前回に引き続き奈良屋である。はからずして奈良屋3連戦になってしまっているが、個人的には今回の商品が最も危険な存在であると思っている。なぜならば……
「太め・乱切り」だから!
私の好きな「太め」。そして、私が最も弱い「乱切り」。この2つを有するのが、今回実食する『裁ちそば』である。
パッケージには「極端な乱切り仕上げが特徴の食べごたえのあるかなり太めの田舎そばです」とある。「かなり太め」ときた。「かなり」と──!
ちなみに乱切りの太さとしては、一番細いのが「1.9mm」! もうこの時点で、「細め乱切り(3種類)」の「真ん中」である。
そして2.4mm、3.5mmと続く。本当に「かなり太め」だなコリャ……!
それではさっそく……
デカい鍋にタップリのお湯を沸かし……
8分(長い!)ゆでて……
完成。
して、そのお味は──
前回の乱切りは、美味かったけど細めだった。過去に同じ太さを経験もしていた。なので正直、「ギリギリ逃げられた(エスケープできた)」といっても過言ではない。
奈良屋に囲まれたら一巻の終わり。命からがら「細めだから」「経験しているから」と逃げられた。でも今回は……
「太め」「乱切り」の「8分」ときた。
完全に退路を断たれた。逃げられない。正面切って向かい合うしかない。奈良屋の太めの乱切りに……!
そして食べてみて……
まあこうなりますよね、と。予想通りというか。極端な太めで。乱切りで。なんというか、イタリアの「フェットチーネ」的な感じで。
うん、おいしいです!
が!
万人受けするかどうかは疑問だし、すべての蕎麦に対応できるかどうかと問われても、やはり「はい」とは言えない蕎麦だ。
なにせ極端すぎるから。当然、合わない蕎麦もあるだろう。でもまあ、そういう蕎麦だ。
「家そば」か「外そば」かでいえば、そりゃ「外」である。しかし、かなり偏屈な店主が作る、極端すぎる超ゴンブトのクセが強すぎな乱切りそば。
いずれにしても、期待値が高すぎたせいもあるのか、いざ食べてみたら「予想通り」という感じで着地した──。
こうして奈良屋3連戦は静かに幕を閉じた感じであるが、今回、『大内宿場そば』を発見できただけでも、わたし的にはホームランだ。
執筆:干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24