図書館の利用などでマイナカードが必要になる――栃木県の宇都宮大が導入したシステムに対し、マイナンバーカードの使用を強制しているのではないかといった批判がSNS上で相次いだ。
批判を受け、大学は2023年6月14日、マイナンバーカードを取得していない人でも図書館の利用などができる磁気カードを貸し出していると、公式サイトに追記。広報室は6月15日、取得を強制するものではないとし、「誤解を生じる標記を行ったことを真摯に受け止めてHPは修正いたしました」と取材に説明した。
「利用する学生及び教職員の判断に任せております」
広報室への取材によれば、宇都宮大では、2021年4月からマイナンバーカードを学生証として利用するシステムを導入。磁気カードの貸出も同時期に始めた。
この件に関するツイッター投稿が話題になったのは23年6月13日だ。
20年度以前に入学した学生は、図書館の利用や授業時間外の建物への入室などに学生証とマイナンバーカードが使えて、21年度以降に入学した学生は、マイナンバーカードのみ使えるという大学の公式サイトに掲載された表について、投稿者が疑問を呈した。
この投稿に対し、他のユーザーからは「事実上の強制ですね」「あまりに強引すぎる」などと批判する声が相次いだ。他に注目を集めた投稿では、国立大ではマイナンバーカードの活用を含めた業務の実績が運営費交付金の配分に反映されるという23年6月の政府の計画を引き合いに出して批判する声もあった。
こうした批判を受け、大学は6月14日、マイナンバーカードの使用に関する表に注釈を加え、マイナンバーカードを取得していない人でも、図書館の利用などができる磁気カードを貸し出していると追記。また、図書館の貸出履歴などが国に収集されるのかという疑問に対しても「収集されることはありません」などと説明を加えた。
広報室は15日、誤解が生じる標記を行ったとし、「SNSでのご指摘等も踏まえ、より分かりやすいようにHPに掲載する情報について改善して参りたいと考えております」と取材に答えた。また、「マイナンバーカードの取得については、強制をするものではありませんので、利用する学生及び教職員の判断に任せております」としている。
マイナンバーカードを導入した理由については、「学生にとっての利便性の向上、事務手続き等の効率化を想定して進めております」と説明。また、2021年4月に導入したため「運営費交付金配分に関係なく導入したところです」としている。