東京工業大学をはじめとする研究チームは15日、土星の衛星の1つである「エンセラダス」の海において、生命に必須の元素であるリンが、地球の海水の数千から数万倍という高濃度で濃集していることを明らかにした。この結果は米Nature誌に論文として投稿された。
エンセラダスは内部に地下海を持ち、生命を育む熱水噴出孔や複雑な有機物も存在。生命存在可能な条件を満たす天体として注目を集めている。
一方、リンはDNAや細胞膜の材料であり、地球生命にとっての最重要元素であるが、天然での存在量は極めて低く、リンの濃集を可能にする場の存在が地球生命誕生の鍵であると考えられている。
欧米チームは、カッシーニ探査機のデータから、地下から吹き出した海水中にリン酸を含む粒子を発見。そして日本のチームは、エンセラダス内部を再現する実験を行ない、リン濃集の要因が、アルカリ性かつ高炭酸濃度の海水と岩石との反応にあることを突き止めた。
今回、リンが濃集した水環境を地球外で初めて発見されたことで、地球と似た構成分子を持つ生命が期待されるほか、原始地球での生命誕生の場の特定にもつながるとし、極めて大きな発見になるとしている。
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