宇宙に長く滞在すると人間の脳に構造的な変化があらわれると判明

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人類が宇宙に活動範囲を伸ばしてから半世紀が経ちますが、宇宙空間への長期滞在が人間の身体にどんな影響を与えるのかについてははっきりと解明されていません。フロリダ大学やNASA・ジョンソン宇宙センターの研究者らが宇宙滞在任務の長さが人間の脳にどのような影響を与えるかを調査しています。

Impacts of spaceflight experience on human brain structure | Scientific Reports
https://doi.org/10.1038/s41598-023-33331-8


Spaceflight Can Induce Long-Lasting Structural Changes in The Human Brain : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/spaceflight-can-induce-long-lasting-structural-changes-in-the-human-brain


人間の脳は髄膜と呼ばれる複数の薄い膜で覆われており、髄膜と脳の間には脳脊髄液と呼ばれる無色透明の液体が存在しています。この脳脊髄液は脳室と呼ばれる空間で産生され、脳にとってクッションとして機能し、さらに細胞の老廃物を洗い流して血流から栄養を吸収する働きも有しています。

研究チームは、30人の宇宙飛行士が受けたMRIスキャンの画像を確認。その結果、宇宙に滞在する期間が長くなると、脳室のサイズが大きくなり、脳脊髄液の量が増加することが判明しました。


研究チームによれば、宇宙の微小重力下では頭がい骨内で脳が上方移動するため、脳室の膨張と脳脊髄液の増加が助長されるとのこと。研究チームは、この脳室の膨張が、無重力による脳脊髄液の脳内分布の変化に対応するためのメカニズムである可能性があるとしています。

30人の宇宙飛行士のうち、7人は宇宙飛行の任務の間隔が3年未満で、脳室の膨張がそれほど顕著ではなかったとのこと。これについて研究チームは、脳脊髄液の増加に対応するために一度脳室が収縮し、その後元に戻らないうちに宇宙飛行の任務に就いたことが原因だろうと考えています。

また、過去に宇宙飛行の任務を遂行した回数が多ければ多いほど、脳室の膨張率が小さくなることも判明しました。研究チームは、宇宙飛行士の脳が幾度にも及ぶ任務に慣れてしまって膨張しなくなったか、あるいは任務のストレスに対処する能力が限界に達してしまっているかのどちらかだろうと述べています。


研究チームは「今回の研究結果は、脳が複数回の宇宙滞在を通じて累積的な影響を受けていること、おそらく微小重力と宇宙飛行任務の環境に別々に適応していることを示唆しています」と論じました。

脳室のサイズが膨張したり脳脊髄液の量が増加したりすることが、宇宙飛行士の健康へ具体的にどのような影響を与えるかは不明ですが、脳脊髄液の増加は宇宙飛行士の視力低下に関連している可能性も示されています。

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