新型コロナが5類になったこともあってか、ここ最近は取引先などを直接訪ねる機会が増えた。急ぎの仕事があるときなどは、ノートPCを持ち歩くようにしているが、長時間作業をしているとバッテリーの残量が気になってくる。
……この記事を書いている時点で、新型コロナが5類に移行されて54日が過ぎた。
私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はノートPCの充電用として、大容量かつ高出力のモバイルバッテリーを探してみた。
6月26日(月):バッテリーの電力量(Wh)を充電するのに必要な容量(mAh)は?
先週は外出中に何度かノートPCで仕事をする機会があったが、バッテリー残量を気にしながらの作業は、どうにも気分が落ち着かない。バッテリー残量がゼロになっても安心できるように、ノートPC用のモバイルバッテリーも準備しておきたいところだ。
筆者の手持ちのノートPCは、USB PD(Power Delivery)による充電にも対応した、富士通「LIFEBOOK WU-X/G2」で、その標準バッテリー(25Wh)モデルを持ち歩いている。容量などバッテリーの詳細情報はWindowsの標準機能で確認できるので、さっそく機能を実行してみると、バッテリーの電力量(Wh)は23616mWhとのこと。どうやら、メーカー公称のものよりも、やや少ないようだ。
ちなみに、この画面ではバッテリーの電力量(DESIGN CAPACITY)だけでなく、実際に充電できた電力量(FULL CHARGE CAPACITY)も確認できる。バッテリーが劣化すると、充電できる電力量が減ってくるので、「バッテリーがもたなくなった!」というときは、ちゃんと充電できているかをチェックしておきたい。
なお、市販されているモバイルバッテリーのスペックには、一般的にスマホのバッテリーの電圧(約3.63V)における容量(mAh)が表記されている。今回のようにノートPCの電力量(Wh)を充電するのに必要な容量(mAh)を知りたい場合には、「mWh=mAh×V」(※)という計算式で算出することが可能。「23616mWh=X mAh×3.63V」という計算を行った結果、約6505mAhの容量を持つモバイルバッテリーであれば、このノートPCの内蔵バッテリーに相当する電力量(Wh)を備えていることが分かった。
※1Wh=1000mWh
ただ、バッテリーを充電する際には電力ロスが起きるので、実際にはもう少し大きな容量を持つモバイルバッテリーを購入したほうが良さそうだ。
6月27日(火):モバイルバッテリーに必要となる出力(W)は?
ノートPCを充電するためにはUSB PDに対応したモバイルバッテリーが必要になるが、数あるUSB PD対応バッテリーの中でも、容量(mAh)に加えてもう1つ、確認しておくべき情報がある。それが、ノートPCを充電する際に使用しているACアダプターのW数だ。
USB PDとは、接続先が要求する電力に応じて、電圧や電流を自動で調整してくれる仕組み。ただし、ものによって最大出力(W)は異なり、低出力のものだと、スマホなどには充電できても、ノートPCは充電できない。場合によっては少しずつなら充電できてしまうこともあるが、内臓バッテリーを使い切ってから充電する際は、電力が少ないと供給量が追い付かなくてノートPCが使えない可能性もあるので、なるべくACアダプターの出力以上を出せるモバイルバッテリーを選びたい。
ノートPCを充電する際の電力(W)は、一般に本体やACアダプターに記載されている。これによると、「LIFEBOOK WU-X/G2」では45W(20V×2.25A)での給電が行われているようだ。
あとは、これまで分かった情報から、USB PD対応のモバイルバッテリーを選べばOK。ただ、「LIFEBOOK WU-X/G2」は“世界最軽量”というコピーに惹かれて買ったマシンなので、モバイルバッテリーもなるべく軽量なものを選びたい。
6月29日(木):45W出力でなるべく軽量なモバイルバッテリーを買ってみた
手持ちのノートPCの充電に必要な要件が分かったので、さっそくモバイルバッテリーをネットで探してみたのだが、45W出力に対応した商品はどれも容量(mAh)が大きいものばかり。重量もヘビー級だったので、「その中でもコンパクトな製品を!」というチョイスから、「cheero Power Plus 5」を購入することにした。
cheeroは某マンガのキャラクターをモチーフとした、“ダンボーデザイン”のモバイルバッテリーなどを提供しているブランドだ。その中でも、「cheero Power Plus 5」は容量15000mAhで、USB Type-Cポートから最大45Wでの給電が可能。重量は約310gということで、ショート缶のドリンク1本分と考えれば、持ち歩くにも許容範囲と言えるだろう。
試しに、ノートPCのバッテリーを完全に使い切った状態から充電してみたところ、デスクトップ画面を表示(輝度100%)したまま放置すると、約30秒で1%の充電が可能だった。これは、ACアダプターで給電しているときと同じペースで、公称通りに45W(20V×2.25A)での給電が行われているようだ。
6月30日(金):電力を移すのに約4割のロスが発生!?
「cheero Power Plus 5」で45Wでの給電が行われるのが確認できたので、再度ノートPCのバッテリーを電源が切れるまで放電。そこから、ノートPCの電源が落ちた状態のまま充電を行ったところ、充電が完了するまでに「cheero Power Plus 5」のインジケーターが100%から29%まで減少した。
つまり、標準バッテリーの「LIFEBOOK WU-X/G2」をフル充電するには、10650mAh/3.63Vの容量が必要だったということになる。……当初の計算式では、6505mAhの容量があれば充電できる予定だったのだが、モバイルバッテリーからノートPCに電力を移すにあたって、4割近くのロスが発生したということなのだろうか?
とはいえ、これはインジケーターの表示が精密だった場合の値だが、給電するデバイスをフル充電したい場合には、給電先のバッテリーより倍の容量(mAh)を持つモバイルバッテリーを用意しておいた方が安心かもしれない。
とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。