オーディオブック制作ならびに、配信サービス「audiobook.jp」を運営するオトバンクは6月29日、大阪府柏原市と包括連携協定を締結したことを発表。オーディオブックを活用した自治体との包括連携協定は初めての取り組みという。同日に柏原市市役所で締結式を実施した。
柏原市はかねてから市民の健康づくりに注力。この協定では、オーディオブックの活用によりこの取り組みをさらに促進するとともに、地域の活性化や市民サービスの向上などを図ることを目的にしているという。連携事項としては「オーディオブックを活用した心と体の健康増進に関すること」「オーディオブックを活用した地域コミュニティの活性化に関すること」「音声コンテンツによる柏原市の魅力向上と情報発信に関すること」「その他地域の活性化及び市民サービスの向上に関すること」の4つとしている。
オトバンクでは、柏原市に所在する関西福祉科学大学のリハビリテーション学科 理学療法学専攻 重森健太教授と共同で、オーディオブックを活用したシニアの健康促進に関する共同研究を実施。65歳以上の要支援高齢者を対象として、標準的な認知症予防トレーニングとして行われる計算課題と運動を組み合わせたデュアルタスクと、オーディオブックと運動を組み合わせたデュアルタスクを比較検証した研究では、両者に同等の脳血流活性作用がみられることを確認したという、研究結果を公表している。
オトバンク代表取締役会長の上田渉氏は、オーディオブックのサービス利用者でシニア層が増えて需要が高まっていることを背景として、重森教授から紹介を受けたことがきっかけになったと話す。今後健康事業のみならず、オーディオブックや音声を活用した取り組みを軸に展開し、地域住民に対して貢献できるような取り組みになればと語った。
柏原市市長の冨宅正浩氏は、これまでも健康をキーワードに、健康づくりプロジェクトチームを中心として市民の健康をサポートしていることを説明。また同市には、116歳の国内最高齢の市民が在住しているという。オーディオブックに関しては“無限の可能性がある”と期待をよせ、健康のみならず観光や子育て支援にも活用できる可能性があるとし、よりよい街づくりを目指していくと、展望を語った。
締結式では、アニメ「ちびまる子ちゃん」の主人公「さくらももこ(まる子)」役などで知られ、オーディオブックではさくらももこさんのエッセイ「もものかんづめ」「さるのこしかけ」を全編朗読した声優のTARAKOさん、オーディオブック1日大使としてタレントの森尾由美さんが登壇。締結式後に行われた市民向けオーディオブック体験イベントも含めて魅力をアピールした。
なお9月末には、オーディオブックを聴きながらウォーキングを楽しむ活動「耳活ウォーキング」で健康促進するイベントの開催を予定。このほかにも、オーディオブックを聴きながら室内で軽い運動を行う耳活フィットネスのイベントも企画しているという。