得体のしれない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。というのは梶井基次郎の「檸檬(参照)」の冒頭である。最近の僕も似たような感じがする。なんだかどよーんとして、不安がどんどんたまっていくみたいな気がする。
たまっていくのが不安じゃなくて、お金だったらいいのになあ、なんてばかげたことを思いついた。いや、本当にばかげているだろうか。不安をお金に変換すれば、今のぼくならばすぐにお金持ちになれそうだ。いいアイデアかもしれない。
※2008年5月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
不安をすべて小銭に
不安になることはとってもいやなことだが、それでお金が貯まるとしたらどうだろう。不安になるのもそんなに嫌じゃなくなるんじゃないか。
しかも、不安になったときはきっとお金への執着がなくなっているので、貯金もガンガンしやすい状況だと思われる。貯金のタイミングを逃さないように、まずは貯金箱を用意しよう。
というわけで、近所の100円均一でいい貯金箱が売っていたので購入してきた。
コイの形をした貯金箱だ。口の部分がハートになっている。こいつなら僕の不安を受け止められる深い懐を持っていそうだ。この貯金箱を持って一日生活してみようと思う。
公園が不安
はじめに公園にやってきた。
僕は学生なので学校へ行かないとならないはずが、公園にやってきているのはどうなんだという話だが、それこそ不安の表れだと言っていい。ちゃりんちゃりん(小銭が貯金される音)
無意識的に足を運んだこの公園だが、ここは小学生の時にたまに遊んでいた場所だ。思えば、この公園にはいやなエピソードがいくつかある。
この公園のブランコから足が抜けなくなったり、芝生で犬のフンを踏んでしまったり、待ち合わせの時間を間違えたり。
言ってしまえばすべて自分の不注意なのだが、公園にいるだけであの時感じたいやな気持が蘇る。
いやな記憶はいやな記憶なのだが、それとともに、今遊んでいる子供たちを見ると、「もうあんな風に楽しく遊べたりはしないだろうか」と思ったりする。
なんだかさみしくて不安だ。そして不安とともに貯金箱には小銭が投入され続けるのである。ちゃりんちゃりん。
天気が不安
さて公園で時間をつぶしすぎてもよくない。学校へ向かおう。そう思った道中、不安な光景を目にした。雲が不安だった。
自宅の方は晴れているのに、電車に乗って向かう学校の方角はすごく曇っていたのである。
こんなことで不安になるのか、と思われる方もおられるだろうが、今の僕はこんなことでも不安になってしまうのだ。お金に例えると10円分くらい、言い換えるとワンコイン不安である。ちゃりん。