モンゴルの遊牧民が暮らす移動式住居・ゲル。
季節ごとの引っ越しに便利なよう、分解・組み立てがしやすいつくりになっている。持ち運べる家だ。
最近では携帯性をさらに進化させた、小型の折りたたみ式ゲルが開発されているという。
なんと、たたむと宅急便で送れるサイズになるらしい。モバイルゲルである。便利だ!
普通のゲルはけっこう大きくて重い
遊牧生活では年に何度か住む場所を変えるが、そのたびにゲルは分解され、組み立てられる。
いちいち賃貸情報サイトを眺めたり、不動産屋さんと内見にいったり、引っ越し業者に見積もりでバトルしてもらわなくてもいい暮らしだ。
引っ越しの際、スタンダードなゲルは、トラックやラクダの背に載せて運ぶ。いくら引っ越ししやすいといっても、それなりに大きくて重いものなのだ。
引っ越し屋さんは呼ばないが、自分のトラックやラクダを持っている必要がある。
日本の住宅に比べるとずいぶんコンパクトではあるものの、それでも家だ。さすがに大きいので、運搬にはコストと労力がかかる。
日本でも使えたら便利だが、なかなか輸入が難しいし、値段もそれなりにするのでハードルが高い。
そんな中で、持ち運びが便利なように進化した、新型のゲルが開発されていたのだ。それも、かなりコンパクトなやつが。これなら日本に持って来やすい!
飛行機の預け荷物で運べる!
そんな新型ゲルであるが、モンゴルからのリモートワークを一緒に実験した伊藤さんが輸入して、北海道に建てに行くところに同行することができた。
浦河町にある幼稚園が園の庭にたてるために買ってくれたので、組み立てのレクチャーを兼ねて納品に行くのだ。
伊藤さんはモンゴルで受け取ったゲルを、飛行機の預け荷物で持って帰ってきたらしい。
テントだと思うと巨大なサイズに見えるが、家である。そう思うとかなりの小ささだ。工事現場で見るプレハブ小屋だって、個人の預け荷物ではきっと運べない。
宅急便もOK!
飛行機で預けることができるサイズのものは、日本国内では宅急便で送ることができる。
もちろん大きいし重いのでそれなりに料金はかかるが、家が送れて、時間指定で決まった時間に届くんだからすごい。
それで北海道に到着したのがこちら。16時〜18時の時間指定どおりに届いた。
直径5メートルのゲルひとつぶんの部材を収めるのに、この黄色いバッグを3つ使う。自家用車でも運べるサイズだ。
ちなみに直径5メートルということは、広さは19.6平米(ゲルは円形なので、半径 × 半径 × 3.14で面積が求められる)。私が住んでいた1Kの学生アパートより広い!
せっかく郊外のキャンパスに通っていたのだから、畑でも借りてゲルに住めばよかったのかもしれない。
細くて分解できるパーツがモバイル化を実現
バッグからパーツを出してみる。モンゴルで見た一般的なゲルに比べて、全体的に各パーツが細い。草原を駆ける馬の脚みたいな力強い細さだ。
この細さと、組み立て式になった各部品によって、収納時の小型化が実現されている。
部品を組み合わせると、天窓がすがたを現す。大きなプラモデルをつくっているようでもある。1/1サイズの実物大ゲルだ。
壁は上下に分割!
壁も分割されている。
一般的なゲルでも壁は連結するつくりになっているが、モバイルゲルでは上下に組み合わせるのだ。