赤坂御苑で5月11日、天皇、皇后両陛下主催の「春の園遊会」が2018年秋以来およそ4年半ぶり開かれた。即位の行事と新型コロナで延期されていたためである。
しかし、なんと両陛下をはじめ、皇族の方々はみなさんマスク着用。屋外での行事なのに、いかにも奇妙だった。先日も、ヨルダン国王ご夫妻やバングラデシュ首相への面会のときも両陛下がマスク着用のままだったが、国際常識から外れているし、せめて記念撮影のときくらいはずすべきだということは既に指摘したところだ。
園遊会では高齢者も多いというのも理由なのかもしれないが、高齢者でない両陛下などまでマスク着用の理由はあるまい。ご尊顔を拝めないことは参加者にとって残念なことだっただろう。
また、雨で開始が30分ほど遅れ、そのあいだ、参加者は雨の中で待ちぼうけ、さらに、特定の芸能人やスポーツ選手と長く話されたので、雨の中で時間がずいぶんとかかったらしい。また、話の内容も事前の説明が十分でなかったらしく、ちぐはぐだったという指摘も出ている(卓球の伊藤美誠選手とスケートの高木美帆選手に一緒にプレイしたことがあったかと聞かれたとか)。
今回の園遊会には、佳子様が初登場された。習慣に拠れば、学業を終えられたら参加されることになっているらしい。だから、眞子さまは2015年の秋の園遊会に初登場された。佳子様は平成最後の園遊会2018年のときは、まだICUの学生だったので参加されなかった。そういう意味では、28歳になった佳子様がやっと初登場、21歳の愛子様が登場されずというのは、慣例によったものだ。
しかし、このことは、『英国王室と日本人: 華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館 八幡 和郎・篠塚 隆)でも詳しく書いたように、英国をはじめ、ヨーロッパの王族たちが、子供のときから公務を行い、社交界にもデビューするなどしているのに比べて、残念なことである。
この内容の詳細は、にも掲載しているが、八幡衣代が主として調べたものだ。
さらに、眞子様は高校生の時から、佳子様は20歳のときから単独公務をされているのに、愛子様はいまだ開始されていない。リモート講義だけで三回生まで時間は十分にあったはずだし、いまもそれほどの回数通学されているわけでないのだから、時間の問題ではない。
これでは、もし、大学卒業の早い時期に結婚されたらほとんど公務をされずにということになって、プリンセスとして多くの人の支えで準備されていたのが生かされない。
さらに、多くの出会いの場を持たれるのが、広い範囲から結婚相手や友人との出会いのきっかけになるのに気の毒なことだ。
また、一部の宮内庁関係者と称する人たちから、秋篠宮皇嗣殿下や、妃殿下がチャールズ国王の戴冠式で活躍され、好感度が上がったのを受けて、「二重権威制」のおそれがあるから、園遊会で目立たないように振る舞うべきだなどという意見が週刊誌に載っていた。両陛下が皇太子時代にそんな声は出なかったし、また、皇后陛下の健康状態から、公務を平成年間より大幅に削減せざるを得ない中で、皇室外交でも国内でも皇嗣殿下ご夫妻の役割を質でも量でも増やさなければならないなかで馬鹿げた要求だ。
私は上皇陛下の御退位の前から、皇后陛下の公務の量が皇太后陛下の時代と同じ頻度であることは無理なのは分かっているのだから、それを前提に、陛下単独での公務を増やすとか、皇嗣殿下に代行してもらうとか工夫した令和スタイルを確立すべきだと提案してきた。
令和の皇室のプレゼンスが全体として少なくなっていることは心配だ。新型コロナ中は、仕方なかったという言い方もあるが、本来なら、そういうときほど、国民を励ますべきときだったのではなかったか。
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