「Wi-Fi 6」や「Wi-Fi 6E」って何が違うの? 今Wi-Fiルーターを買うときのおすすめは?【一人暮らしのネット環境Q&A】

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Wi-Fi 6E対応のWi-Fiルーター、TP-Link「Archer AXE75」

 現在販売しているWi-Fiルーターは、どの製品も「Wi-Fi 6」や「Wi-Fi 6E」と、パッケージなどに目立つように書かれています。古いものでは「Wi-Fi 5」対応の製品もありますが、初心者や一人暮らしの人が今から買うなら、Wi-Fi 6がおすすめです。製品の性能をはかる目安となるこれらのキーワードについて、少し詳しく解説しましょう。

セキュリティ面からも、今買うなら「Wi-Fi 6」以降がおすすめ

 かつて、ケーブルでなく無線でネットワークに接続する「無線LAN」が登場したばかりのころには同じ規格でも、接続できることは保証されていませんでした。例えば同じ「IEEE 802.11b」同士のはずなのに、誰も接続できる保証をしてくれない、ということは、今では考えられないことです。

 この問題を解消し、無線LAN機器の普及をはかるために「Wi-Fi Alliance」という業界団体が誕生して、異なるメーカーの製品間でも問題なく接続できるよう、相互接続性能の認証プログラムを開始しました。これに合格し、認証を受けたことを示すのが「Wi-Fi(ワイファイ)」です。現在、「Wi-Fi」という言葉は無線LANの代名詞のように使われていて、市販されているほぼ全てのWi-Fiルーターやスマートフォン、PCなどはWi-Fiの認証を受けています。

 無線LANの通信規格はIEEEという団体が策定し、次々と新しい規格を発表していて、Wi-Fiも、この規格に応じて新しくなっています。近年、Wi-Fiでは、対応する通信規格ごとにWi-Fiの番号を付けるようになりました。

 無線LANの通信規格は「IEEE 802.11ax」「IEEE 802.11ac」といった名前で、一見しただけではどれが新しく、どれが古いのか分かりにくいです。ですが、対応したWi-Fiの番号で呼ぶようにすることで、分かりやすくなります。

Wi-Fiの番号とIEEEの通信規格の対応
Wi-Fiの番号 IEEEの通信規格
Wi-Fi 6E IEEE 802.11ax
Wi-Fi 6 IEEE 802.11ax
Wi-Fi 5 IEEE 802.11ac
Wi-Fi 4 IEEE 802.11n

 簡単な理解としては、Wi-Fiの番号が大きくなるほど通信速度が速くなります。日本で現在製品が流通している番号の最大は「6」または後述する「6E」です。ただ、Wi-Fiの番号が大きくなるごとに向上する性能は、通信速度だけではありません。

 Wi-Fiの認証を得るために必要なのはIEEE 801.11xxで定められた通信規格への対応だけでなく、セキュリティ面の性能なども求められます。Wi-Fi 6では、現在最新の「WPA3」と呼ばれるセキュリティ機能への対応が必要になります。

 そして、WPA3に対応したWi-Fiルーターを使うことは、警視庁も推奨しています(参考:警視庁:Wi-Fi(無線LAN)ルーターをお使いの方へ)。通信性能の面でも、セキュリティの面でも、「Wi-Fi 6」対応製品がおすすめというわけです。

 現在主流であるWi-Fi 6対応の製品が、日本で出回るようになったのは2019年ごろから。今では、Wi-Fi 6対応の安価な製品は5000円前後から購入できます。

 そして、2022年からは、新しい「Wi-Fi 6E」対応の製品が登場しています。次に、Wi-Fi 6と6Eの違いを解説しましょう。

スマホやPCも「Wi-Fi 6E」対応でないと、6Eの特徴は生かせない。

 そもそも、どうして「Wi-Fi 6」の次が「7」でなく「6E」なんだ? と疑問に思う人もいるでしょう。

 Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eは、どちらもIEEE 802.11axという通信規格に対応しています。そのためバージョンの数字は変わらず、対応製品の仕様上の通信速度も変わりません。WPA3にも、どちらも対応しています。

 Wi-Fi 6Eの新しい点は、利用できる周波数帯が増えたことです。それまでのWi-Fi 6対応製品が利用可能だった「5GHz帯」「2.4GHz帯」の2つに加え、「6GHz帯」が利用可能になりました。

 新しい周波数帯は、「電波が混雑していない」ことがメリットです。特に住宅やオフィスが多く、周辺で多くのWi-Fi製品が利用されている都市部においては、まだ利用が少ない6GHz帯の電波にすることで快適な通信が行え、(仕様上の最大値に近い)高い通信速度も出せるとされます。

 ただし、6GHz帯を利用するには、Wi-FiルーターとスマホやPCの双方がWi-Fi 6Eに対応している必要があります。現状ではまだWi-Fi 6Eに対応する製品は多くないので、自分が持っている、または今後買う予定の製品がWi-Fi 6Eに対応してなければ、Wi-Fi 6Eのメリットは生かせません。その場合は、Wi-Fi 6対応のWi-Fiルーターで十分でしょう。

Wi-Fi 6E対応のメッシュシステム、TP-Link「Deco XE75」。メッシュシステムは一人暮らしの部屋で活躍する製品ではありませんが、複数台を連携させて、広い家やオフィスの中で隅々まで電波を届けられる製品です。そして、Wi-Fi 6Eの6GHz帯をメッシュシステムの機器間の通信に利用することで、高速なネットワークを実現できるため、スマホやPCが6GHz帯に対応していなくてもWi-Fi 6Eの恩恵を受けられます。

「Wi-Fi 7」もすでに海外では製品が登場

 「Wi-Fi 7」の認証プログラムもすでに存在し、海外では製品も登場しています。対応する通信規格は「IEEE 802.11be」といい、通信速度も向上しています。

 Wi-Fi 7でも、最新性能を生かすには、ルーターだけでなくスマホやPCの対応製品の登場も待つ必要があります。今から対応製品を意識して「買い控え」をするのは、現実的とは言えないでしょう。そういう意味でも、今Wi-Fiルーターを買うなら、Wi-Fi 6またはWi-Fi 6E対応の製品がおすすめです。

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