農業6次産業化を軸とした新たな地域社会拠点!アグリサイエンスバレー常総、まちびらきセレモニー&内覧会

ITライフハック

戸田建設株式会社は2023年5月26日、同社がPPP事業協力者として茨城県常総市と共に事業推進をしてきた、農業6次産業化を軸とした新たな地域社会拠点「アグリサイエンスバレー常総」のまちびらきに伴う、まちびらきセレモニー&内覧会を開催した。

■地域創生に貢献することを目的にした、まちづくり事業
「アグリサイエンスバレー常総」は、2014年に取り組みをしてから、9年を経て出来上がった常総市の新しいシンボル。圏央道・常総インターチェンジ周辺・約45ヘクタール(農地部分:約14ヘクタール、都市部分:約30.7ヘクタール)といった大きな敷地に、中核の3施設「道の駅・常総」「TSUTAYA BOOKSTORE」「農業法人・たねまき常総」の本格開業を受け、まちびらきと題したセレモニーを挙行した。

「道の駅・常総」

地域創生に貢献することを目的にした、まちづくり事業。同社が特化しているのは、従来型の開発としてイメージされるような農地から工業・産業用地に転換するものではなく、農業の6次産業化(※)を推し進めたことだ。
※農業6次産業とは、農林水産省WEBサイトによると、農林漁業本来の1次産業だけでなく、2次産業(工業・製造業)・3次産業(販売業・サービス業)を取り込むことから、「1次産業の1」×「2次産業の2」×「3次産業の3」のかけ算の「6」を意味しているという

一般人も利用可能な観光農園(空中いちご園/有限会社大地)や日本最大級(敷地面積が約7ヘクタール)のミニトマト栽培施設(株式会社たねまき常総)などを誘致し、それらが未来農園、デジタル農業と呼ばれるようなもので、労働環境の改善や収入アップ、地域での雇用創出につながっている。

植草弘副社長は「今回のような農業の6次産業化を中心にした地域創生というのは、たぶん、初めてなのかなと思っております。皆さんの賛同やご協力があって、無事に実現できました。農業の6次産業化、日本の一つのモデルにしていきたい」と意気込みを語った。

このモデル、地方自治体からの関心が高まっているとのこと。「オープン前から、既に100を超える自治体、その関係の皆さまからの視察が続いておりまして、どうやら皆さま同じような悩みを抱えていらっしゃるのかなと、痛切に感じているところであります」と報告した。

戸田建設株式会社 副社長 植草弘氏

続いて、常総市の神達岳志市長も「ここの大きな目的は、農業の6次産業化です」と挨拶。「私どものまち、常総市はご存じの通り、8年前に鬼怒川の堤防が決壊をして、面積の3分の1が被災をしました。この場所も水浸しで沼のようになりました。あの水害から復旧復興はもちろんではありましたけれど、あの、水害によって市民の皆さんのふるさとへの誇り、シビックプライドまで傷つけられました。これからは、常総市から新しい日本の農業のあり方というものを発信をして、そのシビックプライドを取り戻し、常総市の新しいシンボルとして、これから発展をさせていきたいと思っております」と奮起した。

常総市 市長 神達岳志氏

■今月から製品名「プリッとトマト」を出荷
農業の6次産業化としての協力企業・たねまき常総は、日本最大級のミニトマト栽培施設を今年完成させたばかりで、いよいよ今月から製品名「プリッとトマト」を出荷する。同社の強みは、未来農園と呼ばれるもので、独自ロボットの開発、作業管理アプリ、そして、販路構築まで、自社で手掛けているところ。テクノロジーの活用により、通年安定栽培、年間1,000トンの出荷をうたっている。

SDGSの取り組みとして、ミニトマトを育てる培地に、天然由来の原料・ココヤシ(ココナッツのヤシ殻)を使用。土を使っていないため、衛生的な農場を誕生させている。また、栽培時の潅水(水やり)後に排出される水(廃液)も浄化してリサイクル(約90%)。節水の取り組みもある。

施設内の温度を管理するエネルギーには、LNG(液化天然ガス)を使用している。従来の石油を暖房設備に使用するのと違って、二酸化炭素の排出量を約30%削減。そこで排出された二酸化炭素もミニトマトの栽培に利用しており、成長する際の光合成で二酸化炭素が使われ、最終的に酸素が放出されるという。

また、面白いのが温水貯蔵だ。日中、LNGの燃焼によりお湯を沸かし、そのお湯を貯蔵しておくことで夜間の暖房として利用。資源を無駄なく活用している。

新しいまちにおける今後の開業スケジュールを調べると、今夏にマルチテナント型の物流施設(5階建て)、来年春に温浴施設(天然温泉)、再来年の春に都市公園と葉物野菜の植物工場などが現時点で明らかにされている。

戸田建設株式会社は本事業を軸として、今後も地域創生に貢献していくとしている。

テクニカルライター 野原誠治

楽しみながら本を選べる「BOOK & CAFE」

施設内のジェラートショップ「SENDA BANDA」(運営:TODA農房常総)

無料の遊び場「こども広場」

「Honda CI マイクロモビリティ」

戸田建設株式会社

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日本総合研究所研究員
日刊工業新聞社
2020-03-28