米求人市場の縮小で ジャーナリスト は職探しに苦労:「やめずに戻ればよかったのかも、と感じることがある」

DIGIDAY

2022年6月、リンクトイン(LinkedIn)におけるテクノロジー、情報、メディア業界の採用が減少した。今年初の出来事だ。

リンクトインが7月13日に発表した最新の月次労働力レポートから、これらの業界での採用が前年同月比4.6%、前月比9.1%減少していることがわかる。前回このカテゴリーでの採用が減少したのは2021年1月で、前年同月比で1.9%の減少だった(リンクトインは、新しい仕事を始めた月に自分のプロフィールに新しい雇用主を追加した各業界のリンクトイン会員の数を、米国のリンクトイン会員総数で割って「採用率」を算出している)。

採用の落ち込みはもっともなことだ。ここ数カ月、いくつかの大手デジタルメディア企業での採用が減速している。Vox Mediaとインサイダー(Insider)は、景気後退を理由に採用を減らした。バイス・メディアグループ(Vice Media Group)も新規採用に待ったをかけたと報じられている。マイクロソフト、Meta(メタ)、スナップ(Snap)といったハイテク企業が採用の減速を発表したのは言うまでもない。

新しい仕事を探すジャーナリストにどのような影響があるか?

匿名希望のあるフリーランス・ジャーナリストは「より広く網を張るようになった」と語る。このジャーナリストは、現在フリーランスのライターとして2つの仕事を抱えており、ここ数カ月でいくつかの求人に応募したそうだが、なかなか採用されないという。

「この1カ月のあいだ、何も見ていないとは言いたくないが、なんとなく見ていないような気がする」と、このジャーナリストは話す。「多くのメディア企業はライターを採用しない。彼らは財務の人材、弁護士、技術者を採用している」

メディア企業が雇用計画をごまかしているという見出しを見たことがあるかという質問には、「いくつか見たことがある」と答えた。この問題の報道に出くわすと、「『よし、自分だけじゃないんだ』と慰められるような気がする」と、この人物は語った。

仕事はなかなか見つからず

米DIGIDAYが匿名を条件に話を聞いた別の記者は、女性に特化した大手デジタルパブリッシャーでシニアライターとして働いていたが、6月に退職したという。記者は、退職のタイミングが悪かったと考えている。

「Twitterでは、多くの人が仕事の案内をしている。私は、最悪のタイミングで辞めずに、そこに戻ることを選択したらよかったかも、と感じることがある。メディアに関しては、求人市場は縮小している」とこの記者は話す。1月に求人に応募したときは、「数多くのチャンスがある」と思ったという。

ライターや編集者の仕事は「いまはなかなか見つからない」と、同氏は付け加える。

そのため、この記者は検索範囲を広げているという。メディア以外の、アート、プログラミング、テクノロジーなどの分野にも応募している。「いままで考えてはいたが、実際に行動したことはなかった」と同氏は言う。

コインの裏側

悪いニュースばかりではない。BuzzFeed(バズフィード)、ワシントン・ポスト(The Washington Post)、Forbes(フォーブス)、ブルームバーグ(Bloomberg)、ハースト(Hearst)などのメディア企業は採用を継続している。

JournalismJobs.comというサイトへの求人掲載は引き続き「非常に堅調」だと、このプラットフォームを設立・運営しているダン・ローン氏は述べる。JournalismJobs.comには、印刷、放送、デジタルメディアに関する約1100件の求人が掲載されていると、ローン氏は言う。この数は、2020年3月、4月、5月にパンデミックのために「大きく落ち込んだ」以外は、過去数年間「かなり一定」に推移しているという。

多くの大手メディア企業が採用のペースを落とすと発表しているのを見て、ローン氏は、サイトへの求人掲載が減少し始めるのではないかと毎週考えている。「しかし、このサイトは非常に好調だ」と話す。

状況は地域によって異なる

サイトに掲載される求人情報の多くは、国内の小規模な新聞社から寄せられている、とローン氏は指摘する。これらの新聞社からの「撤回」はまったく感じていない。ローン氏は、大都市に拠点を置く大手デジタルメディア企業はここ数年、雇用過剰に陥り、レイオフや雇用凍結で市場環境に適応しなければならなくなったと指摘する。「市場力学は、地域によって大きく異なる」とローン氏は言う。

「いまはいつも通り仕事を続け、これからどうなるか様子を見るしかない」と、ローン氏は語った。

[原文: Journalism job seekers feel the squeeze of the job market

Sara Guaglione(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:分島翔平)

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