧めします。
サポート詐欺の画面は、高い確率で怪しいウェブサイトを見ているときに表示されやすいです。正規サイトが悪用されることもありますが、アダルトサイトや著作権法に違反するようなコンテンツのウェブサイトを見ているときにいきなりサポート詐欺の画面が出てくることが多いです。ネット詐欺師は、怪しいウェブサイトを見ていたからウイルスに感染したんだ、と被害者に過失があるように思わせる効果に加え、口止めの効果があることも狙っています。そのため、被害者の多くの人が隠れて処理しようとします。数万円で済むなら支払った方がいい、と考えてしまうのです。
一度支払ったら、ネット詐欺師はさまざまな口実でお金をさらに要求してくることがあります。例えば、6月28日には新潟市南区在住の60歳代男性がサポート詐欺に遭い、修理費用という名目で5万円分の電子マネーを購入してコードを渡したところ、番号が間違っていると言われたそうです。計6回購入し直し、合計60万円分のコードを渡してしまいました。さらに購入しようとしたので、コンビニの店員が詐欺被害に気が付いたそうです。
本連載では、何度かサポート詐欺についての事例紹介や注意喚起を行っています。他の事例や手口も紹介している(リンクは下に記載)ので、チェックしておくことをお勧めします。
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